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2-9.ロードキル(Road Kill)

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[オーさん知っている?
タヌキはさあ、夫婦間の愛情が溢れてまるで人間みたい。
メスがロードキルで死んでしまうとさ、
オスは悲しくて危険を被って道路上を離れない。
もう死んでいるのに…
それで残念ながらさあ、結局一緒にロードキルで死んでしまう。]

先日夕方、神戸港を出航したサンフラワー号は美しいメリケンパークと神戸タワーの夜景を後ろにして
滑るように大分に向かいました。

夜中瀬戸内海、明石海峡を通過して目的地大分港に早朝到着し現地の観光バスに乗りました。

添乗員になった2ヶ月目。
バスツアー→新幹線ツアー→航空機+船舶ツアー…
次々
短い期間でツアーの難易度はどんどん台風の様に
進みました。
慣れる慣れないとかも感じる余裕なく、
2015年5月の自分は当然の様に49人乗大型バス
満席のお客様を連れて高千穂という未知の所へ向かったいました。
そもそも九州上陸自体が始めたでしたね。
もちろん、お客様には内証事。

皆わくわく楽しむ旅が、
自分としては人類初有人宇宙船で火星を向う気分でした。

この日、神様はそんな僕を同情したか、観光バスのドライバーの代わりに先生を送ってくれました。
地元の観光バスドライバーさんはこんな皆に優しいか?
いや、違うと思います。

ドライバーさんは席も足りなくてガイド席に座った僕の空気を読んだか、
運転しながら高千穂到着後の案内ルートやイメージを絵のように詳しく説明してくれました。

全てが初の道だったのであるお客様には文句もうけましたが、
ドライバーさんのお陰で高千穂、阿蘇山、長崎、福岡、柳川まで続いた九州を500キロも回ったツアーは無事に終わりました。

可愛そうにロードキルされたカップルのタヌキを過ぎたのは大分港から高千穂へ向う静かな道路上でした。
ドライバーさんのタヌキの話で僕は感動を受けました。

[それが、さあ…メスが死ぬとオスは離れなくて一緒に死ぬじゃ。
ところが、オスが死ぬとメスは一緒に死なないんだもん。
人間もそうかなあ…]

ロマンチックが破れる瞬間でした。(^_^)
人間と似ていると言ったドライバーさんの意味は一体どの部分かと謎が産まれました。

福岡空港から羽田に向う機内で僕は笑いました。
雨にも降られながら
ケガもしながら、
そうふうに
僕は
添乗員として成長して行きました。

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