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編集者になりたくなる本5選

 編集者という仕事を知った日から、ワクワクが止まらない。こんな面白い仕事の魅力を発見できる5冊を選びました。自分探し中の学生さんに、忙しさで初心を見失っている編集者に、そして何より編集というスキルを必要とする現代に生きる全ての人に、このレコメンドをお届けします。

1冊目
菅付雅信編
東京の編集

 コピーライターになりたい。その一心でクリエイティブの世界に入ったものの、担当は社内報…。そんなとき出会ったのがこの一冊です。編集って、こんな楽しい世界が広がっていたのかと衝撃を受け、「憧れの広告」の世界を忘れさせてくれ、すっかり虜になったものです。以降のキャリアにも大きく影響したこの本は、私にとってはバイブル。小黒一三さんと見城徹さんという二人のインタビューや、仕事の履歴に触れるだけで、誰しも編集者になりたくなっちゃうのではないでしょうか。

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2冊目
週刊文集編集部著
文春砲‐スクープはいかにして生まれるのか?‐

 本当に良いタイミングで出た本です。新谷編集長の辣腕ぶりが文春を文春たらしめているのかもしれません。スクープがいかにとれるか、その舞台裏を自分たちで描いた本ですが、なるほどカルチャー誌と週刊誌ではここまで考え方が違うのかというカルチャーショックを受け、編集の世界の奥の深さに恐怖すら抱かす一冊です。この本には描かれていませんが、週刊文春は、実は連載企画がしっかりしていて、執筆陣も豪華絢爛!こうした土台となる部分が超一流なのもまた隠れた魅力。特に表紙は、国民的クリエイター和田誠さんのイラスト&デザイン!しかしその素敵さが霞むほど、エグイスクープを飛ばす文春って、なにもかも過剰な雑誌ですね…。

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3冊目
藤井大輔著
「R25」のつくりかた

 社内報編集に携わる中、編集者として覚悟を決めて「読んだ」というより「取り組んだ」のがこの一冊。当時東京では猫も杓子もR25。フリーペーパーの代名詞で、駅のラック入れがすぐに空になったものでした。続いてL25なるものまで発行され、一大旋風を起こしていたのですが、この本はその舞台裏というより、結構実務レベルで役立つノウハウ本。台割の考え方、編集とライターの機能分離、ブレーンの見つけ方など、ありとあらゆることが実務で生かすことができ、今でもそれが財産になっています。愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ…。本は、有用なツールです。

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4冊目
新井恵美子著
マガジンハウスを創った男 岩堀喜之助

 雑誌と言えば何を思い浮かべますか?私は、BRUTUS、POPEYE、anan…気づけば、マガジンハウスばかりですね。私の師匠も、ダカーポ(休刊)を愛読していたっけ。当時、事務所が築地にあり、マガジンハウスとは目と鼻の先。一度だけ商談で中に入ったことがありますが、あのポパイのイラストが並ぶ玄関は、緊張のあまり、どう出入りしたか覚えていません…。著者は、創業者の長女である新井恵美子氏。父親の生涯を描いた本作は、編集者を支えた経営者の偉大さ、懐の深さ、そして燃え滾る情熱を、抑制の効いた表現で、しかし太く描いた愛情あふれる一冊です。娘を持つ父親になった今、また改めて読み返したいと思いました。

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5冊目
見城徹著
編集者という病い

 幻冬舎の創立者である見城徹さん。私が最も影響を受けた人物であり、またもっとも「なりたくない」人でもあります(笑)。だって、人との付き合い方、情熱の燃やし方が異常なのです。この本が出版されたとき、情熱大陸が放送され、松井今朝子著「吉原手引草」が幻冬舎初の直木賞を受賞する模様が映し出されていました。その後、この本の装丁をされた平川彰さんに取材をさせていただく機会に恵まれました。取材後、誌面が完成し、平川さんも喜んでくださったのですが、後日聞いたところ、その誌面を見城さんが幻冬舎全社員分コピーを取って配布してくださったとのこと‼ 従業員を大切にするこうした気配りが、この人の魅力なんでしょうね。だからこそ、坂本龍一、松任谷由実、尾崎豊など数々のアーティストが、見城さんのためならと筆を執ってきたのでしょう。でも、過剰過ぎて見習えません…。

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Connecting the Booksは、これまで培ってきたクリエイティブディレクター、コピーライター、編集者としてのノウハウを公開するとともに、そのバックグラウンドである「本」のレビューを同時に行うという新たな試みです。