友人の老後と移住とカレーの定食

12歳のときから適度な距離感で親しくしてきた大切な友人がいる。
喜怒哀楽を一通り共有してきているし、互いの体型のおぞましい変化も笑って指摘し合えるので、だいたい何でも話題にすることができる。
この前、久しぶりに会って、老後どうするのか聞いてみた。

「移住したいなと思ってて」

ああ、それはもう。ものすごく彼女らしいなと思った。彼女は東京生まれ東京育ち、正真正銘アーバンガールだったけれど、高校生のときも川べりで「鳥になりたい」と言っていたし(ただ鳥ではないので、その直後テトラポッドから川に落ちた)、海辺で朝陽を浴びたり、畑でトマトをもいで「おいしーい!」って食べていそうな人。

「それで、定食屋さんやりたいなって。カレーの」

彼女が作るカレーは絶対スパイシーなやつだ。インド方面で多種多様なスパイスを揃えてきて、油でそれらをバチバチ炒めるところから始まる小麦粉の入らないやつな気がする。私の中でそういうカレーが、定食という枠にはまる画がなかなか定まらなくて、まだモザイクがかっている。
サイドに据え置かれるおかずは何になるのか?

自分が想像しない人生にいこうとする友人はやはり面白い。

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