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Love Story#2.(対立)

プロローグ
A.D.26年(高句麗代武神(テムシン)王9年)高句麗(B.C.37年~A.D.668年まで約700年間存在した国)第3代皇帝代武神王(テムシン王)はまだ不安な高句麗の基盤を整う為に必死。
彼の息子であるホドンは力になり彼と大臣らの信頼を得るが彼は第1皇后でなく第2皇后からの子だった。
なので、第1皇后である延(エン)氏と彼女の幼い息子でながら腹違い弟へエル(ヘウ)、彼女らに従う右輔(高句麗最高官職の一つ)ソン・オックの一派に耐えない牽制をうける。
そして、敵国である楽浪国(ナンランゴク)の姫である崔 蓮(チェ・レン)と運命的に恋に落ちるが、厳しい現実に挫折する。
一方、楽浪国には敵が襲うと自ら鳴ってラッパが鳴る「自明鼓」(じめいこ)というものがあり小国でありながらも難攻不落の要塞であった。
登場人物
*ホドン(19歳):高句麗第3代大武神王(テムシン王)と第二皇后金(クム)氏から生まれた王子。
スマートで文武と知略まで兼備し、ナンラン姫と恋に落ちたが第一皇后延(エン)氏と彼女の一派たちの陰謀と計略に巻き込まれてしまう。
*崔 蓮(チェ・レン/17歳):楽浪国(ナンランごく)王、崔 利(チェ・リ)の娘。いわゆる楽浪姫と呼ばれる。敵国である高句麗の皇太子ホドンと恋に落ち、結局陰謀に巻き込まれ国と愛の中で選択を…
*大王(38歳):高句麗第3代皇帝代武神王。(テムシン王)本命はムヒュウル。第2代瑠璃明王(ユリミョン王)の三男で幼い頃からスマートで武芸が優れて皇太子に選ばれ王になり26年間高句麗を統治した。夫人は二人で息子は二人だった。
*皇后延(エン)氏(30歳):代武神王(テムシン王)の第1皇后。ホドンの継母。大王との中で子供がいないままで第2皇后金(クム)氏が先、男の子(ホドン)を産んでその後、男の子(ヘエル)を産んだ。ホドンが優れて皇太子になり、皇帝になるのを嫉妬しあらゆることホドンを謀略、妨害する。
*ヘエル(9歳):代武神王の次男。ホドンの腹違い弟。第1皇后延氏の息子。
*ヤン・シン(19歳) : 貫那部(カンナブ/高句麗5部の一つで初期の強力な政治派の一つ)出身で大模達。(テモダル/武官の高位階級の一つ)幼い頃からホドンの親友であり事件の鍵を握っている。
*チャン・コン(22歳): 楽浪国の上将軍。崔 蓮を間にしてホドンと恋敵になるが、決定的な場面でホドンを助ける。
*崔 利(チェ・リ/51歳):高句麗の隣小国、楽浪国(ナンランコク)の王。崔 蓮の新夫で厳しくて非情の性格所有者。
*ウル トジ(44歳):高句麗の貫那部出身の名宰相。左輔(高句麗で国防の半分を責任する第一官職)になり、懸命で実利的な政治で大王を力になる。
*ソン・オック(39歳):高句麗の名将。右輔(高句麗で左輔と比べられる官職。国防の半分を責任する)で右輔ウル・トジと対立する人物。第1皇后延氏とヘエルを支持する。
*クェユ(?):ホドンが格別にする占い師。奇異な人物でほとんどが知られてない。予知力が優れるが、それで災いを起こす。
*華真皇后金(クム)氏:ここでは直接登場はしないけど、代武神王の第2皇后でホドンの生母。かつてホドンを産んだ直後死ぬ。
*その他:ばば、雪華
*高句麗側:宮女、大臣1,2、将校1,2,3、兵士1,2、行政官、地方官、伝令、近衛将軍、巫女、声1,2
*楽浪国側:兵士1,2,3、太官(首相に当たる官職)、輿囲将軍

(字幕)西暦31年。高句麗第3代皇帝代武神(テムシン)13年

#4 蓋馬国(けまこく//高句麗に隣接していた小国)蓋馬城

大騒ぎの喊声。

つぶれた城門。

折れた旗。

あちこち黒い煙と火炎に包まれた悲惨な光景。

高句麗軍と蓋馬軍の激しい戦闘。

日が沈んで夜になり、

翌日、

また日が沈む

そして、三日目

まるごと戦闘。

蓋馬軍は城を守ろうと必死だが

徐々に徐々に高句麗に崩れる。

どんどん陥落されている。

高句麗軍を陣頭指揮しながら数多くの敵を切るホドンの

輝く活躍の様子が様々なアングルで見える。

#5.#4と同じ。(高句麗軍に完全陥落された蓋馬城)

散らばっている無数な蓋馬軍の遺体。折れた旗、槍。

立っている煙。

高句麗を表す黄色の三足烏旗が風になびく。

#6.句茶国(くだこく//高句麗に隣接していた小国)句茶城

陥落された句茶城。

句茶国兵士達の遺体。

なびく三足烏旗。

#7.高句麗皇宮ウィナアン城(以下皇宮)

大王(代武神王)を中央にし官僚達が揃っている。

無事帰還したホドンをはじめ今度の戦闘に活躍した者らが大王に御礼を尽くす。

大王:(とても嬉しそうな表情で)皆、本当にご苦労様。今度蓋馬国と句茶国の征伐で我が国の名声は天下に知られるじゃ。

大臣1:その通りでございます。今度の征伐で今まで朝貢(小国が大国に貢物をすること)を拒否していたあの東オクジョ(高句麗の東にあった小国)とマルガル族(昔、満洲地方で居住した民族で現在満洲族)をはじめ周辺小国たちが恐れて陛下に朝貢と共に永遠の忠誠を誓いました。

大臣2:更に今度の征伐であのわがままのプヨ(高句麗の北西部にあったライバル国)はもちろん、中原の盟主を自負する後漢(漢の滅亡後A.D.25~220年まで現在の中国に存在した国)の劉秀(リュウシユウ/後漢の初代皇帝)も我高句麗をこの以上侮ることはできないと思うのでございます。

大王:ハハハ!全てが皆の功じゃ。

大臣一同:聖恩に感激の極みであります。

大王:そして、太子!(ホドン)、君の功が大きかった。これは父親としてじゃなくて一国の君主として言うものだ。

ホドン:誉めすぎでございます、父上。こちら大模達(テモダル/武官の高位階級の一つ)ヤン・シンをはじめ、忠誠で勇猛な大王の精兵らじゃないと出来ぬ事であります。

大王:ハハハ!太子は勇猛だけでなく謙虚まで揃えているじゃ。

そうそう、かつて魯(B.C.11世紀~ B.C.256年まで存在した現在中国にあった国)の孔子という聖人は「修身濟家治国平天下」とおっしゃったじゃ。

先代陛下らにご迷惑にならぬ、我が国の事を続けるためには一応自分自身を修めるのだ。

ホドン:心に刻む事でございます、父上。

(ソン・オックと同じ派ホドンを誉める大王の様子を見て狼狽な表情)

大王:(笑いを止めて厳格な表情で)皆、聞け!

大臣一同:はい!

大王:太子が本日、たとえ勝利のお伝えを持ってきたが、まだ安心は出来ぬ。今度蓋馬国(けまこく)と句茶国(くだこく)の征伐は朕(自分)の大業の始まりにすぎぬ。

始祖チュモウ大王(東名聖王/高句麗を建国)と先代王(ユリミョン王)陛下が果たせなかった「タムル(古土回復意味する高句麗の言葉で漢に奪われた古朝鮮の領土を取り戻す事)」の大業を達成するためにはまだまだ。

今は後漢の残滓が残っている楽浪(ナンラン)と帯方(テバン)もいつかは必ず取り戻すべきじゃ。(楽浪も帯方もかつて漢が古朝鮮を滅ぼして建てた4郡の一部)

これから更に大きくて激しい戦闘が朕と卿(大臣)たちを待っているん。そして、いつかはあの後漢の百万大軍とも歯向かう時が来る、必ず!

ホドン、大王の「楽浪」という言葉にぎくっとする。

大王の言葉ECHO(効果)…楽浪と帯方!…楽浪と帯方!…楽浪!!!

Effect(緊張の効果音)

#8.#7と同じ栄華殿(皇后延氏の居所)

宮女:皇后様、太子様お入ります。

皇后延氏(以下皇后):(意外とした表情で)ホドン?(嫌な顔で)どうぞ。

ホドン、皇后の部屋に入り、お辞儀をする。

皇后はやっと応じて眉をひそめる。

皇后:(皮肉な言い回しで)高貴でお忙しい太子様が何でこちらまで?

ホドン:(喜んで)母上!小子(親に自分を自称する謙譲語)大王陛下の命を奉じて蓋馬国(けまこく)と句茶国(くだこく)征伐を無事に果たして帰還し、母上にご挨拶に参りました。

皇后:(相変わらず皮肉な言い回し)本当に素晴らしい!そう、蓋馬国(けまこく)と句茶国(くだこく)の血の味はどうです?

ホドン:(硬い顔で)母上!

皇后:何で私が太子の母上です?私は太子を産んだ事実がありません。

ホドン:小子(自分)、実母が幽明境を異にした以来、母上を実母と同じだとしていました。

皇后:はあ?太子は今私を侮辱する気です?どうしてただ卑しいそばめと一国の皇后を比較するんです?太子は嫡子の弟(ヘエル)を取り除いて太子の席まで奪ってこんなわがままで...ひどすぎるのでは?

ホドン:(絶望的な表情で)母上…どうして小子の気持ちを知らないでしょうか。

皇后:もう聞きたくないです!お忙しいお身体がこちらで無駄な時間を…外にいるか!太子様下がるんだ!

ホドン:母上!

#9.楽浪国(楽浪城)

楽浪城主崔 利(チェ・リ)と娘崔 蓮(チェ・レン)、深刻な表情。

崔 蓮:嫌です、父上!

崔 利:蓮、もう一度考えてみて。チャン上将(チャン・コン)は知徳と文武を兼備したこの国第一の将軍だ。そんな条件の新郎はなかなかの者だ。

崔 蓮:少女、(自分)もう心から婚姻を決めた人がいると既に申し上げたわよ。

崔 利:一体、あの者って誰だ?一度、父に見せろ。違う、どこに住んでいる誰か名前だけでも構わん。

崔 蓮:恐れ入りますが、申し上げた通り今はまだ時になってないです。

後日必ず、お知らせするわよ。

崔 利:はあ、全く...娘よ、父は本当に心がもどかしいさあ。

崔 蓮:父上!

崔 利:?

崔 蓮:父上は愛を信じていますか?

崔 利:いきなりそれが何の話だ?

崔 蓮:愛を世の中のすべてを乗り越えるという...

崔 利:(怒って)いい加減にしろ!世間知らずやつ!儂はもうチャン上将との婚姻を許したからその通りにしろ!

崔 蓮:父上!

崔 利:そもそも婚姻というのは愛だけじゃない。愛は一時雨と同じ。お前はこの父上と家門は考えぬか?力ある家門と家門の結合こそこの時代婚姻の理想なのだ!木だけじゃかくて森を見ろ。蓮、お前はそれを心に刻むのだ。

崔 蓮:(涙が出る顔で)嫌です!父上は可哀そうな方です...

崔 利:蓮!

<続く>

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