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東京原人Part.3(9月エッセイ③)

 こんばんは、土曜の夜。ダノです。2021年9月18日(土)になりました。今週のダノの表裏noteを公開します。今回のエッセイは前回、前々回に続く『東京原人』です。今回こそは、完結させます。前回、前々回はかなり長くて2,000字から3,000字で作ったのですが、今回は短めです。というのも、北海道にいるのもあと2時間ほどなので、書くことがほぼありません。

1.さようなら札幌

 10時間の逃避行もそろそろ終わろうとしている。気が重たいが、明日も店を閉めるために仕事をしないといけないので、仕方なく空港に向かう。東京に帰るのが惜しくて、北海道流されてくれねえかなあ、東京が山梨あたりに動いてくれねえかなあとか思ったが、どうも無理そうだ。前述の通り、仕事とその給料のために、お台場に体をお届けしないといけない。幸せカップルに悔しさを覚えながらも氷少なめミルク多めのラテを作らないといけないし、食いしん坊な人にホイップ多めのフラペチーノも作らないといけないし、子供を待ち侘びる夫婦のために、ディカフェのアメリカーノも作らないといけない。ホイップを仕込まないとフラペチーノが作れないし、ブラックティーを仕込まないとゆずシトラスティーが作れない。我慢我慢。 

2.スタバの画一性にホッとする 

 北海道にいたとて、私のスタバ好きは変わらない。今日も行くことにした。東京に来てから、スタバを使わなかった日はない。それだけ店舗数が多いというのもあるが、岡山の店舗であろうと、東京の店舗であろうと同じ雰囲気の中で過ごせるので、ある意味、東京の中で岡山を感じることができる。皮肉なことに、東京の画一性が岡山を侵食していたことが、安心感を導くことがあるらしい。なぜ空港のスタバにしたかというと、前に店舗に来たお客さんに、新千歳空港限定のフラペチーノが美味しいと聞いていたためだ。その名は「ホワイトモカエスプレッソフラペチーノ」。一般店舗には取り扱いのないコーヒーホイップクリームが乗っている。普通に美味しそう。IDを見せて、挨拶して購入した。地方でIDを見せた時のPTRさんの反応第1位は「東京の店舗ってかっこいいですね!」系統だ。今回も例外なくそう言われた。新自由主義がお好きなようで何より。岡山で買った時もそうだったが、「東京からようこそ」的なメッセージを添えてくれる。このメッセージを見ると、東京にいないことが目に見えて分かるから、来てよかったなと嬉しくなる。PTRの方々がイキイキと働いているのは、東京も北海道も岡山も同じで、こういう画一性は必要なんだとも思う。

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3.やっぱり東京はどこにでもある

 保安検査場と搭乗ゲートを通る。電光掲示板のNARITAの文字は東京を感じさせないから良い。成田(東京)と書いてあるのを見ると、ここ千葉じゃんと突っ込みたくなるので、それをしなくて良いのは非常に助かる。空港は地方だろうが東京だろうがどこも似ている。でっかいモニターがあって、呼び出しや案内が流れ、見送る人と見送られる人がいて、スーツケースが運ばれている。なふかふかの椅子で、綺麗なCAの方々がいて、飛行機が前ならえをしていて、時間通りに運行されている。やっぱり”東京”なんだよな。画一性。前ならえの現代社会。

 でも、東京で働いているから東京の良い部分もそうでない部分も見ることができるし、それをネタにnoteも書くことができている。やっぱり、成功ばかりして北海道に羊を見に行っても可愛さしか感じない。成功ばかりしていたら、今回の弾丸北海道旅はなかった。成功して北海道に行けるほど、私は成功できていないのかもしれない。今の小さな成功でいけるのは多分、鈍行で宇都宮くらいだろう。

 明日からもまた普通の1日が始まる。朝起きてご飯食べて、バイトに行って、帰ってきて寝る1日。ホイップ巻き巻きしないと。

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 灰色と緑色をつなぐ紫の翼は、私をコンクリートに埋め戻した。

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