見出し画像

#19 理系の僕が「公民連携」を数学的に捉えてみると・・・

僕は根っからの理系人間で、「数字」とか「数式」というのが小さい頃から大好物である。
50歳を超え、頭の中がフィジカル的に弱りつつ(シナプス回路が途切れて最近は物忘れが・・・)あるので、若い頃のようにはいかないが、数字を瞬時に記憶することが結構得意だったりする。

例えば、建築設計事務所に勤めていたころ、オフィスの書棚に「新建築」という建築雑誌がずらっと並んでいたのだが、◯◯さんが設計した◎◎という建築作品が何年の何月号に収録されているというようなことを、ほとんど頭の中で記憶していてみたり。
今でも、我が市の公共施設とかだと、◯◯センターは何年の竣工で、床面積が約◯㎡だとかいう情報は概ね頭の中で几帳面に整理されている。

ネットもありデジタル社会の今となっては、限りある頭の記憶容量をそんなことに使って、ロストしている情報もたくさんある気もするが、とにかく「数字」が大好きなのは昔から変わっていない。

反対に、昔から国語が大っ嫌いで、本を読んだり、文章を書くのが大の苦手だったのだが、こちらは必要に迫られて強制的にインプットとアウトプットを増やしたことによって幾分解消されているような気がしている。
noteを書くなんて、子どもの頃から作文が大の苦手だった僕には考えられないことだ(笑)

さて、ここからが本題。
僕が現在活動の中心に置いている「公民連携」分野において、各種プロジェクトを数学的な思考で捉えてみるとどうだろう?ということに今回は着目してみたい。
完全に理系的な発想なので、直感力が大きくてアイデアが次から次へと湧いて出てくるような天才肌(長嶋茂雄さんのようなw)の方には伝わらないかもしれないが(笑)


公民連携事業を創造するということ

僕の活動の中心軸は公共施設マネジメントという領域であり、言い換えれば数多ある公共施設をいかに最適な状態にするかという活動である。
ファシリティマネジメント(FM)ともいう。

公共施設マネジメントやFMの活動は多種多様で、公共施設の維持管理コストを適正化したり、量を減らしたり、保全活動を行ったり、もちろん新規整備も行う。
その中で、遊休化した公共資産やお荷物施設となっている施設などを民間事業者と連携して再生するような公民連携事業も数多く行っている。

ただ、これらの公民連携事業というのは、決まった「型」というのは存在しない。
絶対にやってはいけない、ある種の「鉄則」というものは存在しているのだが、まちやエリアの性質、施設の状態や用途も違えば、連携する組み合わせも全て違うのだから、方法論は無限大である。
また、変数が全て異なるから簡単にコピペできるような代物でもない。
(そもそも別のまちの事例をコピペできると思っている感覚が間違っている!)

大切なのはプロジェクト毎に、目標を設定し、どうやってそこに到達するかということを思考し、壁を乗り越えながら最適解に向かってカタチにしていくことである。
このプロセスは正に「創造」という行為に他ならない。

正解を導き出そうという教育の弊害

さて、公民連携事業を始めていく時に最初のスイッチを入れるのは、基本的には行政側の行動である。

さぁここで大抵の場合、問題が勃発する。

その行政側ではリスクをできるだけ避け、できるだけ正解を導き出したいという思考に支配されていることが一般的であるのだ。
解くべき方程式がすでに用意されていて、それを間違いなくこなしさえすれば、一定の答えに辿り着けるという思考回路だ。

これはある種、小さい頃からの教育課程に問題があるのかもしれない。

例えば、数学の問題では解くべき数式が与えられ、それを解いていくと1つの正解に辿りつくというのが、我々が習ってきた教育だ。
正解は誰が解いても1つであるというのが僕たちの常識である。

例えばこんな感じ。左から右に解いていって答えを出すのが日本式数学の特徴。

僕も小さい頃からそうだったが、日本の算数とか数学では、まず式が与えられ、それを正確に早く解くことが優秀な能力とされてきたし、特に行政マンにはそういったタイプが多い。

行政マンというのは実に真面目で優秀な人材が揃っているので、式さえ与えてやれば、結構難しい問題でも答えを導き出せるのだ。
ただ逆に、式をあらかじめ用意してあげないと、どこに進んで良いのか迷子になってしまうことが多々発生してしまう。

問題なのは、公民連携事業のような「創造」が求められる分野においては、その式が用意されていないということだ。

手法やスキームという罠

上記と似たような話で、手法とか事業スキームはどうか?という議論がよく登場してくる。
PFIだとBTOだとかBOT、コンセッションがどうとかSPCがどうとか、お金の流れはこうで、ここが成功のポイントだとか・・・

ありがたいことに我々が行っているコンセッション事業(旧苅田家付属町家群整備事業:城下小宿 糀や)は内閣府と国交省のPPP/PFI事例集に掲載してもらっているのだが、そこにも結構なスペースを割いて「事業スキーム」なるものが掲載されている。

赤線で囲った部分が俗にいう「事業スキーム図」

僕自身、この事業スキーム図なるものを思い描きながらプロジェクトを実施した経験はなく、後から図式化してと言われても「はて、どうだったかな?」とスキーム図の作成はなかなか慣れてなくて大変だったりする(笑)
(あまり興味がないということの裏返し?)

ちなみに旧グラスハウス利活用事業(Globe Sports Dome)では、外部から依頼があり、つい最近になってスキーム図なるものを作ってみた(笑)

GSDの事業スキーム図=多分こんな感じというくらいのもの(笑)

数式を解くのではなく、数式を作るという思考

さて、公民連携事業のような分野では、行政側においても新しい発想やクリエイティビティが重要になってくる。

その時に理系人間の僕は、論理的かつ数学的思考に基づいて事業フレームを企画していくことが多い。
ただそれは数式を解くというプロセスではなく、数式を作っていくという感覚に近い。

先にゴール(数式の答えの部分)の方を仮説で設定した上で、考えうる複数の方程式を組み合わせ、そこにいくつもの変数を代入し、よりゴールに近い数式を探していくような、通常の数学の解法とは逆のプロセスである。

先に答えとなる数字があって、それに行き着く方程式を思いつくだけ挙げていくといった、海外での数学の問題に近い方法である。

左から右に向かって計算を解いていくのではなく、右から左に向かって何通りもの数式や変数を当てはめていくという感覚と言えば良いだろうか。
だからプロジェクト毎に数式は変わっていくし、経験とともに新しい法則なるものも発見できたりする。
その数式が合理的であればあるほど良い、と考えている。

そのあたりが、元々数式が用意されていない公民連携事業の醍醐味ではないだろうか。

僕はアッシュ・リンクスのような明晰な頭脳は持ち合わせていないので、フィボナッチの数列を発想することは多分できないだろうけど、まぁ数学好きの僕として、BANANA FISHの下のようなネタは大好物だったりする(笑)

BANANA FISH 9巻に出てくる数列とは?
こういうのが大好きな僕w(高校時代か・・・懐かしい)

まさかBANANA FISHが最後のオチとはね(笑)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?