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師走と1年お疲れ様/小説⑩【1話完結】/ストレスジャンププール

はぁ〜、と溜息を吐いた…

仕事帰りの電車を寝過ごしてしまい、終点の駅まで来てしまったのだ💦

次の電車が来るまでは、しばらく待つので、扉が解放されて寒~い待合室にいる

少しでも暖かい所を探し、暖房が直接当たる席に腰をおろした

はぁ〜

最近、とても疲れている

物忘れが多かったり、落し物をよくしてしまう💦

やっと冬らしい気候になったのはいいけど、、、

寒いし、寝ても疲れが取れず、いつも眠い…

もしかして、慢性疲労ってやつで、疲れが取れないのかな?

あたしは、人間も熊みたく冬眠して、眠りたいだけ寝て、身体を休める、長期休暇があっても、いいんじゃないかと思う

年末年始は休みを貰えるだけでも、ありがたいよね…

この時期や生活に直結する業種の方は、休めないだろうし…

明日も、また仕事か…

はぁ〜

考えると憂うつになるから、止めよう…

空調の暖かさを感じ、目を閉じると、意識が遠くに行く感じがしてきた…

まもなく電車が到着する放送が耳に入っても、身体が起きそうにない…

やばい、起きないと💦

明日、仕事なんだし…

でも身体は動きそうにない…

いや、動きたくない?

会社に行きたくないのか?

眠りに落ちる直前、雨も降っていないのに水音が聞こえてくる

ざぶ〜んという水音と共に、あたしの意識はなくなった…

~~~~~~~~~~

う〜ん、なんか足元が暖かいなあと感じ、ゆっくりと目を開ける

あれ!?

駅の待合室にいたはずが…

あたし、こたつの中で寝てたみたい!?

身体を起こすと、ゆるキャラぽい河童が、お煎餅を美味しそうに食べてる!?

「あっ起きたの?

お煎餅食べる?

みかんもあるよ?」

えっ!?

か、か、か、河童がしゃべってんだけど…

ここはどこ?夢なの?

「…あっ、その、お腹空いてなくて、大丈夫かな…」

「そうなんだ。美味しいから、お土産に持っていきなよ。」

と、お煎餅とみかんを何個か渡される

じいちゃんとばあちゃんが存命の頃は、帰省する度に貰っていたっけ

懐かしいな…

「そ、そっ、その、ありがとうね。

ね、ねぇ、河童さん…

ここは、どこなの?」

「おいらのウチだよ。」

「えっ!?」

「おいらのウチだよ。」

「えっ、だって、あたしは…」

「まぁ、細かいことは気にせずにさ。

こたつで暖まっていきなよ。

お茶を持ってくるね。」

えっ、おいらのウチって、一体どこなのよ…

ふぅ〜

こたつの台に、頭を横に寝かせてみる、、、

…やっぱり夢なのかな?

それにしても、暖かくて心地いい

しかも、このこたつがさ、じいちゃんとばあちゃんの家にあった、丸いこたつと同じなんだよね

なんか落ち着くな

「お待たせ。」

と河童が戻って来て、あたしにお茶を出してくれた

暖かい湯気とお茶の香りで、少し緊張が解れてきた

ゆっくりと、お茶を飲みながら、のんびりとする時間🍵

心が静かになり、あたしの呼吸が感じれるのも、随分とひさしぶりな気がした

ふぅ〜

「ごちそうです。美味しかったです。」

「よかった。

ねえ、よかったら、人間界の話を聞かせてよ。

おいら、人間の話を聞くのが好きなんだ。」

妖怪なのに、人間の話を聞くのが好きなんて、変わっているな

やっぱり夢かな?

夢でもいいかな…

最近、ちょっと仕事が大変で…

誰かに聞いて貰えたら、少しは…

「…河童さんが、興味がある話しでは、ないかもだけど…

…それでも、大丈夫?」

「うん。大丈夫だよ。」

…よし

話してみるか…
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少し前から、新しい業務を担当する様になった

それまでは、比較的に自分のペースで仕事が出来たし、適度に力を抜く所も分かっていたから、無理なく働けていた

けど…

今は、頭も身体も休憩時間以外は、休みなく動いている…

一緒に業務に当たる人が日々変わり、あたしにとって当たり外れがある…

まぁ、あたしの事を外れと思う人もいるだろうけどね…

休憩時間を削ってでも、業務を早く・急いで終わらせようとする人とは、あたしとは合わないと思う

一生懸命さや真面目さは、悪いことではないけどさ、、、

あなた達の無理や無茶をして仕事を完遂することが、標準や出来て当たり前・やって当然になってくるからだ…

"休憩時間を削ることが、当たり前だと"

暗黙の了解に変わる怖れがあり、とても迷惑だからだ…

この人達の同調圧力は、仕事が早い・遅いで人を区分して、優劣を付けるから、面倒くさい…

自己満足に留まらず、周りを巻き込み悪影響を及ぼしている…

あたしも、若い頃は、がむしゃらに働くのが正しいと思っていたけど、年を重ねたり、色々な人の話しや、事情を聞くとさ、、、

みんな仕事以外の私生活があってさ、そんなに仕事に全力投球したら、私生活が疎かになり、ダメになってしまうんだよね…

そんな状況で、日々変わる相方次第で、仕事の大変さも変わる…

今年は大丈夫と思ったけど、疲れやストレスが溜まっていたのか、腰痛が起きてしまい、痛みに耐えながら働いている…

はあ〜
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河童は口を挟まず、最後まで静かに話を聞いていてくれた

「うん。うん。

そっか。そうだったの。

身体は?腰は大丈夫なの?

お仕事は休めないの?」

「身体は、腰は、なんとかかな…

休みの日や仕事から帰って、爆睡しているけど、疲れや腰の痛みが、なかなか取れなくて…

休みは、半年過ぎて有給休暇の権利を得たと、最近知ったばかりでね…

ゲームで言う所の、ラストエリクサー(完全回復アイテム)みたく、とても貴重だからさ…

大事な用事以外は、なんだか使うのが勿体ないくて、不意に休みが必要になった時の為に残しておきたいし…」

「今が、辛くて大変なら、休む時じゃないの?」

「う〜ん、そうなんだけどね…

まあ、なんとか仕事に行けているし、なんとか仕事もこなせるから、休むって考える頭がないんだよね…」

「そっか。そうなんだ。

でも、無理はしないでね。

辛かったら、休んでね。」

「…ありがとう。」

妖怪なのに、不思議な河童だな…

人間の感情や機微が分かるなんて…

長話しをして口が渇いたので、お茶のお代わりを頂いた

ふう〜

なんだか眠くなってきた…

話を聞いて貰って、胸のつっかえが取れたし、こたつの中は暖かくて…

こたつの台に、頭を横に寝かせる…

こたつの暖かさを感じ、目を閉じると、意識が遠くに行く感じがしてきた…

眠りに落ちる直前、どこからか水音が聞こえてくる

ざぶ〜んという水音と共に、あたしの意識はなくなった…
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意識が戻り、目を開けると、あたしは駅の待合室にいた

あれ!?

夢だったのかな?

「・・・まもなく電車が発車します…ご乗車になって・・・」

あっ、やばい電車が!

慌てて椅子から腰を上げると、お煎餅とみかんがバックから転がり落ちた…

これって、河童ちゃんから貰ったのじゃ…

拾い集めていたら、電車のドアが閉まる音が聞こえた…

あっ…

行っちゃった…

仕方ない、次の電車に乗るか…

待合室に戻り、元いた席で、お煎餅とみかんを頂く

うん、美味しいな

ちょっと元気でたかも

年末まで、あと3週間か、、、

クリスマスもあるし、お正月も、遊びたい

だから、、、

"仕事は、ほどほどに働いて、余力を残し、身体を休めよう"

今年も色々あったけど、相変わらず失敗や間違いはするけど、気付きや成長もあったよね

仕事と住む所があって、年も越せそう

外の世界に不自由や不満もあるけど、あたしにとっては、いい1年を過ごせた気がする

あたしなりに、だけどね

来年も、いい年なりますように

私の身近な人達も、いい年になりますように
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お読み頂いて、ありがとうございます

まだ年末では、ないですが、もうすぐ、お正月なので先取りをしてみました

毎年、クリスマスからの年末は、あっという間に迎えるので💦

今日も、いい1日で、ありますように

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