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消滅危機言語のワイド―という言葉

わたしのはじめてのロングディスタンス(スイム3km・バイク155km・ラン42.195km)は、2006年の宮古島トライアスロンで、夫は応援でした。

朝4時に起き、暗い中での朝食、レース準備からゴールの21時まで一緒に戦ってくれました。スイムアップしたとき、バイクのとき、ランのとき、思いもよらない場所で夫の顔を見つけると、心強いのに泣きそうになりました。

バイクとランでは、エイドステーションが設けられ、水、バナナ、黒糖、エネルギージェル、塩等の補給食が用意されています。バイクのエイドでは、水の入ったバイクボトルを渡すタイミングが難しく、練習をしてボランティアに臨んでくださいます。

地元の中学生、高校生が多いです。

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そのエイドステーションを夫がのっとっていたのにびっくりしました。バイクの100km地点の上り坂にあるエイドの中学生をしきって、ボトルの渡しかたの指導をし、彼らと一緒ににわかボランティアをやっていました。

わたしに水の入ったボトルを渡すと、「奥さんがきたから」と言い夫もそのエイドステーションを去り、今度は他の応援ポジション確保でした。

なんて勝手なボランティアなんだ。


翌年から夫とふたりでの参加となり夫の65歳まで8年間、毎年宮古島トライアスロンに参加してました。

トライアスロンは多くのご理解ご協力があってからこそ開催されます。コロナ渦の今、残念なことに3年連続で宮古島トライアスロンは開催中止となっております。

様々なご意見の中に、子どもたちの安全がありました。1000人余りのボランティアの中高生が大会を支えています。「実際に自分の子どもをボランティアに出せるのか」という厳しい意見もあったようです(宮古毎日新聞)


世界中のトライアスロンに参加してきましたが、どの国よりも美しい海と温かく力強い「ワイドー(頑張れ)」の声援が宮古島にはあります。

宮古島の方言でトライアスロンの応援句でもある、ワイドーは、「ワイ・ドー」と二節にわかれるそうです。

「ドー」は、「~だよ」というような意味合いの語尾で
「ワイ」としなさいよ、そうするんだよと言っているとあります。

では「ワイ」とは何かというと、これは擬態語である。
踏ん張るようなイメージだ。自分の内側、腹のあたりに力を込める感じだ。

大切なものを逃がさないために、必死で自分のもとに抱き寄せているような、そんな感じ。「~ドー」と言う語尾が付くことで、あなたと一緒に私も力を込めるよ、というニュアンスになるのだとどこかで読んだ記憶がある。そうやって、応援する側も同調しているのだと。

この方の記事で、宮古島の方言がユネスコによって消滅危機言語に指定されているとありました。

消滅の危機が最も高いものから「極めて深刻」、「重大な危険」、「危険」、「脆弱」の4つの分類があり、宮古方言はその中で3番目に高い「危険」に分類されています。

宮古島の美しい自然と、ワイド―の考え方

今後宮古島トライアスロンが開催されても、されなくっても、誰かのために自分もワイド―という言葉を持ち、伝えていきたいと思います。

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