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〈ダーナ・インタビュー〉教師の経験を活かしながら農ある暮らしを叶えたい|Tim

 本のページをパラパラとめくるように、日に日に季節が数ミリずつ変化して、気づけば空気がシンと冷たい冬になりました。それだけ前回より時間が経ちましたが、Dana Village で交差した人生の物語を覗く〈ダーナ・インタビュー〉を再開いたします。引き続き、Dana Village インターン滞在・聞き手のなつみがお届けいたします。

 夏にミニトマトやメロン、その他の彩り豊かなお野菜たちを収穫したハウスは、雪深い西会津町では11月のうちに片付けが終わりました。ビニールを剥がして、いよいよ冬支度。夏前にボランティアのみんなが種まきや移植をしてくれた大豆や穀物類も、順番に収穫を終えました。

 さて今回のお話相手は高いところになるささげ豆を、お空に届きそうなくらい手を伸ばして収穫してくれた姿が印象的な高身長のTimさん。普段は大学で英語教師をされているTimさんは、残りわずかな教員生活の先にどんな暮らしを思い描いているのか、ワクワクと期待を込めた口調でお話してくださいました。人生の先輩として、いつまでも夢を叶えるために動き続けるかっこいい姿を見せてくれたTimさんの心に秘めた想いをお伝えします。



左から二番目:Timさん

Tim / 農業ボランティア
普段は大学の英語教師をしている60代。
アメリカ在住時に日本の民謡に心惹かれ、小さな町役場に楽譜の照会を問い合わせるほどの歌好き。退職後は、日本の古民家で農的暮らしを送ることが夢だそうです。



ーDana Villageに来たきっかけや、ここでやってみたいことはありましたか。

ここに来る前から、再来年退職したら、田舎に引っ越して、なるべく自給自足の生活をしたいと考えていました。

だから、Dana Villageで経験したことの中で真似したいことはいくつかあります。例えば野菜を作ること、人を迎え入れること、それから英語に関わることが一緒にできたら最高だと思って。英語を教える機会が作れたら、次は英語だけじゃなく、外国人が日本語を学ぶ機会も作りたいですね。日本人と外国人がお互いに自分の言葉が教えられたり、学べたりしたらいいと思っています。

ーそれが叶ったら、Timさんの周りで国と国、または人と人の壁がなくせそうですね。

でもそういう組織を作ったり、経営したりするのは大変。Dana Village で暮らしてみると、今までやったことのないことがいっぱいあると感じました。

例えば野菜の発送業務や、それをデータ管理すること。美農里さんも言っていたけど、そういうことは一人では絶対にできないと思う。どうやって仕事を分けるか、Dana でひとつの例を知ることができました。

ー現実を見ながら、叶えたい理想が具体的になり、よりこれからの道が築きやすくなったんですね。Timさんは農業ボランティアで二週間滞在されて、今後の自給自足に向けて、畑仕事で参考になったことや発見したことはありましたか。

以前は有機栽培した野菜を販売することを考えていたけど、こんなに大変なのかと思いました。だからとにかく自分たちの分の野菜だけ作って、もしDana みたいに人を迎え入れることになったら、その分も作ろうかと。僕は野菜を販売するのではなく、言語を学べる場所として、人と人との関係性を作ることに集中したいと思っています。

ーどんどん具体的に考えが膨らんだんですね。毎朝、畑仕事を続けてみてどうでしたか。

(道端の雑草を指差しながら)今、この雑草を見ると取りたくなる!これを取ったら、ここも綺麗になるじゃない?(笑)トマトや他の野菜が収穫されるのを、これからも楽しみにしています。

お空に手が届きそう!ささげ豆を収穫するTimさん

ー収穫量も多かったと思いますが、一つひとつ自分の手で収穫することで、何か感じることはありましたか。

以前から思ってはいましたが、スーパーで野菜を買うのとは全く違うと、より強く感じましたね。

ー(ハウスでの収穫が)最後だって寂しがってましたもんね。

昨日、採るか採らないか微妙に迷ったトマトがあって、明日採ろうって決めたんだけど、今日はハウスに行けなかったからちょっと心配ですね。

青いミニトマト達の中に一際輝く熟したミニトマト

ーお父さんみたい。Timさんは少し珍しい話をたくさんしてくれました。また美農里さんは英語を話すTimさんは少年のようだと言っていましたね。

(美農里さんと話した)その日はコンポストトイレとバイオチャコールの話をしていて。バイオチャコールは、何も化学物質が入っていない100%天然の炭のこと。空気中から炭素を吸着させるから、地球温暖化にはいい効果があると思うという話をしていました。

ー定年退職後のことを「第二の人生」と言いますが、Timさんは「第二の人生」の夢を叶えようと行動していてかっこいいです。年齢に関係なく、夢を追う姿は尊敬しています。

もっと早くにこうやって色んなところを訪れたりしたらよかったと思うこともあるけれど。その代わり、今まで他にも面白いことをやってきましたから。

ー例えばどんなことですか。

もう30年前くらいにアメリカで歌うことを始めました。大学院に行っていた頃、その町の周りにたまたま伝統を守っている小さい教会がいくつかあって、歌の世界と出会って、参加するようになったんです。今はそれが僕の人生において大切なことのひとつ。

ーDana Village 滞在中に影響を受けて、大切にしたいと思ったことはありましたか。

美農里さんの家族全員、光さんや未明さんも含めてみんなの生き方を尊敬しています。この家族は農業を一人ではなく、家族全員で協力していて、大きなハッピーファミリーを作り出しているんです。みんなで仕事を分担して、お互いに手伝いあっている。それは理想的な家族だと思うんです。

『東北食べる通信 2022年8月号』でチャルジョウ西会津農場・ダーナビレッジが取り上げられました。

ーそれはよく分かります。私たちもボランティアとして滞在していますが、みんなに役割があって、お互い支え合いながらのびのび暮らしていることが心地いいなと思いますね。Timさんもいずれは国を超えて、みんなが集まる場所を作るのかな。

そうですね。(元はと言えば)20代の頃、愛媛県で行われた英語のサマーキャンプにインストラクターとして4〜5回参加したことがあります。その経験から今も英語の授業はただの講義だけじゃなくて、ゲームを取り入れたりしていろんな活動をするんです。年齢的には小・中学生もできるゲームだけど、大学生も好きみたいです。

ーTimさんは今までも教師という仕事を続けながら、どこか壁を取っ払うことを続けてきたんですね。

はい。だから今までの経験も活かして、とにかく人との出会いがあるようにしたいです。来た人たちが出会いを通していろんなことを経験できる場所を作りたいですね。

ーTimさん自身はDana Village でみんなと出会ってどうでしたか。

大変よかったですよ。皆さんのことをもっと知りたいと思って、たくさん質問もしました。

ー二週間の滞在を終えられますが、ここを旅立った後、これはすぐにやると決めていることはありますか。

まだ決めていることはないですが、(定年退職して)二年後にどこに行くか自分でも全く分からないんです。西会津なのか、南会津なのか、全然福島じゃないところなのか。

ー西会津では光さんを通じて、よいご縁もあったようで。これからも自分で実際に訪れて探していくのでしょうけど、理想の古民家が見つかるといいですね。

そうですね。僕は自分だけが古民家に住めればいいというわけではなくて、周りの家も皆そうやって暮らしている人たちだったら理想的です。

ー集落全体が、ということですか。

はい。でも、そういう町はすぐ観光地化してしまうからね。例えば岐阜県の白川郷に二回行ったことがあるけれど、そこに住んでいる人たちのほとんどは観光客に向けて商売をしているようでした。僕はそうじゃなくて、農業をしながら暮らす人たちが住む町に興味があります。

ーTimさんの夢のお話は、私にもワクワクを分けてくれます。どんな「第二の人生」になるのか、話の続きを楽しみにしていますよ。お話を聞かせてくれてありがとうございました!



 今、この瞬間を生きること。それは人生という道をただ必死に走り続けるだけではなく、走りながら景色を眺めたり、予定になかったところに立ち寄ってみたり、時には誰かと一緒に走ったりしていくことだと思うのです。しかし、誰だって笑って走れる時もあれば、今すぐどうにもできない未来に不安でいっぱいになる時もあります。

 ご自身の夢を語るTimさんは、年齢に関係なく、日々笑おうと走り続けている人でした。彼の姿を見ていると、人生という道はどこまで行っても、眺める景色も、立ち寄るところもあるものなんだなと思えました。その瞬間(とき)、自分が景色を見ようとするか、立ち寄ろうとするか次第なのだと。


聞き手:なかのなつみ(インターン)

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前回までの記事はこちらです。

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『本来の自分らしさを取り戻そう』
Dana Village(ダーナヴィレッジ)は健康回復と自己発見をテーマにした体験型宿泊施設/農的暮らしを共にするコミュニティです。
福島県西会津町に位置しています。

◉有機農業をベースにした持続可能な暮らし
◉健康回復食(エシカルヴィーガン)
◉自然治癒力、回復力を高める生き方の実践
この3つを柱とし、現在はオーガニックメロンや農産物の販売、宿泊、ボランティアやインターンの受け入れを中心に活動しております。

〈料金について〉
通常の滞在 : ¥8,500〜
短期間のお手伝い型滞在: ¥3,500〜
2週間以上のフルタイムボランティア、インターン: 滞在費、食費無料
バイオダイナミック・クラニオセイクラル・セラピー: 初回¥12,000(2回目以降¥8,000)
代表によるホリスティックヘルス塾: ¥5,000
アクロヨガWS(滞在者のみ): ¥3,500

*詳細やお申込みはこちらから。
セラピーやアクロヨガのワークショップをご希望の方はご予約時にご連絡ください。


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