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「ガンジーの国」から「ガウディのファン国家」へ

こんにちは。ファンと共に時代を進める、Web3スタートアップGaudiyのDaisuke(@daisuketanaka0)です。

今年の2月にBizDevとして入社しました。前職ではインドで5年ほど働いていたので、このnoteでは「海外」を切り口として「なぜGaudiyにジョインしたのか?」について書いてみようと思います。

少々長いですが「エンタメ×海外」「Web3×海外」でチャレンジしたいと思っている方のご参考になれば嬉しいです。

<最初にサマリ:こんなことが書いてあります>
・Gaudiyにジョインする前のキャリア
・日本のエンタメがアジアの新興国でも人気であること。一方で、公式とファンの関係性に課題があること
・Web3が新興国・若者から浸透していること。そのため、当該市場には大きなチャンスがあるということ
・Gaudiy、海外展開やっていくってよ!「エンタメ×海外」「Web3×海外」でなぜGaudiyなのか

簡単に自己紹介

大学・大学院では情報工学・統計学を専攻し、新卒で入社したのはソニーでした。そこでは、エレクトロニクス事業の経営企画を6年経験しましたが、事業が海外メインで米国会計基準だったので、在職中に米国公認会計士のライセンスを取得しました。担当地域は、北米をはじめ、日中を除くアジア全域や中東・アフリカ地域など、かなり幅広かったです。

その後、日系のコンサルティングファームに転職し、インド法人で5年ほど働きました。経営コンサルタントとして、インド工科大学(IIT)をはじめとするインドのトップ大学卒の同僚とともに、日印大企業の事業戦略立案や事業開発などを支援していました。長期出張含め、東南アジアにも度々出張していたため、日本・東南アジア・インドを庭のように感じていました。

そして帰国後、フリーランスの期間をはさんで、ミッションに共感したGaudiyに入社し、今に至ります。

アジアの新興国って実際どうなの?

これは2016年10月から2021年9月までの5年間、私がインド・東南アジアにいた当時の肌感です。

1. 「失われた30年」にはない高い経済成長

5〜10%の経済成長を伴う良いインフレ状態が常です。国によって多少は異なるものの、毎年10%以上の売上アップ・給料アップが当たり前。物価上昇以上に昇給しない場合、会社から評価されていないということになり、早々と転職していきます。ですので、部下との毎年の昇進・昇級交渉が精神的にも労力的にもとても大変でした。。。

一方、預金金利が高いため、日本ではお目にかかれないような高利息が付きます。また、リスクはありますが投資リターンも大きいため、お金を持っている人が益々富める世界です。

2. 周囲が圧倒的に若い

年齢別の人口ピラミッドを見ると一目瞭然ですが、多くの国がいわゆる「釣り鐘型」でミレニアル世代・Z世代の若年層が多数を占めています。平均年齢28歳のインドでは30代前半でシニアなジョブロールを担うことが期待されます。組織をリードするために、相応の威厳ある振るまいが求められます。

そして、これらの若者が多い国では、彼らの熱意や迅速な行動が社会全体を動かし成長させます。若者がこぞって参入する産業は急速に伸びています。後述するデジタルサービスの勃興は、まさにこの古今東西に不変の法則により創出されたものです。

3. 日本よりも進んでいる都市部のデジタル化

国民の若さ・スマホの普及・投資マネーの流入により、デジタルを活用した新サービスが雨後の筍のごとく台頭していました。そのため、都市部におけるモバイルを活用したtoCサービスは日本より進んでいました。例えば、

  • オンラインデリバリー:
    食材・日用雑貨だけでなく、眼科検診やPCR検査などのサービスも自宅へデリバリー可能(安価な労働力が豊富なため)

  • 配車サービス:
    2017年頃には既に、東南アジア・インドのどの主要都市に行っても、観光や日常生活の足としてGrabGojekOla・Uberなどの配車サービスが利用可能

  • モバイル決済:
    PayPayがインドPaytmのプロダクト基盤を活用していることからわかる通り、QRコード決済のモバイルウォレットは日本より早く、多くの店舗に浸透

シンガポールに本社を置きマレーシア・タイ・ベトナム・フィリピンに展開する「Grab」やインドネシアの「GoTo」(Gojek・Tokopediaの合併後新会社)といったスーパーアプリは日常生活に必須です。

また、インドではいち早く13億人に対してマイナンバーが紐づき、あらゆる行政・金融サービスがプレゼンスレス(立ち合い不要)・ペーパーレス・キャッシュレスで受けられるようになっています。

4. 中央集権の機能不全

日本よりはるかに大きな経済格差や多言語・多民族を抱えるがゆえの多様性があります。行政や一企業が全てをコントロールすることは難しく、(今に始まったことではないですが)様々な分野で機能不全が起きています。

  • 金融包括の遅れ(銀行口座を持てない人々が多数存在)

  • 行政現場での賄賂

  • 農村部の経済振興・インフラ整備遅れ、など

アジアの新興国×日本のエンタメ

2000年代半ば頃から、欧米中を中心に日本のエンタメが浸透していきましたが、2015年以降、東南アジアや南アジアといった新興国でも日本のエンタメが市民権を獲得しつつある状況になってきました。

これはスマホの急速な普及が大きく影響していますが、メインストリームカルチャーとして認められ、「日本のエンタメ=ダサい」から「日本のエンタメ=Cool」へ変化した肌感があります。

  • 5,100万フォロワーを持つインドの超有名女優がアニメ好きを公言しInstagramに投稿

  • インドネシアのアニソン縛りのDJイベント「ORUTAKU」がTwitterでバズる

インドや東南アジアのアニメファンと交流し、約50人にインタビューしたことがありますが、ファン目線では総じて2つの不満をよく耳にしました。

①言語や流通の壁によって公式コンテンツへ満足のいくアクセスができない

  • 動画配信サービスには限られた作品しかなく、観たい作品が観られない(そのため海賊版を利用することがある)

  • 漫画派よりアニメ派が大多数だが、アニメ化までにタイムラグがあったり、全編アニメ化されない作品が多くある

  • 英語字幕でも問題ないが、ローカル言語字幕だとより多くの人がアクセスできる

  • 漫画本やグッズは種類や流通ロケーションが限られており、入手しにくい

②同じ興味対象を持ち、感情や情報を共有できる友達がほとんどいない

  • 学校・家庭といったリアルなつながりにおいて、好きな作品・キャラクターの話を共有できる友達がいない

  • アニメは、MMOゲームのように同時接続で共体験したり深い話をしたりできない

また、コンテンツ事業者目線では、コンテンツ消費はしてもらえるが、ゲーム・グッズ・タイアップ広告など周辺メディアへの経済拡張はできていないというのが今後の課題と伺ったことがあります。

そもそも経済水準やリーチできるファン規模が日米中に比べると小さいのですが、DTC(Direct to Customer)でファン体験をアップグレードすることは可能であると考えます。そして後述しますが、僕はこの問題を「コミュニティ」の力で解決できると信じています。

アジアの新興国×Web3

次に、アジアの新興国とWeb3です。このパートはGaudiyでのリサーチ内容も含みます。

1. Web3は「南」から普及する

Web3は、Web2では実現できない分散型システムを必要とする分野で発展します。国際送金の手数料の高さや取引完了までに時間がかかることを解決するビットコインはその分かりやすい一例です。

中央集権が機能不全になっており、主権を取り戻したい若者が多くいる新興国こそ、Web3に対する期待が大きく熱量も高いと感じています。日本よりもインドにいた頃の方が身近でブロックチェーンに関する情報をよく耳にしていました。現に、暗号資産の受容性ランキングをみると上位は軒並み新興国となっています。

The 2021 Global Crypto Adoption Index Top 20. CHAINALYSIS Inc. 

2. アジアの新興国から生まれたブロックチェーン・イノベーション

東南アジアからは2021年に「Play to Earn」が生まれました。ゲームはベトナムのAxie Infinity、中心的なゲームギルドはフィリピンのYGGMeritCircle、タイのGuildFiです。

金銭的余裕のあるゲームアイテムコレクターと時間的余裕のあるゲームプレイヤーを結びつけ、両者が稼ぐことのできる「スカラーシップ制」を発明したことで、東南アジアを中心に人気に火がつきました。詳細は割愛しますが、Axie Infinityは「持続的に繁栄する経済圏」の構築を目指しており、そのために人口(ユーザー)、通貨(AXS/SLP/RONトークン)、インフラ(ミニゲーム・ランド・マーケットプレイス)、活動(ゲーム・ブリード・P2P取引)、ガバナンス(各種手数料・トレジャリー・ステーキング)を設計・コントロールしようと試みています。

インドはLayer 2 Scaling SolutionのPolygon/Maticを輩出しています。自民党が配布した「岸田トークン」が発行されているブロックチェーンです。ちなみに、Polygonのファウンダー陣は日本のアニメファンです。インドは若いエンジニアを大量に抱えているので、ブロックチェーンのMeetupも盛んです。個人でバリデータノードを運用しているエンジニアもたくさんいますし、みんなとりあえず何かしらプロジェクトをやってみるという、巧遅拙速の文化があります。

▼代表、石川のnoteでも世界のブロックチェーン活用についてまとめてます。

新たな産業が生まれる瞬間には、若くて優秀な人材や資金の流入、蓄積されたナレッジの共有や実行可能な社会基盤が必要不可欠ですが、Web3はまさに今それらが揃い始めています。

なぜGaudiyにジョインしたのか?

アジアの新興国と日本のエンタメ、Web3について紹介してきましたが、ここからは「なぜ私が5年のインド生活を経てGaudiyにジョインしたのか」を書いてみます。

30代後半は「エンタメ・海外・Web3」に関連した分野で新たなチャレンジをしようと考えていました。Gaudiyはそんな僕が最もワクワクした企業でした。きちんと言語化するとこんな感じです。

1. エンタメでもWeb3でも「コミュニティ」がキーワードになる

Gaudiyにジョインする前から、海外の日本エンタメファンや日本のエンタメ事業者とコミュニケーションしてきたなかで、やはりDTC(Direct to Customer)でファン体験をアップグレードし、ファンと共にIP経済圏を大きくする余地がまだまだ大きいと思っています。

それは既存のSNSを利用した単なる双方向コミュニケーションの強化ではなく、ファン同士の繋がり・共体験から生まれる熱量を応援・貢献する文化に昇華させていく「コミュニティ」の存在によって成し遂げられるものと信じています。

また、Web3に関してはそもそもプロジェクトの成り立ちがコミュニティドリブンなので、コミュニティが重要であることは自明です。愛されるコンテンツは、コンテンツ自体の高い価値に加え、ファン同士で熱狂する共体験にも高い価値があるはずなので、コミュニティの力でその価値を高めていけばいい、そんな風に考えています。

2. 「トークンエコノミー」により、新興国でも応援活動に対する還元を得られる時代が到来する

2005年に米国ジャーナリストのトーマス・フリードマン氏が「フラット化する世界」を提唱してからだいぶ経ちます。たしかに世界中を駆け巡る情報はフラット化したけれど、人やカネは国・都市に縛られたままです。同じ能力を有していても経済的にはフラット化していません。インドでも東南アジアでも自分より優秀な人が半分の報酬で雇用されていたりします。

Web3時代は、トークンエコノミーにより、本当の意味でよりフラットに近づくのではと考えています。

経済的余裕がある人は感情報酬によって動機付けされ、応援・貢献を行います。一方、そうでない人にとっては経済報酬も非常に重要になってきます。海賊版アニメ動画サイトの運営者、海賊版キャラクターグッズの製造・販売者、アニメ情報キュレーションサイトの運営者、二次創作物・同人誌の制作・販売者たちはコンテンツも好きだし報酬もほしい方々です。トークンエコノミーは、彼ら・彼女らに権利侵害をさせず、その熱量を正しい応援・貢献に活用してもらう仕組みだと思います。

インド・東南アジアではお金に不安を持つ若者は多く、多くの若者が少額投資を行っています。したがって、今後はいわゆるファンベスター(Fan + Investor)と呼ばれる人が多くなると予想しています。ファンであり投資家でもある彼ら・彼女らが疲弊せず好きなことを楽しみながら報酬も獲得できる。そのようなWeb3型のコミュニティには将来性があると思いませんか?

3. 代表の石川が本格的なグローバル展開にコミット

これは補足するまでもないですが、Gaudiyの選考プロセス中に、海外法人設立や東南アジアでの事業展開を伺いました。

で、実際にいま何をやっているか?

海外展開にフルコミットしてます!と言いたいところですが、現状は国内事業に忙殺され、海外関連はフルコミットできていません。ですので、一緒に立ち上げをやってくれる仲間を募集中です。

国内事業開発としては、大型IPのWeb3型コミュニティやブロックチェーンゲームコミュニティの企画提案などを行っています。例えば、コミュニティ×NFTで実現できる新たなファン体験をクライアント目線で検討し、技術・法規制・他社事例などを踏まえつつ、クライアントと密に議論しながら企画を練り上げていくといった感じです。

海外関連は、海外のエンタメ・Web3の動向調査と海外展開へ向けた構想立案です。特に、ブロックチェーン事業者やブロックチェーンゲーム事業者のベンチマーク調査に力を入れていました。

We're hiring!

というわけで、Gaudiyでは全職種で仲間を募集しています。ぜひ気軽にお話ししましょう!

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