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"FRUIT BOWL"のレファレンス

普段からなにか作る時にリサーチをまあまあするのですが、プロジェクト終了とともに忘れてしまうのと、結構な量がたまってきたのでちょこちょこ公開しようかと考えました。今回は"FRUIT BOWL"というZINEを作っていた時にこんな本にしたいなと影響を受けたり参考にした本や作品をざっと記録します。ちなみにこんな本です。

ポリエチレンフォームと輪ゴムやクリップという最小限の素材で、毎日形を変えて100日分、100種類以上作ったフルーツボウルの記録集。フルーツが置かれ、並べられ、包まれ、分けられ、曲線を描き、隠され…ボウルのシンプルな形状の変化でフルーツの見え方もまた変化する。普段のプロジェクトではコンセプトやディテールをいろいろ検討しても最終的には発表されない捨て案がたくさんあるのですが、それをそのままストックして発表してしまおうというプロジェクトでした。入ってきたばかりの新人のスタッフが担当することで教育プログラムの一貫として始めたものでもあります。

文体練習 / レーモン クノー

ブックディレクターの山口くんと会話している時に教えてもらった本。amazonだと高い、、下記はwikiからの引用。

バスに乗っているとき、首が長く奇妙な帽子をかぶった男ともう一人の乗客との口論を目撃する。2時間後に、同じ人物がサン・ラザール駅前で友人から『オーバーコートにもう一つボタンをつけるべきだ』と助言されているのを見かける。」という1つのストーリーを99通りの異なる文体で描いている。

物語は極めてシンプルなのですが「どの視点から描写するのか」によって表現の幅はいくらでも多様にできる。という本です。たとえば、くどくどとディティールまで事細かに書く。4行にコンパクトにまとめる。隠喩だけで書く、倒叙法で書く。キャラクターの視点でも桃太郎をももの視点から描くのか、鬼の視点から描くのか、はたまた犬の視点から描くのか。その記述の方法によって印象が全くかわってくる。カメラをどこに設定するか=コンセプトの設定の多様性をしめしてくれています。カメラを設定する話は先日読んだ中山英之さん×藤原徹平さんの対談「A night in CINE-MA Ⅱ 【後半】漂流する映画館、ふたたび」にも話題がでていて共感しました。

Untitled / Donald Judd

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コロナの影響で閉館になってしまっていますがNYのMOMAで開催していたJuddの大回顧展でも展示されていました。写真はMOMAのオンラインExhibitionから。Juddに影響された人は多いと思いますが僕もご多分に漏れず影響されまくっています。これはディテールが少しだけ違うたくさんの同じ大きさの箱が並んでいる作品。お弁当箱のようなもの、2重になっているもの、高さ方向にスリットが入っているもの、側面が1面だけ抜けているもの。ディテールが少しだけ違うと印象がかわるケーススタディ。ペインティングでも同じモチーフをどう分割するかというパターンを示した作品があってそちらもすごく影響を受けたりしていたりします。

ブルーノ・ムナーリ / Searching for comfort in an uncomfortable chair

こちらも大名作ムナーリの「不快な椅子に快適さを求めて」初出は1944に雑誌domusで発表されたフォトエッセイのようです。ペーパーバックで書籍にもなってます。次々と出てくる目新しいデザインを皮肉った内容のエッセイですが、一つの変哲のない椅子に変な座り方をたくさん発見する視点の多様さ。下記はムナーリの言葉を引用します。

I seem to understand that interior design does not mean inventing a new form of a certain piece of furniture, but rather putting a common piece of furniture, a vulgar lounge chair, in the right place 

ブルーノ・ムナーリ / Original Xerographies

ムナーリ先生の本もう一つこれもアマゾンだと高いなー、、数年前に2000円くらいで買った記憶があります。こちらで内容は少しだけ見ることができますね。出たばかりのコピー機Xeroxをつかってただコピーするだけでなく、ゆらゆらさせたりジグザグさせたり、ゆっくり動かしたりすばやく動かしたりすることで得られるグラフィックデザイン的な効果のスタディー集。トナーの濃さや印刷範囲の限界など、複写プロセスの各要素を因数分解してパラメータを変えてみる実験的なアプローチ。コピーだけどコピーじゃない。オリジナル・ゼログラフィーという名前も素敵。こういった色々やってみた過程本は作ってみたいなーと密かに思っていました。ちなみにこの本に載っているスタディーを経て、絵本「黄色ずきんちゃん」が製作されたようです。(たしかムナーリの展覧会で見た。)

まだまだあるのですが、今回は一旦ここまで。続きます。


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