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#46 大阪の気になる公共空間をあれこれめぐるの後編(凝り性の建築訪問記Part③)

先日、大阪に行ったとき、公民連携の切り口で気になっていた公共空間や公共施設をあれこれ巡ってきた旅の、今回は後編

前編では、万博記念公園内にあるムラサキパーク(吹田市)、安満遺跡公園(高槻市)、おにクル(茨木市)と大阪北部を回るところまでだったが、今回はそこから南下していくこととなる。

前編の3箇所では、大体昼過ぎくらいまで時間を費やしたので、ここからはティータイムくらいの時間帯からということになる。
あちこち寄っているので、大阪2日目みたいな感覚になりそうだが、実はまだスタートしてから3時間ほどしか経っていない(笑)

吹田〜高槻〜茨木と、10分ずつくらいの移動時間で渡っていける距離感だったので回れたのと、ここからは少し距離もあると言うことで、ゆっくり行きたいところだが、この日は18時からZoomでのオンラインミーティングも入っていたので、そうゆっくりしてもいられない。

この辺りは、もはや仕事なのか趣味なのか分からないゾーンであり、自分で言うのも何だが、凝り性な建築オタクとは怖いものである(笑)

余談はさておき、前編に続いておにクルの次に向かった、大東市のmorinekiから振り返っていくこととしよう。


morineki(大東市)

公民連携の分野では、もはや知らない人はいないだろう、大東市のmorineki

こちらを訪問するのは2回目で、前回来たのは2年半ほど前で、その時は地元の仲間と一緒に訪問し、事業開発者であるコーミンの入江さんにありがたくご案内いただいたのだが、今回は一人旅。

あと、前回は津山から車で訪問したので、駅からの距離感とかイマイチ掴めていなかったのだが、今回は四條畷駅からのアプローチで、駅から徒歩約5分と、結構な駅チカなんだということに気付かされる。
津山ような田舎だとこうは行かないので、電車で近くまでアプローチできるというのは、こういう一人旅では非常にありがたい。

さて、2回目のmorinekiであるが、ここの魅力はなんといってもランドスケープとそこへの建築の馴染ませ方だと思う。
言葉では表現が難しいのだが、公園と建築との距離感というか密度感が非常に心地良いのである。
この辺りの感覚は、紫波町のオガールとよく似ている。
そこに、決して高価な仕様ではないけれど、上質なデザインの建築が低層で建っていて、その中に上質な暮らしをイメージできるコンテンツ(カフェレストラン、ベーカリー、アパレルショップなど)が建築の雰囲気そのままに埋め込まれていて、それが特別な場所ではなく、日常の延長線上にあるのが実に素敵である。

毎日の暮らしのすぐ先に、こういった場所があることが、どれだけまちにとってプラスになっているのかと改めて実感する。
しかも、ここはかつて、あまり人が近づこうとしなかったエリアだったということで、2重の驚きである。

正にこれぞまちづくり。

morinekiといえばこのアングル。公園と建築の密度感が心地よい。
ここからは市営住宅のゾーンで、こちらの配置も非常に快適である。
軒下空間とデッキから広がる芝生の景色がいい感じ。この日はボーイスカウトの方たちが利用。

詳しいことは、入江さんの書籍にたくさん書かれているので、これからmorinekiを訪れる方は、行く前に読んでからの訪問をオススメする。

あと、morinekiの道向かいに、もりねき書店がオープンしていて、2年半の間にあったここ最近の変化。
入江さん曰く、この周辺の路線価はかなり上昇しているとのことで、こういったエリアへのはみ出しが広がって行けば、さらにエリアの魅力が増していくのだろう。

本当に素敵な場所だ。

morinekiの道向かいにオープンしたもりねき書店
今回はこちらで珈琲を堪能

タグボート大正(大阪市大正区)

さて、次はずっと行きたかったのだが、これまで機会がなく行けていなかった大阪市大正区のタグボート大正(TUGBOAT TAISHO)
こちらは大阪環状線の大阪(梅田)と天王寺の中間あたりのところで、大阪ドーム(京セラドーム)に程近い場所。
淀川から分かれた尻無川の水辺にある、

開発がただでさえ難しい河川エリアにあって、公と民が連携しながら、このような民主導の場所ができていることは感嘆でしかない。
また、建築費をできる限り抑え、テナントの家賃を低く設定し、地元を中心とした魅力的で尖った飲食店を集積させるような手法は、ありきたりの再開発事業では絶対にあり得ないものであり、不動産開発として非常に参考になる。
都心によくある、表面上はかっこよく整備された再開発ビルに、名前をよく聞くチェーン店が軒を連ねるような場所とは全く違う、ローカルの良さが詰まっている。

梅田や難波あたりではこうは行かないかもしれないが、大正区という場所には非常に合っているように思うし、深く考えなくても、水辺というだけで非常に心地が良い。

水辺に建つ軽快な建築はコストはかかっていないがカッコいい。
川べりとウッドデッキの組み合わせ。ロケーション最高。
フードテラスの店舗側はこんな感じ。テナント費を安く抑える工夫が随所に見られる。
クラフトビールの飲み比べ・・・川風にあたりながらのビールは最高だね!
この場所だからこその価値観があり、普通の店より断然美味しく感じる。

目の前をクルーズ船が走る光景を見ながらのお酒(オッサン一人ではあるがw)は非常に美味しかった。
この雰囲気と景色で、普通の店の2倍くらい美味い気がする!

泉南ロングパーク(泉南市)

少しほろ酔い気分で、タグボート大正を後にし、さらに南へ。
この日の建築訪問旅はここまでで、関空にほど近い泉佐野市の隣にある熊取町のホテルを目指す。

18時のZoomに間に合わせるため、飲んだ後だけどここでも結構忙しい(笑)

翌日、泉南市役所の方たちにご案内いただき、泉南ロングパークへ。

この場所は、関空を遠くに望み、海辺の絶好のロケーションであるにもかかわらず、大阪府が土地を所有したまま何も活用がされていなかったそう。
そのポテンシャルに気づいた泉南市が大阪府に申し入れをし、無償で土地を借受し、そこに民間投資を呼び込んで整備した公園である。

PFI(といっても行政からのサービス購入料とかなしのBOT+BOO)手法により、市費を負担することなく、完全民間投資により整備された公園だそうで、想像以上に凄い不動産開発である。

西に海を望み、夕日映えがする絶好のビューがある場所で、コンテンツ開発やランドスケープデザインも含めて、1から民間で公園を整備するという大胆な事業フレームとなっている。

シーサイドビューなレストランなどの店舗が建ち並び(ここにもスタバあり)、グランピングサイトがあったり、スケボーパークが併設されていたりと、トレンド要素満載の公園である。

中でも鉄骨フレームだけで構成された、建設中の建物のような構造物が目を引いたが、聞くと巨大なサスケパークとのこと。
こんな仕事をしていて慣れたとはいえ、高所恐怖症が抜けきらない僕には絶対無理なコンテンツであるが、めっちゃ楽しそうなコンテンツである。

これらの整備が全て民間投資によりなされ、多くの市民がその場を楽しんでいるということで、リーシングの内容とか建築のディテールとか細かいところは気になりつつも、これはこれで成立しているんだろうなと感心した。

翌日の朝は泉南ロングパークへ。
店舗が軒を連ねる。一番手前はこういう場所にはお約束のスタバ。
この日の昼食は海側に開かれたこちらのレストランで。
ランチメニューはワンプレートのパスタランチ。
こちら建設中の建物かと思いきや超巨大サスケパーク。
料金体系はこんな感じ。
無料であったが、スケボーパークもしっかり整備されている。

ということで2日間で巡った大阪の公共空間や公共施設あれこれは、ここまで。
振り返ってみると、怒涛の6連発であったが、そのどれもが興味深く、これからの活動の大きな参考になった。

最後に、そうそう、写真撮るの忘れてたけど、実は泉南ロングパークの訪問前に、貝塚市役所にも寄ってきた。

PFIで整備された貝塚市の新庁舎

貝塚市のFMといえば、あの2人ということで、実に7年振りの再開は、話も弾み非常に楽しい時間となった。
どチ◯ピラと呼ばれていた2人も、結構な役職になり、心なしか角が取れていたようである(笑)
7年振りの再会・・・前回津山で会った日には、そういえばあんなこともあったなぁ(笑)


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