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アメリカ人よ、通じる英語をしゃべってくれ!

先週、アメリカ英語訛りのペイパルのカスタマーサービスへ電話した。毎度のことながら、その英語が速すぎる。アメリカに電話してくる客は全員、アメリカ訛りの英語が通じると心底信じている。

「速すぎます。もっとゆっくり話して下さい」

5%ほどスピードダウン それでも速すぎる

「メールではダメだったから電話してるんです。即刻このトラブルを片付けたいからきっちり理解する必要がある。もっとちゃんとゆっくりと私がわかるように話して下さい」

やっと10%ほどダウンしただろうか

ほんとにアメリカ人はこと言語やコミュニケーションスキルについては自己中で困る。地球上にはアメリカ以外の国がたくさんあるんだということに思いが及ばない人たち。ノンネイティブの英語の先生に国際英語の話し方を教えてもらう必要がある。北米の英語も北米という地域言語の一つ、あるいは、世界英語のひとつだ -- US English is just one of the world Englishes -- という常識にアメリカ人が覚醒したら世界の情報環境は飛躍的にスムーズになり、国際間の共同研究も教育交流も大発展を遂げるだろう。

世界を歩いてきて思うのは、ゆったりとモノを話す人が速度を上げるのは訓練で可能になるが、超早口の人がゆったりと話すことはかなりの苦痛を伴うように映ることだ。

これに関連した示唆的な話が、トリリンガル英語コーチKIMさんの記事「勇気と瞬発力さえあれば日本人最強節」に書いてある。米大学院に学んだ著者は、討論の時間の発言者は9割が米国人でアジア系の学生は黙っている。それを見た教授が米人学生へ君たちは黙っていてくれと言い、アジア系の学生に発言を促した。その後、米人学生へ「君たちも彼らのようにしっかり考えてから、意見を持って発言するように」と諭したという。

このことから、キムさんは、「英語自体が心配だったとしても、発想や意見自体は自信を持っていいんだ、もっと発言をしてもいいんだということに気づかされました」と書かれている。僕のコラムと同じ結論だ。

英語変種についての興味深い研究がある。世界9カ国の英語をいろいろな国の人に聞かせてどれくらい聞き取れたかを調べた結果、一番通じやすかったのはスリランカ人の英語で、一番通じにくかったのが香港英語。日本人の英語は上から3番目の通じやすさだった。それに対してアメリカ人の英語は香港人英語の次に低かった(『英語の害毒』永井忠孝 新潮新書)

この研究が指針になるとしたら、米国人には大いに反省してもらいたい。彼らのお陰でノンネイティブがどれほど能力を発揮する機会を奪われ、悔しい思いをしてきたことか。学会でもビジネスでも、北米留学でも。

じゃあ、わが日本人英語はどう立ち向かっていけばいのか。そのひとつが相手の虚を突く「質問術」だ。会議でベラベラと主体性のない、意味の含有量の薄い話が続いていると思ったら、こんな一石を投じたらいい。

We've been discussing at length this afternoon, but have we really discussed what matters most?  今日の午後長々と議論をしてきたけれど、本当に話すべきことを私たちは本当に話したんだろうか?

これでもいい  ------  Have we really talked about what our customer wants us to do?  うちのお客さんが求めていることをちゃんと話したんだろうか?

雑言ばかりのフロアーが静まり返りますよ。

これで「沈黙」が引き出せたら、ここが勝負だ。ここで黙っていたら意味がない。相手の注目を一身に集めたときこそ、一気に「持論」をとうとうと放つべきだ。やはり、持論は日頃からキレキレに磨いておく必要がある。

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●先回コラム「ノーベル学者の日本人英語」で言いましたYouTubeシリーズ始まりました。編集なし、リハーサルなしですが... 

 Global リーダーの英語術

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"Winning Together at Japanese Companies"
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●河谷隆司の活動は:
https://www.diversityasia.com/

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