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新年度、入社式、風邪っぴき。

4月1日、日本社会の多くの会社や学校が新年度を迎える記念すべき日、またはエイプリルフール。

私はそんな日を、割と最悪な始まり方で迎えていた。
いや、最悪と言うと少し大げさな、それは割とありふれた悲劇だったかもしれないけれど。

深夜0時、4月1日が始まって間もなくのこと。
寝る前、水を飲もうと布団から這い出て、1歩を踏み出した瞬間の事だった。

メキャッ。

嫌な感触。
スーッと血の気が引く。

ヤッべ。メガネ踏んだ。

結構おもいっきり踏んでしまった。

メガネが置いてあったのが敷布団の上でなければ、あるいはその時点で終わっていたかもしれなかった。
不幸中の幸いというか、フレームが折れるとか修復不能な程にひん曲がるということはなく、ただ片目のレンズが外れてしまうだけに留まっていた。

しかし、これが大問題だった。
フレームがネジタイプなら、精密ドライバーと少しの格闘時間さえあれば元通りになっていただろう。

しかし、私のメガネはレンズをフレームの溝にはめ込むタイプだった。

そこそこ、いや割と全力でレンズを押し込んでも、どうにもハマらない。
半分以上は上手くはめ込めても、もう半分が入らない。

途中からは指紋がレンズに着くことも気にせず、もう割れるでしょコレという力技でグイグイと押し込むも、しかし、ダメだった。
どうにも最後のひと押し、あとわずかな部分が、元の鞘に収まってくれない。

まあ別に、1日くらい古いメガネなりコンタクトで澄ませばいいことなのだけど、生憎と明日は4月1日。

新入生の入社式という大事な日であり、しかも私はその式で司会という大役を任されていた。

コンタクトレンズは体質なのか3時間くらいつけていると目が痛くなるし、控えのメガネは相当に古く度数が合わない。あとダサい。
コンディションに不安が残る状態で入社式に挑みたくはなかった。

とはいえ、始業前の時間に開いているようなメガネ屋があるわけもなく、私は渋々とその中途半端にレンズがずれているメガネで入社式に望むこととなった。

いや、これが意外となんとかなるもので、よく見なければレンズがきっちりハマっていないことは気づかないし、強めの力でレンズを押さない限りは再び外れそうもない。

なんならこのまま生活できてしまいそうなほど、違和感なく使えてしまった。
私の深夜の格闘タイム1時間を返してほしい。

まあともかく、私の4月1日、新年度、すなわち社会人2年目は、そんな感じで微妙な始まり方で迎えることとなった。

そんな私の葛藤を余所に、弊社の入社式は予定通り執り行われる運びとなった。

新入社員のみなさんが、入社式の会場に入場してくる。
緊張で萎縮しているようにも見えるし、堂々と歩いているようにも見える。
むしろ、司会台に立っている私のほうがよっぽど緊張していたかもしれなかった。

壇上で一人ひとり挨拶をしてくれる彼ら彼女らを眺めながら、どうしても去年のことを思い出してしまう。

1年前の4月、あのステージの上に立っていたのは私とその同期だった。
ずいぶん緊張していて、事前に考えてきた割にはそれを忘れて、すっかり支離滅裂なことをしゃべった気がする。
それは同期たちも同じで、ほとんど皆ガチガチに緊張していたのを覚えている。

あれから、早くも1年。
まだ、1年。もう、1年。

1年も経ってしまったのかと驚くし、逆にたった1年しか経っていないのかと驚く。

成長はしただろう。それは間違いない。
多少は仕事を覚えたし、職場にもだいぶ馴染めた。
慢心もしてきた気がする。たった1年で。
満足もしてしまっているかもしれない。
最近、なにかに挑戦できているかと聞かれれば、あんまり自信を持った返答はできない。

新年や新年度、卒業、入社、転勤、転属。
節目になると人は振り返るし、反省するし、次に向けて目標を立てる。

節目にならないと自分を顧みないのもどうかと思うけど、そう思うならせめて節目くらいはしっかり自分を顧みる必要があるだろう。

次の1年、どう過ごすべきか。
どう働くべきか。

そんなことを考えながら、入社式は淡々と進んでいくのであった。

さて、風邪を引いた。

入社式が終わり、久しぶりに集まった同期たち(普段は客先や在宅勤務で顔を合わせない)とせっかくだからと飯を食いに行き、帰宅した夜のことだった。

悪寒に倦怠感、咽頭痛。

季節の変わり目というにはまだ冬が残りすぎている北海道であったが、まんまと風邪を引いてしまった。
悔しいばかりである。

しっかり熱を出して、しっかり寝込んだ。

不幸中の幸いというべきか、弊社は在宅勤務が可能なので、今後の旅行のためにできる限りとっておきたい有休の消費は最低限で済んだ。
しかし、新入社員との接触も、毎日更新は辞めると言ったもののだからこそ高頻度で更新したかったnoteの投稿も、何もできない一週間が過ぎた。

症状は発熱と嫌悪感から鼻水・咳・痰に移り変わり、在宅ならしっかり働いてご飯を作って食べれるくらいには、落ち着いてきている。

しかし、毎日半箱ティッシュが減っていくくらい鼻水は止まらないし、朝起きたら喋れないくらい喉がガビガビだし、微熱もずっと続いている。
なんともモチベーションの上がらない新年度の始まりとなってしまった。

病気なんて、周囲の人がいつもと打って変わって優しくしてくれることと、ゼリーを罪悪感無く食べまくれることくらいしか良いことがない。
有休は消費されるし、筋トレはできないし、睡眠時間は無駄に長くなるし。

この期間に捗ったことといえばただ一つ、Audibleの視聴だけである。
視聴というか、耳からしか入ってきていないので、「聴」か。

風邪のときにあんまり寝すぎると、いくら具合が悪いとはいっても眠り続けられなくなる、という経験はみなさんもあるだろう。
そんなときの暇さ加減、脳だけがただ暇を持て余すという気持ちもわかってくれるだろうか。

しかし、画面を見続けているとやっぱり具合が悪くなるし、お話してくれる相手もいないし。

そんなときこそAudible、聽く読書である。
なんせ、目を閉じて横になっても、例え真っ暗闇の中でも楽しめる。
脳が暇にならない。

白状してしまうと、ずっと西尾維新先生の『物語』シリーズを聴き続けていた。
とても面白いエンタメ小説ではあるが、まあ自己啓発本から学術書まで多ジャンル取り揃えているAudibleをこれだけ聞いておいて、何の学びも得ていないというのもどうかとは思うけど。

たまにはこんな休息もいいか、というオチも考えたけれど、思い返せばここ最近旅行三昧で、先週末も旭川に一人旅して散々リフレッシュしたばかりである。
というか、今回の風邪は十中八九それが原因だと思う。

というわけで、これだけ長ったらしく書いてきて、オチに困っている。
それこそ、何の学びも何の教訓もない記事になってしまいそうだ。

まあせめて、最後に一つだけ皆様に伝えられることがあるとしたら、これくらいだろう。

メガネは机に置いて寝ましょう。

以上、くらげもちでした。

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