見出し画像

【Vol.14】九十九トッカちゃんミニコンペ! 業界裏話ボーナス! 後編

こんにちは
DRAW A LOT Collegeです!

STAGE2に突入した我らDRAW A LOT College。
(STAGE1の様子はこちら)

カレッジ生たちがSTAGE2の総決算として挑んだのは、




DRAW A LOT College
×
九十九トッカちゃん

☆★ ミニコンペ ★☆

画像1


前回の記事(リンク)では、カレッジ生からの質問に審査員の方々が直接回答してくださった質疑応答タイムと、ここでしか聞けない貴重な業界裏話の前編をレポートしました!

盛り上がってきたところで終わっていた、前編のレポート。
後編も大ボリュームでお届けします!

本編に入る前に、まずは審査員の方々のご紹介から!


画像2

こまがた (@komagata99)
株式会社Project White 執行役員
初音ミクなどのキャラクターグッズの制作を担当。


画像3

九十九トッカ (@99tokka)
TSUKUMOバーチャルショッピングのバーチャル販売員
好きな色はピンクで、好きな食べものは桃。


画像4

深井涼介 (@fpworks)
九十九トッカちゃんの生みの親
工業デザインを経て、メカニックデザイン、グラフィックデザイン、キャラクターデザイン等々の各種デザイン業、イラスト、漫画などで活躍中。


それでは以下から、業界裏話 座談会レポート・後編です。
今回も対談形式でお届けします。

それでは、スタート!


♢♢♢


【深井先生】
例えば、僕がお仕事を頂けている理由に、「女の子とメカが描ける」いというものがあります。
「女の子の絵はこういうのがいい」というイメージが(クライアント側に)あったとして、「女の子とメカが描ける人」は女の子の絵柄とメカのカラーが違っていたり、癖がある人が結構いる。
「それじゃないんだよな」となったときに、日本のイラストレーターの中から選ぼうとすると、ほとんど僕になってしまう状況なのですよ。
【トッカちゃん】
やりましたね!笑
【深井先生】
銃のデザインができて、車が描けて、パワードスーツが描けて、こういう美少女の絵柄ってなったときに深井涼介しか今のところ存在しない
なので今、ありがたいことに仕事が貰えている状況です!
これが多分、後進が出てきたときに僕は死ぬことになると思います。
【トッカちゃん】
死なないで!
【青山P】
みんな女の子とメカの絵を今日から猛練習すると思います。
【一同】
【駒形さん】
皆さん、お仕事を受けたい企業さんってあると思うのですよね。
好きなアニメとか、好きなタイトルとか。
それを描き続けると、見ている人は絶対いますよ。やり続けたほうがよいと思います。

でも一点注意しなくてはいけないことがあって、キャラクターの仕事を受ける際には、「肌色判定」(アダルト色の強い成人向けコンテンツの判定)があるのですよ。
【トッカちゃん】
あっ!
【深井先生】
そう。笑
【駒形さん】
企業のキャラクターを描くイラストレーターさんを選ぶ際ですが、成人向けと判断されるコンテンツ(アダルト色の強い絵や、過度な暴力など成人向けと判断されるコンテンツ)や、公序良俗に反するコンテンツ(人権を迫害するようなコンテンツ)を描いている方は厳しいです。
【青山P】
クライアントによりけりですが、結構(ダメな場合が)多いですよね。
【トッカちゃん】
えー! 質問です!
例えば、名義を分けたとしても厳しいのですか?
【深井先生】
一概には言えませんが、名義を分けたとして、A社はそれでOKだがB社ではやっぱりNGということはあると思います。
【トッカちゃん】
なるほどー。
【深井先生】
最近コンプライアンスが昔より重視される傾向が増えてきたなという感じはしますよ。
【駒形さん】
そうですね。
キャラクターによっては、国内用と海外用でパッケージを変えろということもあります。
中身が見えていなくても短いスカートはセンシティブだと言われて、スカート丈を15cm伸ばすという作業が発生したり。
でも、当然、アダルトな作品がうまいから、成人向けコンテンツに関連するお仕事を貰っている先生もいらっしゃるので難しいところではあります。
【深井先生】
どういうステージでどういうイラストレーターとしてやりたいか、自分の居場所や立ち位置をイメージすると自分の目指すイラストレーターとしての姿や方向性がわかりやすくなると思います。

僕が30歳を越えたくらいのときに、昔はそれなりだったけれど今はドロップアウトしたり、イラストでは小遣い稼ぎ程度しかできなくなったりした同世代が増えてきたことを踏まえての話です。
とある同世代の友人が「俺もオリジナル(のイラスト)で売れたかったな」とほやいたのです。
そのときにハッと思ったのは、「彼がオリジナルのイラストを描いているところを僕は見たことがない」と。

彼は20代の頃から「絵を描いたら褒められる」という成功体験のほうに行き過ぎて、「なんとなく好きだから」で二次創作の同人誌を描き続けていた。
そうしたら、知らない間に同世代でイラストをしっかり仕事にしている人と、なんとなく二次創作をしている人とで、完全に分かれてしまっていたのです。
それに気づいたときに、彼は「俺ダメだ」となったのですよね。
なので、イラストレーターとして仕事をしたいのか、それとも、特技を活かして褒めらてお金を貰いたいだけなのかなど、自分がどういう作家になりたいのかという着地点と立ち位置を見ていくほうがやれる方向性が定まっていくと思います。
「なんとなく褒められるからこれ描いちゃえ」だと方向性を見誤るので。
【青山P】
そういったバランスにいかに早く気づけるかで本当に人生変わっちゃいますからね。
【深井先生】
変わりますね。
今、イラストレーターとして売れるために非常に大切なのがSNSでの発言の仕方や絵の見せ方をどう工夫するかということです。
それが全体的にうまい人から売れていくので。
やっぱり売れている人は、自分の絵の魅力とか好きな部分とかを知ってもらう・自分の絵を見てもらうために必要なロジックをめちゃくちゃ考えて発信しているのですよね。
絵が格好いい・可愛いだけでは仕事は来ないので。
自分の作品をこう見てほしい(「こう使える」と想像してもらえるなど)という工夫がうまくなると、だんだん芽が出てきますよ!
【駒形さん】
あ、それとTwitter(などのSNS)には「お仕事を受けています」とちゃんと書いたほうがよいですよ。
【深井先生】
たしかにそうですね!
「お仕事募集中です」を書くのと、連絡先へのアクセスがわかりやすいとよいと思います。
【駒形さん】
それはすごく重視します。
連絡がとれない人には結局発注ができないので。
【青山P】
まさにそれですね。
【駒形さん】
そもそも私の場合は、「仕事受け付けています」と書いてある人にしか基本は発注しません。
というのも、SNSを見ただけでは、趣味で描いているのか、お仕事で描いているのかがわからないのですよ。
我々、企業としてお仕事をお願いする以上はお仕事として発注しないといけないのですよね。
なので「あなたの描いている趣味の絵を売ってください」というのは基本的に成り立たないのですよ。
だから、ちゃんとお仕事として受けているかどうかはすごく重視します。

あと、発注側からすると嬉しいのは、(自分の中での)自分の絵の価格帯が決まっていることです。
発注する側としても、なにも買い叩こうという意図はなくてですね、お互いの探り合いがあるのですよ。
失礼じゃない価格帯と、会社として認められる予算とがあるので……
これは本当によくある話で、価格がある程度わかっている先生にはかなり発注がいくみたいですよ。
価格帯の話は裏で絶対にされています。
なので、「これくらいは頂きたい」というのを自分の中で明確にしたほうがよいと思います。
【青山P】
イラストレーターに限らず、フリーランスで仕事をしていく上で一番最初に悩むのって値付けですよね。
カレッジ生の中では、数千円から数万円の価格帯で仕事を受けている人もいます。
深井先生はどうしていますか?
【深井先生】
僕はデビューが漫画家だったので、相場が決まっていたのですよ。
僕が恵まれていたのは、漫画の連載が終わったあと、そのまま同じ会社でゲームのキャラクターデザインのお仕事を貰って、それも相場が決まっていた。それは会社基準の高めな価格帯だったんですよ。
なので、極端に低い価格帯で仕事を受けたことがなかったというのはありますね。
個人的な意見だと(カレッジ生の)皆さん、1.5~2倍価格を上げても仕事は頂けると思います。
【駒形さん】
私も皆さんの価格帯は安すぎると思います。
価格をあげる方法というのはあって、例えば、25万円のイラストを1枚描くとします。
発注者がそれを何に使うかがわかれば、交渉ができます。
(そのイラストで)グッズを1,000個作るとしますよね。25万円を1,000で割ってみてくださいよ。
実は全然大した原価じゃないのです。
ポスターに使うイラストなのか、商品に使うイラストなのかで当然違いはあります。
「商用利用されますか?」という点で、企業相手なら価格を分けても話は通じると思います。
【青山P】
相手が個人か法人かでも価格帯はめちゃくちゃ変わるのですよね。
多分(カレッジ生の)皆さんが想像している以上に変わります。
なので、対法人とやりとりをする上での基礎力を身に着けてもらいたくて、カレッジではずっと対法人への売り込み方を扱ってきたというのがあります。
【駒形さん】
それは本当に重要です。
じゃないと買い叩かれて、いくら描いても描いても生活できなくなっちゃうのはもったいないですよね。
今のトップのイラストレーターさんも、昔は個人の仕事を受けていたけれど今はもう受けませんという方も多いですよ。
【深井先生】
僕もそうなりましたね。ほとんど。
【駒形さん】
個人の仕事を受ける・受けない、個人として受けた場合はいくら、法人の仕事はいくらとある程度決めておくとよいと思います。
法人から支払われる場合、源泉徴収税が引かれるので、その金額も考慮してきちんと上積みして発注した方がいいです。
【深井先生】
企業と最初にやりとりするときは、「これくらい貰えると嬉しい」と言ったほうがよいですよね。
これはイラストレーターとして活躍している人にも言えることですが、高めの価格を提示したら断わられて、今後仕事が貰えなくなるかもしれないと心配して、あえて安い価格で仕事を受ける人が多いです。
でも、叶うかどうかは別として、企業側に「これくらい貰えると嬉しい」と伝えることは仕事を受ける側として当然の権利なので、勇気を出して伝えてみるというのもイラストレーターとして仕事をする上で重要な要素になってきますね。
【駒形さん】
そもそもオファーしてきた以上、興味はあるのですよね。だから自信を持ってよいと思います。
「定価は5万ですが、どうしてもこのタイトルが好きなので4万円で!」と言って受けられるお仕事は当然ありますし、企業さんによっては「前回5万円でやったけれど、非常に反応がよかったので今回は10万円でよいですよ」ということもあるみたいですよ。
【深井先生】
イラストの使用用途や前回の仕事の出来によって値段が変わってくるということはありますね。
さらに言うと、世に出るときにどれくらいのロットで出るのかと、あと話題性がどうかってところもありますよね。
【駒形さん】
イラストレーターさんから打診された価格に対して、「あれ、安すぎるかな?」と発注側から値段を上げて固定にすることもあります。
企業としても「あの会社さん、イラストレーターを買い叩いている!」(とイメージを持たれる)のはよくないですからね。
なので、自分たちのやっている商売ときちんと価値観が合うものであれば、当然その分の予算は出ます。
【青山P】
無限に話が終わらなくなるので、ここで終わらせます。
【一同】
【青山P】
なにかを仕事にするときは、この場合イラストを描くということ以外に付随する要素もちゃんと見えている人が勝っていくので。
残り短い期間にはなるのですが、(カレッジ生の)皆さんには是非そういった要素もお伝えしていければなと思っています!


♢♢♢



深井先生、駒形さん、そしてトッカちゃんのお三方に、ミニコンペの審査から業界裏話まで本当に貴重なお話をたくさん聞かせていただきました!

九十九トッカちゃんミニコンペ編は今回で全編終了です。


次回の記事もお楽しみに!



By. DRAW A LOT College



この記事が参加している募集

おうち時間を工夫で楽しく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?