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受験“ビジネス”の功罪(芝国際と栄東)

受験を通してだけど、商売ってやはり不真面目にやるとそれが透けるんだな、と世間一般的なこととして思った話。

中学受験真っただ中の2月4日現在。
絶賛炎上中の学校がある。
今年から名前を変えて生まれ変わった芝国際である。
炎上している理由は様々なのだが、(様々な問題が同時に起こってるから炎上している。)

・1日の発表が23時予定だったのが押しに押して0時を過ぎた。
(合否結果を見て出願する(23:59までに)ケースがあるので、それだけで色々な家庭に大きな影響を与える。)

・謝罪文を出したが、不慣れだったため、や採点が終わらなかったため、ではなく、色々なデータを同時に出そうとしたところそれが出来なかった、という理由だったから再炎上。(色々なデータなんていいから時間を守ることを最優先にしろ)

・2日の算数に出題ミス。(その問題ではまった子はかわいそう。(出題ミス自体は色々な学校でたびたびあるが、炎上中だったので更に燃料となった。)

・合格証書を取りに行く列と、受験をする子の列が同じ。しかも合格した子と職員が談笑している。(受験をする子はまだ受かっていないから受験をするのである。受験生のことをちゃんと考えている先生方なのか?という疑問)

・事前の説明会では合格者をたくさん出すと何度も言っていたのに合格者激絞り。そのデータをHPに公表して超炎上。炎上したから?か引っ込める。(このデータ出したら炎上するに決まってるから、内部に、え?こんなに合格者絞っちゃうんですか?ありえなくないですか?受験生のこと考えてますか?って人がいて、その人が内部告発のつもりでデータ公表したんじゃないか、とすら思ってしまう。でもこれ言ったら絶対炎上するやん、ってこと言っちゃう著名人も多々いるしな・・・。炎上すると気付かないで出したんだろうか・・・。だとしたらセンスも無い・・・。)


個人的には一番下が本当に許せなくて、他はミスだったり、配慮の無さだったりだけど、一番下はただの詐欺じゃん、と。
合格者をたくさん出しますよ、その言葉を信じてたくさんの受験者が受けに来た。実際たくさんの合格者を出してくれた上でそれでも実力が足りなかった子がいたのならそれは仕方ない。でも蓋を開けてみれば合格者激絞りで倍率低い回でも5倍とか。回によっては30倍とか合格者0(無限倍)とか。通常このレベルの学校は2倍割れだったり、高くても3倍くらいなのに。

ようは、受験者をたくさん集めた上で合格者を激絞ることによって、合格した子の点数は高くなるので、来年から偏差値が上がる、という寸法である。(ついでに受験料もたくさん取れる。)

この学校を受けた子は、当然ながらその時間帯には他の学校を同時に受けることは出来なかったわけである。
他の学校を選択していれば受かったかもしれない子が大量に落とされた。
のべ1000人以上の子の人生を狂わせた、と言っても大げさではない。

受験はビジネスでもあるが、ただのビジネスではない。
我々のような一般の講師は、何人受からせた所で待遇が変わるわけでもない。
それでも必死に目の前の子を受からせようとするのは、その子の人生を背負っているからである。ただのビジネスではないのだ。

このような仕打ちをする学校を我々が勧めることは二度と無いであろう。
どんなに見た目上の偏差値が上がった所で、あの学校は辞めた方がいい、と伝えるだろうし、この年の出来事は深く胸に刻むことになるだろう。
来年度からは人気が落ちるのは目に見えている。

かなり今年は人気が出たので、説明会での説明が非常に上手かったんだと思う。でも、そんな“ただのビジネスが上手い人達”、が本当に上手くいくのか。学校は、子ども達の人生を背負う場である。子ども達の人生を軽視している学校に未来は無いと思うのである。

ところで、毎年、“ビジネスが上手いな〜”と皮肉ではなく思う学校がある。
栄東である。
1月前半に受験を行い、いまや毎年のべ1万人ほどが受験する。
受験料が2万5000円なので、それだけで2億5千万である。

この学校は以前から、全受験生にその子の教科ごとの点数を教えてくれる。
最初の受験で、実際その子は本番でどの程度取れるのか、緊張で全く取れなくなるのか、普段通り取れるのか。自分で何点くらいかな?と思った通りに取れるのか、その子の読みは全然外れるのか。
そういったことがしっかり図れる。
これが本当にありがたい。
このビジネスの上手さを見習ってか他の1月校も点数を教えてくれる学校が増えてきたように思う。(栄東が最初に始めたかどうかまでは知らない。)

問題の作りも毎回しっかりしていて、また、栄東の合格を持っていれば最悪2月の受験に全て落ちた場合、ちょっと遠くても通わせるだけの価値のある学校だから保険にもなる。
一定以上のレベルの子の受験の登竜門として、非常に良い学校なのである。

どうせ採点はするんだから全受験生の点数を教えるのなんてさほどの手間じゃない、と思うかもしれないが、これは多分実際の手間以上に人的コストはかかっていると思っていて、点数を公表する、ということは、もし採点ミスがあった場合にバレやすくなる、ということでもある。
もちろん子ども達の人生がかかっている受験で採点ミスなんてあってはならないことなのだが、人間なので全学校で絶対に採点ミスが無いか、なんてそんなことはあり得ないわけで、ただ、受験のシステム上採点ミスがバレる恐れというのは基本的には無い。
全ての受験生に点数を伝える、ということは、のべ1万人の採点をしながら絶対に採点ミスをしてはならない、という枷を自らにつけるということでもある。

そうやって、学校側としてもそれなりに一定の努力をしながら受験生を集めている。
そして受験生サイドとしても、点数を伝えてもらうことによって次以降の受験の戦略を立てることが出来る、という、これぞwin-winの関係と思うわけである。本当に“ビジネスが上手い”というのはこういうことなんだろうな、と。

なんかそういうことを思ってしまった。
まあでも実際の世の中では前者のような人が甘い汁を吸ってるケースも多くあるんだろうな、とは思ってしまうけど、あまりそう考え過ぎちゃうと人生嫌になっちゃうので、後者のようなビジネスこそが真のビジネスというものだよ!結局はそっちが成功するんだよ!と思いながら生きていきたいね。

あ、あとこれはあくまで学校の運営サイドの話であって、今年芝国際に受かった子は超偉い。天才。
超高倍率の中勝ち抜けるだけの確かな学力を身に着けるだけの努力をしてきたことを誇って、それぞれの道に進んでいってほしい。
運営が腐っていたとしても、それぞれの学校に尊敬出来る先生や、尊敬すべき学友はいるはずなので、出来るだけ、良い人達から良い所を吸収して輝かしい人生にしていってほしいな、と願います。
みんなにはこれから無限の未来が待っているのだから。

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