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プロゲーマー契約解除問題:プロフェッショナルと所属契約

 先日、プロゲーマーの契約解除問題で論争となり、おなじみのウェブ意識調査部が取り上げたアンケートが多くの波紋を呼び、その余韻が冷めやらぬという昨今。みなさん、いかがお過ごしでしょうか?

この程度の問題を理解できずに表現の自由戦士の肩書きを名乗る資格はないとカテゴライズされたトゥーンベリ・ゴンです。

いや、表現の自由戦士は元々は嘲笑・レッテル貼りをする為に作られた「蔑称」でありますから、私本人が好き好んで名乗り始めたわけでもありませんし(呼ばれたら、わざわざ否定はしない)、その看板を外されても一向に構わないのですが、志を同じくラプラ氏に投票した半数の皆様との意識の共有を図りたいと思い、noteにまとめておこうと思います。


① はじめに

 今回、結果的に双方センシティブな状況にありますので、私自身の経験や体験、感想に基づく意見についてはクドい程に断り書きや注釈を加えて記述したいと思います。というかシンプルに感想文です。

対象としては上記アンケートのラプラ氏側に1票を投じてくれた方、投じずとも賛同してくれた方向けで、ゴンがどんな事を考えているか?を表明するものです。

他方への説得を試みるものでもありませんし、「私がこう考えていますよ」というだけでなんの権威もありません。むしろ「ゴンがこう言ってるから逆張りしておけばOK」的に格が下がる心配をした方が良いかもしれません。笑

さて、私の本件に対するツイートはこちらで、要約すると

契約内容が不明なので、どの立場で物を申そうが
各自のお気持ち品評会で終わり

というものです。また私の感覚として、

「所属タレントの不祥事」「スポーツ選手の素行不良」
と同様で契約解除も已む無し

と、まとめました。このツイートでは「一般論として」と書きましたが、アンケート結果からは一般論とは言えませんでしたので、あくまでも私論として書いたものと改めさせて頂きます。

この時、この2点、特に契約解除も已む無しが波紋を呼ぶ事になろうとは思いもせず…


② ウェブ意識調査部

 そんな折に、冒頭のようにウェブ意識調査部アンケートが始まります。

論点は手嶋氏の「雇用側の判断基準なら仕方ない論を突き詰めると、被雇用者の表現の自由は実質ない」という主張と、ラプラ氏の「雇用とスポンサードは異なるのでスポンサーが降りるのは当然」という主張です。


③プロゲーマーの世界

 ここから盛大に遠回りして私見を述べますので、お暇な方だけお読みください。ツイッターでは説明しきれなかった部分を詳らかにします。ただ長いです。笑

・ゲームは好き?

 私も言わずもがなビデオゲームは大好きです。過去記事で触れたように、主にベルトゲーをプレイしていました。家庭用なら桃鉄とかですね。

引用元:nintendo Wii Virtual Console VC魂斗羅スピリッツより

ゲーセンに足を運べばストIIIや鉄拳シリーズ、バーチャファイターがあった時代ですが、私は格ゲーは上手くありませんでした。いえ、正直に言えば下手です。

同じく下手な友人とワイワイプレイする事はありますが、ゲーセンで「お、台が空いているな?」と思ってワンコインを投入しても、身内ではない対戦者が現れれば100%負けるタイプです。

当時、格ゲー界は既に「ニワカ排除」問題を抱えていたように感じていました。ニワカ排除とは、初心者は上手くなるには練習するしかありませんが、練習しようとプレイを始めても、知識やテクニックで上回る熟練プレイヤーが、有利キャラで乱入し(所謂「被せ」)、初心者は反撃不能で負けてしまうような心境に陥ったり、さらには言葉で追い打ちを掛けて「ブッパ」「雑魚い」「ニワカは帰れ」「入ってくんな」「対策できてねー」等と罵声を浴びさせるなどの諸問題の総称です(ゴン視点)。

そもそも対戦台に「台パン禁止・台キック禁止(見かけた方は店員までお知らせください)」等と書いている時点でどのような環境か察するべきですが(書かれていなくても当たり前の事なので)、それほど殺伐としていたと言えば皆さんにも雰囲気が伝わるかもしれません。

※ゴン視点かつ地域性もあるかもです。

・ゲームが上手い奴は神

 それでも、私はゲームが上手な友人を羨望の眼差しで観ていました。レースゲームやシューティングゲームで1コインクリアしたり、テトリスやぷよぷよを長時間プレイ出来たり、そして格ゲーで強かったり、見せプレイをしたり(難しいコンボ等)。

ある程度強くなって、強いコミュニティに属しているとニワカ排除はなく、逆に親切な人が多い印象を受けましたが、学生風のプレイヤーには近寄りがたい印象で対戦したくもないし目も合わせたくありませんでした。

そんな私からしたら、上手なプレイヤーが相手をしてくれるのは実に光栄な事です。下手な私にはそれこそ人権はありませんから。笑

神にお付き合い頂き、手解きを受けるのに何の文句がありましょうか?

ゲームが上手い奴は神。

このコミュニティではゲームが強い事が正義なのです。

余談ですが、私が大学に通う頃(十数年前)には古き良きゲーセンは完全に下火となり、潰れる店が続出しておりました。

その頃からゲームの主流はオンラインやネット配信となり、私自身もゲーセンを引退して、ニコ生の64スマブラ界隈を自宅で視聴していました。トッププレイヤーの人気者っぷりに嫉妬して、指を咥えながらPCを眺めていました。

・プロゲーマーライセンス制度

 そんな折に、ようやく日本も重たい腰を上げ、プロゲーマーライセンス制度が始まります。当時ハードのプラットフォームは既にソニー・任天堂の二強(xboxファンの人ごめん)で、海外では高額賞金が懸けられたツアーが行われていました。

それにも関わらず、風営法(賞品系遊戯台、景品の上限など)に縛られ、人気ハードのお膝元であるにも関わらず日本は旧態然とした保守的な力に抵抗出来ずにいたのです。

個人的には「プロゴルフツアーと一緒では?」とか、「このエンターテインメントの主導権を海外に握られたままでいいのか?」と思ったものでした。

そこへようやくプロライセンス制度がはじまり、日本のプロゲーマーが誕生するのです。

私が非モテ代表として言うならば、ゲームはゲームが上手けりゃ神。デブ・チビ・ガリ・ハゲ・出っ歯・ブサメン・オタク・ネクラ・ヒキコモリ・メガネ・ハゲなどと侮蔑されようが、フィジカルで劣ろうが、模試の偏差値が低かろうが、男だろうが女だろうが、ゲームさえ上手けりゃいいんです。

普段は見向きもされない非モテ界隈の中から、一転脚光を浴びるプレイヤーが出てくるなんて、夢のような話ではありませんか。(個人の感想です)

ゲームなんか上手くて何の役に立つの?から

逆襲する時代が到来したのです。

・プロ契約とは

 当初の問題として、プロ契約は雇用契約なのか、所属契約なのかとの業界内での逡巡がありましたが、所属契約やスポンサー契約という形で概ね落ち着きました。

いずれの契約も、スポンサー(チーム)が出資してプロゲーマーを支援する(大会参加の為の旅費や宿泊費、アケコンやPC、モニターなどの支給)する代わりに、一定の制限も受けます。

例えばRedbullと契約したのにRAIZINを飲んだらダメだとか、Mad Catsと契約したのにLogicoolのマウスを使ったらダメという用具提供契約や、Redbullと契約したのにRedbullはマズイとか原価ナンボよ儲かりすぎ等とイメージを損なうような発言をすれば契約を破棄されるという感じで、プロゴルファーやプロレーサー(四輪・二輪・自転車含む)と同様の契約体形だと私は感じました(ゴン視点です)。

・ゲーム業界が目指すもの

 プロライセンス制度が始まった事で、子ども達の夢が広がったのは事実です。ゲームで世界一、プロゲーマーって、なかなか凄い響きではありませんか?

ゲーム業界は、そのエンターテインメント性やインタラクティブ性を発揮し、プレイヤーの裾野を広げる事、つまりは売上やシェアの増が目的で取り組む訳ですから、とりわけ購入決定権を有する保護者に信用してもらう必要があります。

先に苦言を呈したニワカ排除問題や暴言をプロゲーマーが普段から行うようでは、イメージダウンはしてもイメージアップは図れません。

従って、業界内で一定のコンプライアンス・プログラムのような取り組みで、特に人権差別、容姿差別については容認しないというスタンスは明確にあったように思います(ゴン視点)。

ゲームの下手な私には、確かにそのコミュニティ内での人権はありません。しかし、それをプロゲーマーが配信で「ワンパのブッパさんおつかれさーん」などと発言するのがよろしくないのは明らかです。当然雰囲気や程度問題はあります。相手が有利被せてバックジャンプ斬空波動拳を連射したら、「○ねよ」と言いたくなるのは理解できます。笑

奇しくも昨年、モータースポーツジャンルではありますが、F1チーム内での出来事は素早く対応され、Redbullグループはこれからゲーム配信をエンターテインメントのワンジャンルとして確立するためには業界を上げてクリーンで健全であろうという意志が伝わってくるようでした(ゴン視点)。

・煽りと挑発

 一方で、この格ゲーというジャンルにおいてのプロレス的な側面=煽り・煽られ・最後はハグ、のような一面はオーディエンスを引き寄せ、熱くさせるものでもあります。

ボクシングのように対戦前のマイクパフォーマンスを撮って互いの意気込みを放映し、エンターテインメント性を高める事も多々あるでしょう。

しかし、この煽りや挑発が一般人に向いてしまうとどうでしょうか?業界やスポンサーが目指す方向性と逆ではないのか、イメージダウンに繋がるのではないかとの心配の声が上がるのは自然な話です。

前段の「ニワカ排除」問題や、敗者に向けられる心無い罵声、怒号が飛び交う環境が影響したかどうかは分かりませんが、格ゲーは一時期の求心力を失いました。

自分でプレイ(をして傷心)するゲームから上手な人のプレイを(リアル格闘技のように)観戦するゲームにシフトチェンジしていったように感じたのは、私だけではないと思います(ゴン視点)。

・スポンサー契約

 長い話になりましたが、以上のような私見をベースにするならば、スポンサーと契約を結んだからには、契約内容に従って活動をする事は当然であると思います(ゴン視点)。

契約の内容が一方的であれば契約しない自由もありましょうが、契約を結んだからには、その契約に従うのが社会人のあり方。

また、契約内容に法令違反が含まれるのであれば、それは個別の問題として解決するのが望ましいでしょう。法令違反があるからといって、スポンサーの悪口を言ってもいいとはなりません。

非合法に対して非合法手段を講じても信用は勝ち取れません。弱い立場の存在が合法的に訴えるにはコストが掛かりますが、それでいてなお、合法的な行動を取ることこそが早く問題を解決すると私は思います(ゴン視点)。

④ 企業判断の妥当性とキャンセルカルチャー

 以上③が恐ろしく長い感想文になりましたが、私は今回のスポンサー契約解除については企業判断であるから「仕方がない」というスタンスを取りました。

トヨタのCMに起用されている間にクルマで接触事故を起こしたり、クロネコヤマトのCMに起用されている間に酒気帯び運転で現行犯逮捕などと同様です。

昨年、グリーズマンとデンベレの過去の映像がスキャンダルに発展し、コナミは数日でグリーズマンとの契約を解除しています。

このように、契約内容の詳細までは知れないものの、概ねスポンサー契約の性質は抑えている(と私自身は思っている)ので、シンプルに言ってこれは

契約解除はスポンサー企業の
判断の問題でしかない

と考えたのです。今回はむしろ、コマーシャルフィルムの作り直しやイメージダウン等の違約金が発生しなかっただけマシと言えるかもしれません(ゴン視点)。

②のウェブ意識調査部のアンケートでラプラ氏は「契約解除で当然」と強い表現を使い、私は「仕方がない」と消極的に容認しましたが、ゲーム業界やスポンサードの認識は似通っているため、方向性は同じと見て良さそうです。

しかし、なぜか他方からはこう見えてしまったようです。

ゴンはキャンセルカルチャーを容認している

いや、なんでやねん!笑

と笑ってばかりはおれません。私はフォロー頂いた方はフォロバする代わりにリストに入れて整理しておりますが、私やラプラ氏のように「契約解除已む無し」と表明したアカウントは軒並みキャンセルカルチャー容認派としてカテゴライズされてしまっています。

いや、マジでなんでやねん!!笑

⑤ ”キャンセル”の誤算

 当初、私からもキャンセルカルチャーが発生している事は見て取れていました。厳密には、プロゲーマーの発言を掘り起こしたり、文字起こしを切り貼りしてスポンサーに降ろせと要求するようなムーブメントです。このムーブメントにはいくつかの是認できない点があります。

・削除された動画も含めて、列挙された全てが正しいかどうか確証がない

・文字起こしが恣意的に編集されていないかの確証がない

・外野が集団リンチをしているのはキャンセルカルチャームーブメントだ

という認識でした。もちろん、このムーブメントには賛同しません。しかしどうやら、私に向けられた

ゴンはキャンセルカルチャーを容認している

は、別の部分だったんです。

私を含めラプラ氏に賛同するアカウントに向けられたのは、

契約解除(または解雇)がキャンセルカルチャーに該当する

とする主張だったんです。

『スポンサー企業がその優位的立場を利用して契約者の表現の自由を奪ったり、表現を萎縮させるものであるから、契約解除や解雇は望ましくない』

というのが論旨になると思います。

なるほど。これなら我々は「これはキャンセルカルチャーに該当しない」というオリジナル線引きを発表することに夢中になって、キャンセルカルチャーに安易に迎合し、フェミ憎しでキャンセルカルチャーに表向き反対はするけれど、(表現の)自由には興味がないとカテゴライズされるはずです。

だからといって、スポンサー契約と雇用契約の違いや、ゲーム業界の動向に詳しくもない素人の私がアカデミシャンに反論できる程のエビデンスも持ち合わせてもいません。全て私のお気持ち、私視点の私論しか展開出来ません。

ここで私がフォローしているアラ父さんのツイートが目に入り、大きく頷きながら表現の自由を行使したその責任を果たす為、批判や反論から目を逸らさず、こうしてnoteをまとめているのです。

でもね、説得は出来ないし、こうして表現の自由を語るに値しないとまで嫌悪されてもなお、私は私のバランス感覚としてこう思うんです(ゴン視点)。

契約解除はスポンサー企業の
判断の問題でしかない

⑥ 契約の自由は表現の自由を奪うか?

 アンケート開始から間もなく、私はこのようにツイートしました。こちらには手嶋氏よりリプライを頂けましたので、こちらについての所感を述べます。


○ 所属契約・スポンサー契約の場合

 完全に本件でありますけれども、この契約は互いに対等な立場で正式に交わされたものであります。契約が不当だと思えば断ればいいし、違法行為が含まれているならば、やはり断った上でそれなりの手段を講じれば良いと思います。

しかし契約に至ったのが厳然たる事実です。

また手嶋氏の主張するように、契約書(雇用契約書・労働条件通知書・就業規則に類するもの)には予期し得る文言を具体的に記載すべきでしょうか?私の拙い経験は、これを否定します。

私はスポンサー契約をした経験がないので、今回は雇用時の就業規則を代用しますが、例えば下記のように抽象的に書かれています。

私生活上の非違行為や会社に対する誹謗中傷等によって会社の名誉信用を傷つけ、業務に重大な悪影響を及ぼすような行為があったとき

不正行為と懲戒解雇| 社長のための労働相談マニュアル

これには大きく3つ理由があります。

1つ目に手嶋氏の通りに具体的に列挙するならば「社長はハゲ」は列挙されてるのでNGワードとして「社長は波平」はOKだと言い張る輩が出てこないとは限りません。

つまり、この具体性がなければ契約解除は違法だと主張するのであれば、ラプラ氏のツイートの通り、契約書に恐ろしい数のNGワードを列挙せねばなりません。

何せ、抽象的・包括的な文言は書いていないのと一緒、具体性がなければ司法が違法と判断すると仰るのですから。

また、差別語や侮蔑語は日々生まれますから、毎月のように新しいバージョンの契約書を作り直さねばならなくなります。しかし私が知る限り、そんなバージョンアップを繰り返す会社の話を耳にした試しがありません(ゴン視点)。

2つ目に抽象的に書いてあるからこそ、被契約者や被雇用者を守れるという側面があります。「社長はハゲ」とNGワードに指定されているのに、当人が「社長はハゲ」と公然と言った言質が取られてしまった。最早救いようがありません。しかし、抽象的に書かれてある事で「今回は就業規則に違反したとまでは言えなかった」「厳重注意とした」と守ることも出来ます。

3つ目に、イチイチあれはダメ、これはダメ、と数百ページに渡って記述した契約書に署名捺印させる事こそ表現の自由の制限である点です。「〇〇を言うな」「□□はしてはいけない」と具体的に明言している訳ですから、それこそ自由な言論や行動を阻害しようとしていると疑われても仕方がないでしょう。

そして、私や周囲の被雇用者と話をする限り、このような具体性のある文言を書き連ね、数百ページにも及ぶ雇用契約書や労働条件通知書、就業規則に目を通して署名捺印しましたよ、お目にかかった事がありますよという話がサッパリ出て来ないのです。

外資系やハイクラス求人についてはこの限りではないかもしれませんし、このnote公開後に「うわーゴンが底辺会社員だから知らないだけで、ウチの就業規則は今800ページあって人事部が毎日アップデートしたPDFを送ってきてますが何か?」なんて感想があるかもしれません(あくまでもゴン視点です)。

ちなみに就業規則の変更は労働基準監督署に届け出る必要があるので一月に一度の変更でもかなり厄介ではないかと思いますし、うっかり法令違反に気が付かずに提出してしまうと指摘され修正を求められる事もあります(悲しいかな、そのままスルーされる事もあります)。

ですから、このような抽象的かつ包括的な文言で十分に被契約者との意思疎通は図れるし、契約解除時に訴えられたとしても企業側はその正当性を主張できると、一般的には考えられていると私は思います(この”一般的”もあくまでもゴン視点)。

私生活上の非違行為や会社に対する誹謗中傷等によって会社の名誉信用を傷つけ、業務に重大な悪影響を及ぼすような行為があったとき

不正行為と懲戒解雇| 社長のための労働相談マニュアル


○ 雇用契約の場合

一方、雇用契約の違いはと言うと、こちらは被雇用者の方が圧倒的に強い法律があります。

1 解雇
使用者からの申し出による一方的な労働契約の終了を解雇といいますが、解雇は、使用者がいつでも自由に行えるというものではなく、解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、労働者をやめさせることはできません(労働契約法第16条)。解雇するには、社会の常識に照らして納得できる理由が必要です。

労働契約終了に関するルール

仮に今回のようなケースで、大企業(人事部・法務部のあるような)との雇用の継続や解雇を争った場合に一発レッドの可能性は極端に低いですし、運用上もなかなかそうはならないでしょう。

これが、所属契約・スポンサー契約と、雇用契約の大きな違いです。手嶋氏はどちらでも同じ事であるとして、ラプラ氏の主張を跳ね除けようとしましたがそれは違うと思います(ゴン視点)。

最初は直上からの口頭注意、次に書面での厳重注意や減給、それでも繰り返すようであれば…という手順を踏まなければ、企業側が解雇権の濫用だと逆に訴えられかねない。それくらいに雇用契約では被雇用者の権利が強いのです。

こうして簡単に解雇が出来ない為に、重要な仕事から外されて雑務をやらせて自ら辞めると言わせようとしたハラスメントが問題になった事がありましたが、もし今般のプロゲーマーが雇用契約であったならば、ラプラ氏も批判の矛先が異なったとツイートしています。

アンケートがはじまる前も「スポンサー契約だから」というシンプルな主張でしたし(枝葉はさておき)、私も私の感覚的に「うん、これスポンサー契約だからね」と同意した訳です(ゴン視点)。


⑦ 品行方正を求めるのは表現の自由の侵害か?

 ⑥のテーマを引き続きますが、もし手嶋氏の主張が企業活動で一般的であったならば、私のツイートは杞憂に終わるでしょうか?いいえ、終わりません。

これは所属契約・雇用契約のいずれでも、一般社会人としての倫理的な行動を求められるのはチームで企業活動をする上で最低限必要な事ではないでしょうか?

もし、

私が何を言おうが表現の自由、
その表現の自由を遮ったり解雇・契約解除をするなら
キャンセルカルチャーとして訴える!

と叫ぶ人と契約してしまったら、企業はどうすれば良いでしょうか?

今回、ゴンらはキャンセルカルチャー肯定派とカテゴライズした人々の主張をまとめるとこうなります(ゴン視点)。

企業が、その企業のイメージを守る為に品行方正な態度、社会人としての倫理的行動を求めて契約しようとする行為は、企業の優位的立場を利用した表現の自由への圧力であり萎縮させる重大な人権侵害である。

重ねて断りますが、これは私の感覚とはかけ離れています。そんな事を言ったらスポンサー契約なんて恐ろしくて出来ません。あえて私の感覚と強調しますが、企業はその契約を元に奴隷を作ろうとしている訳ではないからです。

新人教育には相応の時間とコストが必要で、なんなら余程の素行不良でもやらかさない限りは辞めて欲しくありません。また契約する側も、その団体や集団に属する上で求められる社会人として求められる振る舞いを人権侵害だとは感じていないでしょう(ゴン視点)。

中には被災地復興の3次請け・4次請け企業のように反社会的契約を結ばせようとするケースもあるでしょうが、今回関わった名だたる企業がそのような人権侵害の恐れがあると指摘されるような契約書を作成するとは思えません(もちろんこれもゴン視点であり契約書の内容を確認する事は不可能ですが)。

そして企業が見知らぬ個人との契約を重荷に感じて諦めた時、待っているのはこういう世界ではないかと私は危惧します(ゴン視点)。

⑧ これまでのまとめ

 以上から私は、スポンサー企業が品行方正な態度、倫理的な行動をプロゲーマーに求めたとしても、それは優位的立場を利用した表現の自由の弾圧ではないし、それを守れなかったプロゲーマーが契約解除されたとしてもキャンセルカルチャー※には当たらないという立場です。

※ここでの”キャンセルカルチャー”は、スポンサー企業が独自の判断で契約解除する行為を指します。同ムーブメントではありません。

アンケートが立ち上がった当初、抜きん出た才能は折り紙付きで、ウェブ意識調査部のアンケートでは歴戦全勝、既に固定ファンがついた稀有の天才手嶋氏 VS 無名に近いラプラ氏では勝敗は明らかで、これまで同様に手嶋氏の圧勝で終わるものと考えていました(ラプラさんすみません)。

そうは言っても、私の感覚はラプラ氏の『スポンサー契約だから』に限りなく近い。

玉砕覚悟で一票を投じた後も風当たりが強く、自身がアンケートに掛けられた訳でもないのに落ち着かずにおりました。ところが結果が出てみれば互角の戦いで微差でありながらラプラ氏の勝利となったのです。

 しかし、私の心境は複雑です。私がかなり劣勢と感じてはいたもののラプラ氏・手嶋氏両者にほぼ同数の票が入ったことにはホッと安堵した一方、同様にほぼ同数が「表現の自由が制限されている」と感じており、それを説得する術を私が持ち合わせていないからです。

そこで、今回の無駄に長いnoteの執筆で、まずはラプラ氏側に投票した1アカウントに過ぎない自身の私見を公開し、まずは同じ方向を向いた方々と共有したいと考えた次第です。

とにかく結果が微差でほぼ同数で、双方が「お気持ち価値観品評会」に作品を出展しただけの話と私は考えています。ただ私達の作品は「品評会に出展する価値なし」とカテゴライズされちゃいましたけどね。


⑨ スピンオフ:アウトローは退場しろってこと?

 さてここからはスピンオフ回答。格ゲーがリアル格闘技同様に、ある程度のマイクパフォーマンスや煽り合いで顧客を惹きつけ、盛り上げる事に私は反対ではありません。

今回のプロゲーマーの発言についても、ゲーム界隈用語、雰囲気、内輪向けなどを勘案すればアリと言えばアリと一部は認める立場です。現状で口の悪いプロゲーマーが皆無という訳でもありませんし。

しかし、③で長々と述べたように、今日本のeスポーツ業界が目指しているのは何であるか、求めるプロゲーマー像はどんなものかを再確認すべきではないかな?と考えるのです(ゴン視点)

また、eスポーツがアジア競技大会のみならずオリンピックの正式種目に採用されることを視野に入れ、選手団の派遣や国産ゲームタイトルの供給などが実現できるよう積極的な施策を行ってまいります。日本eスポーツ連合の誕生が、日本におけるeスポーツ発展への大きな一歩となるよう、皆様のご支援をよろしくお願いいたします。
平成30年初春
一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)
会長(代表理事)岡村秀樹

連合について|一般社団法人日本eスポーツ連合オフィシャルサイト

そのステージを用意してくれるのはeスポーツやスポンサー側で、彼らが目指すステージに上がり、好きなゲームをしていれば生計が成り立つという夢のような生活を送りたいのであれば、そのルールを甘んじてでも受け入れる必要があるという話ではないか?と思うのです(ゴン視点)。

スポンサーからの縛りは微塵も受けたくないが、お前らのステージには上がらせろという主張はいささか虫が良すぎる話に感じます(ゴン視点)。

⑩スピンオフ:キャンセルカルチャームーブメント

 改めて、私が感じたキャンセルカルチャーの方も少し説明しようと思います。既にツイートしたように決断までの時間が短かった為、今般の企業判断が、外野の集団リンチによる影響を受けたのか、受けていないのか、また一発レッドなのか、はたまた何度か注意を伝えた上での累積レッドなのか大変分かりにくい状況にあります。

そして結局は真相を知ることは出来ませんから、それぞれのお気持ちを吐露して終わるはず…でした。

しかしながら、このキャンセルカルチャームーブメント(ラプラ氏・ゴンらが指摘を受けた、契約解除容認=キャンセルカルチャー肯定派の意味ではなく)は確かにあったと言えますし、私は明確にこの集団リンチ様のムーブメントには断固として反対を表明します。

このムーブメントは、処遇が決定しご本人が謝罪した後も残り、確認が出来ない尾ヒレがついてセカンドレイプ状態が続いています。このような状況下ではご本人に弁解の機会が与えられるのは困難ですし、余りに一方的で度を超えています。

スポンサー企業が裁定を下す前に確認の取れない情報を恣意的に拡散する行為も、既に代償を支払った(予想を超えて大きな代償になったと思います)プロゲーマーをこれ以上追い詰める事も、認める事のできない加害行為です。

では、モニター越しに大勢のオーディエンスから一挙手一投足を常に見守られている、言い換えれば発せられる失言を今か今かと待ち構えて録画をしているようなアンチから身を守る事は出来るでしょうか?

残念ながら非常に困難で、恐らく出来ないでしょう。

さらに言えば、常に誰かから監視されているような感覚に陥り、人権侵害ではないのか?と苦言を呈す方もいらっしゃるかもしれません。

しかしそれは、プロ契約をした野球選手でもサッカー選手でも五輪出場内定選手でも同じで、優先順位が「自身の活躍の場を提供してくれる出資者と手を結ぶ」であり、その契約を選択したのであれば浄化=悪とまでは言えないと思います。

では「見た目はアウトローでクチは悪いけど本当は凄くいい奴」は引っ込んでろって事ですね?と、言ってない事をさも言ったかのように言われても返答に困りますが、

現時点でスポンサーがそれを求めていない

という感想に収まるでしょう(ゴン視点)。

引用元:上新電機 当社がスポンサードするプロeスポーツチーム CYCLOPS athlete gaming所属選手による不適切発言につきまして

⑪ 総括

 ここまで非常に長い時間おつきあい頂きましてありがとうございます。しかし、ただ話が長いだけで主張したい事はたった一つ。

スポンサーとの契約だから仕方がない

これだけです。

そしてこの長いnoteでは、私がそう思うに至った個人の考え方や経験をまとめただけで、何のエビデンスも書いていません。また冒頭で断ったようにゴンが言った事で格が下がる恐れすらありますので、

マジかよ。トゥーンベリ・ゴンと同じ考えやないかい!死にたいわ!

と感じた方にはお詫び申し上げます。笑

対して、スピンオフとして本論から外してまとめたように、契約解除そのものがキャンセルカルチャーであり、表現の自由の萎縮が心配されると感じた方も同数いらっしゃいます。

彼らもまた、同じく彼らの経験や社会生活になぞらえてそう主張されているのですから、今回は意見が合わない事は理解しましたし、それ以上でも以下でもありません。また別の問題を論じる時に同じ方向を向く事もあるでしょう。

一方、一部から「この程度の場合分けも出来ないなら、表現の自由をクチにするのも烏滸がましいキャンセルカルチャー肯定派」というようなカテゴライズが行われた事は残念でありました。少なくとも今回私は、この問題の本質がキャンセルカルチャーや表現の自由に即すものであるとは考えていません。

ウェブ意識調査部のアンケートでラプラ氏に1票を投じたみなさんの中で、この長話全てに一字一句同意するなんて人は多くないでしょうが、「概ね・大体・大枠として同じように考えてました」って方にスキ&シェアを押して頂けると嬉しいです。

以上だ。

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