見出し画像

映画「若おかみは小学生!」 *20/8/15

鑑賞記録:
映画「若おかみは小学生!」

あらすじ:
小学6年生のおっこ(関織子)は交通事故で両親を亡くし、おばあちゃんが経営する花の湯温泉の旅館<春の屋>で若おかみ修業をしています。
どじでおっちょこちょいのおっこは、ライバル旅館の跡取りで同級生の真月から「あなた若おかみじゃなくて、バカおかみなの! ?」とからかわれながらも、旅館に昔から住み着いているユーレイのウリ坊や、美陽、子鬼の鈴鬼たちに励まされながら、持ち前の明るさと頑張りで、お客様をもてなしていくのでした。
いろんなお客様と出会い、触れ合っていくにつれ、旅館の仕事の素晴らしさに気づき少しずつ自信をつけていくおっこ。
やがて心も元気になっていきましたが、突然別れの時がおとずれてー。

映画オタクの夫を通して、もともと高評価だとは聞いていました。が、なかなか映画のビジュアルイメージを見ていても、この低年齢児童向けアニメ的なビジュアルに食指が動かない。そうしているうちに時がすぎ、今年のGWあたりでNHKで再放送されているのを録画しました。
録画したこともすっかり忘れていたのですが、先日友人から「あの映画はすごいよ、、」とすすめられ、「そういえば録ったっけな?」と録画を探して、やっと観ました。

小学生が主人公の子供向けアニメらしいオープニングからはじまり、無駄がなく流れるようにすすむ脚本、見ているだけで気持ちのいいジブリらしさのあるアニメーション、そして流れるままに鬼展開
気持ちのいい日に川下りをしていたら、気が付いたらもう崖から落ちてました………みたいな衝撃がありました。
だって、表向きは小学生女児向け児童文学。私もお世話になっていた青い鳥文庫。完全に裏切られますよね…。

原作は、青い鳥文庫で20巻あるそうです。それを原作のいくつかのエピソードをかいつまんで、94分に構成したのはさすがとしかいいようがありません。
映画を観た後、rhymestarの宇多丸さんの解説を読んで、すごい…と唸ってしまいました。構成もですが、声優のキャスティングの意図にも舌を巻きました。主役のおっこ役の声優は小林星蘭ちゃんという当時本当の小学生子役に対して、おっこのライバルで同級生の真月役には水樹奈々さんというベテラン40代の声優さん。水樹さんが監督から受けた演出について宇多丸さんとトークした書き起こしが残っていて、これも読んで痺れました…。(検索するとすぐ出てきます)
実際、映画館での上映中、後半はほぼ30〜50代の映画好きの男性の鑑賞が多かったそうです。生粋の映画ファン層ですね。とてもよくわかります。

個人的には、しっかりと「お仕事もの」だった前半も、(全くこの後の鬼展開を予想もしていなかった頃だった)、とても好きでした。
おもてなしのお仕事の大変さと、お客さんに喜んでもらえた時の楽しさ、そういったものが幼い子にもわかりやすいようにつくられています。なにより、この「春の屋旅館」の信念が受け継がれ、守られているのが素敵でした。
その上で、ライバルの真月ちゃんのお家の客室数の多そうな大型ホテルと小さな旅館のメリットとデメリットの比較も少し語られ、これで旅館業を目指す子供たちが増えたら嬉しいなぁと個人的には思ってしまいました。(今の時代、厳しいみちのりですが…)

先日Twitterで「廃棄前提おじさん」というトレンドが上がっていました。
個人的には、高級旅館のサービスを受けたことがない人が増えているということなんだろうな、と感じていました。全体的に近年貧困化が進んでいるのだとも思いますが、旅行が好きな家族と育ったかなどによって、大きく変わりますよね。
この映画の春の屋旅館はかなりの高級旅館です。5部屋しかないと言っているし、夕食も朝食も部屋出しです。露天風呂にドリンクまで持って行ってたりしている。(これはなかなかしているところ少ないだろうけど、、)
高級旅館に行ったり、サービスを受けたことがなくても、こういったサービスが行われていることをアニメ映画が教えてくれるというのは、とても良いことだなと思いました。あんまり子供向けのアニメで高級旅館の描写ってないですよね。
高級旅館であれば、食事の量について相談すれば少なくしてくれたり、もちろん食物アレルギーや体調に合わせたサービスだってしてくれるだろうに、と思ってしまうのです…。部屋数が少なければ少ないほど、お客さんのリクエストに寄り添ってくれるところが多いと思います。旅館によっては、お料理少なめプランというのも探せばあります。

脱線してしまいました…
個人的には、この映画を観て、ジブリの「魔女の宅急便」のニシンのパイのシーンを思い出しました。あのシーンが好きな方って一定数いると思うんですが、あれが好きな方はきっと好きな映画です。

子供から大人まで、「児童向け映画なんて興味ないよ」と思っている方にもおすすめしたい1本になりました。

(あぁー温泉旅行に行きたいなぁ……)

この記事が参加している募集

note感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?