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次世代NEMブロックチェーン、Symbolに迫る(1) ~NEMのおさらい編~

NEMブロックチェーンのリリース後、Catapultのコードネームで開発が進められてきたNEMの次期バージョン「Symbol」のパブリックチェーンへのリリースがあと半年程度に迫ってきました。

このシリーズでは、NEMを簡単に振り返ると共に、NEMの次期バージョンのSymbolの特徴、Symbolのローンチまでの流れ、そしてSymbolがどのように活用されていくのかをなるべく分かりやすく紹介していきます。

NEMのおさらい

NEMは2015年3月29日に最初のブロックが生成されたブロックチェーンです。

新しい経済圏の創出を目標に始まった暗号通貨プロジェクトですが、マルチシグアカウントやモザイクというトークン発行・流通機能といったブロックチェーンにあると便利な機能をネイティブで兼ね備えたブロックチェーンプラットフォームとしても注目されてきました。

NEMの基軸通貨

NEMの基軸通貨はXEM呼ばれ、総発行量は約90億、その全て発行済みとなっています。

NEMのコンセンサスアルゴリズム

NEMのコンセンサスアルゴリズムはProof of Importance (PoI)と呼ばれており、通貨の保有量に加え、基軸通貨の取引状況によってアカウントが評価され、その評価によってブロック生成の権利の得やすさが決まる仕組みが採用されています。

先ほど述べたようにNEMの基軸通貨XEMは全量が発行済みのため、ブロック生成で得られるのはそのブロックに含まれているトランザクションの手数料のみとなります。

この報酬を得ることをハーベスティングと呼びます。

このハーベスティングに参加するには10,000XEM以上の保有と、その時点の残高に応じた待機期間が必要ですが、委任ハーベストという仕組みが備わっており、これにより自分でノードを建てなくてもハーベストに参加することが可能になっています。

スーパーノードリワードプログラム

NEMのハーベスティングは、ブロックに含まれる手数料のみが報酬として得られる特性上、いくらブロックを生成する権利を得られたとしても、そのブロックにトランザクションがない場合、得られる報酬は「0」です。

また委任ハーベストができるとは言え、必ずノードは複数分散されて動いている必要があります。

そこで、NEMのプラットフォームが十分活用され、手数料報酬によって自立・安定的にネットワークが稼働できるまでのつなぎの手段として、スーパーノードリワードプログラムという制度があります。

スーパーノードリワードプログラムでは、300万XEM以上保有して、一定水準を満たしたノードを運用しているアカウントに対して、報酬が支払われます。

このスーパーノードリワードプログラムはあくまでも制度であり、NEMのノードは誰でも建てることが可能です。また、スーパーノード報酬を得ているノードとそうでないノードはプロトコル上は対等な立場です。

NEMに備わっている機能

冒頭にも述べましたが、NEMにはブロックチェーンにあると便利な機能がネイティブで備わっています。

これらの機能はAPIやSDKで呼び出すことができ、比較的安全で気軽にブロックチェーンのメリットを既存のサービスに組み込んだり、素早く新規のサービスを立ち上げる事を可能とします。

以下ではその機能を簡単に紹介していきます。

モザイク

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簡単に言えば、トークンを発行・流通させる機能です。NEMのデスクトップウォレットにも組み込まれており、これにより誰でも簡単にトークンを発行することが可能です。

モザイクは、モザイク名、説明文、総発行量、発行後の発行量の変更可否、小数点の桁数、第三者への転送の可否(例: ライブチケットの転売の可否)、他のモザイクの徴収の有無(例: ライブチケットの転売手数料の徴収)を設定することが可能で、これによりニーズに応じたトークンを発行することが可能です。

送金・モザイクの転送

基軸通貨XEMや発行したモザイクは(当然)他の人に送ることが可能です。

モザイクの転送する際は、送り先のアドレス、転送するモザイクの種類・量を設定します。またオプションで最大1024バイトの平文または暗号文のメッセージを添付することが可能です。

ネームスペース

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ネームスペースはWebで言うところのドメインのようなものです。

NEMのアドレスは(メインネットの場合)「N」から始まる40桁の大文字英数字となっていますが、機械的に割り当てられるため人が覚えるのは困難です。

ネームスペースを保有することで、自分のアドレスにニックネームをつけることができます。

例えば、アドレス:NABCDE-XXXXXX-XXXXXX-XXXXXX-XXXXXX-XXXXX-XXXX で「daoka」というネームスペースを取得すると、対応しているソフトウェアで宛先で「daoka」と入力することで、そのアドレスに対してXEMやモザイクを送ることが可能となります。

NEMではモザイクをネームスペースにぶら下げる必要があり、モザイクを取得するには、先にネームスペースを取得しないといけません。

ネームスペースには1年間の有効期限が定められており、更新を怠った場合、ネームスペースは無効となり、同時にモザイクも失効してしまいます。

マルチシグアカウント

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マルチシグアカウントは複数人で管理するアカウントで、あらかじめ定めた連署人のうち、一定するの署名がないと送金などの操作ができないアカウントです。

これにより、ワークフローの実現や、内部不正から資産を守ることができるようになります。

また、マルチシグアカウントの連署人は後から変更することも可能で、これにより担当者の変更など組織の体制の変更にも柔軟に対応することができます。

また、マルチシグアカウントを土地や美術品などの権利に見立てると、権利の共同保有や譲渡の管理ができるようになります。

このようにマルチシグアカウントはブロックチェーンの安全性や有用性を高めることができる機能です。

プライベートチェーン

NEMには、共通のコアエンジンをもつプライベートチェーン製品「mijin」があります。

パブリックチェーンであるNEMと同等の機能を使うことができ、相応のスペックを持ったノードを用意すれば、より多くの処理をこなすことも可能です。

ここまでのまとめ

ここまで、2015年のローンチから現在まで動き続けているNEMブロックチェーンのトークノミクス(コンセンサスアルゴリズムとSN報酬)、機能について簡単に紹介しました。

SymbolブロックチェーンはNEMブロックチェーンをベースを作られており、NEM上で見えてきた課題や、あるとより安全で便利な機能が組み込まれて進化しています。

NEMを知ることはSymbolを理解するためにもきっと役に立つと思います。

次回は、いよいよSymbolについて紹介していきます。

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