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顧客関係管理のツールを導入すると顧客が逃げる?

こんにちは。MAツールを提供しているカイロスマーケティング株式会社の代表をしております佐宗(さそう|@dsasoon)です。

お客さまとの接点を増やすために、CRMやSFA、MAツールを導入しよう。そんな会社が増えています。コロナウイルス感染防止や予防のために、展示会などの新規顧客獲得のためのイベントが軒並み中止になっている状況から、取り急ぎ社内にある顧客リストから新規顧客を獲得する企業の取り組みが加速しています。

企業の思惑からすると、既存の顧客リストにリレーションシップ・マーケティングをうまくやっていくことで、売上を確保していきたい。そのために、社内の顧客情報をデジタル領域にまとめ、顧客接触するために、CRM/SFA/MAツールを導入しています。


そもそも顧客リレーションシップって何だろう

リレーションシップ・マーケティングは、顧客との良いリレーションシップ(関係性)を確立することで、(いまどきで言う)LTVを最大化していくというマーケティングアプローチです。

自分で書いておきながら、すこしあいまいだな、と思います。

長期的な、パートナーシップ、親近感、ロイヤルティ、リピート販売、アップセル、こんなところがリレーションシップ・マーケティングの要素でしょうか。

文脈を垣間見るに、お客さまの信頼や親近感(ロイヤルティ)を獲得することがリレーションシップ・マーケティングの目的なのだろう、おおむね間違ってないかな、と思います。


売上志向がリレーションシップの意味を変えてしまう?

でも、リレーションシップ・マーケティングってなかなかうまくいっているように見えません。

社内に散財する顧客情報をひとつにまとめて、あらゆるお客さまのニーズや嗜好に合わせられるよう、考えられる限りのサービスを提供しよう・売り込もうと必至です。顧客データベースをしっかり構築すること、そしてあらゆる要素で顧客セグメンテーションをがっつりやり込む。

なぜだか、売る気満々の広告メールをお客さまに送りつけることをマーケティングと称して、お客さまを囲い込もうと躍起になっちゃいます。もちろん、そんなメールをもらったお客さまが気分良いとは思えません。リレーションシップ・マーケティングで狙いを定めたお客さまが逃げていく。ちょっと皮肉な結果です。

読むと「クスクス」って思えるのですが、自分自身が実際の担当者であるマーケターになると、やってしまうんです(苦笑)。なぜだかお客さまの立場とか感情を忘れてしまいがちです。

メールの開封率やインサイドセールスの通電率をKPIに定めることで、自社の顧客データベースからなんとか売れる顧客をどんどん探します。お客さまの迷惑も全く考えることはありません。

リレーションシップ・マーケティングという言葉の響きなのか、途中でそれを忘れてしまうことが原因なのか、短期の売上という期待値に目を奪われて潜在顧客を探しにいって、ハードに売り込んでしまう。

そもそも、リレーションシップって、お客さまの信頼とか親近感とかの感情的な好感を獲得することに尽きるのではないでしょうか。だから、このようなやり方は、顧客とのリレーションシップというあるべき基本とは真逆のアプローチだと思います。例えば、良い友達関係(リレーションシップ)を考えてみてはいかがでしょうか?

良い友達の条件とは:

・困ったときの精神的な支えになること
・信頼してくれること
・プライバシーを尊重してペラペラ人に話さない
・あまり束縛しすぎないこと(ヤキモチを焼きすぎない)


ヌケ漏れはあるものの、こんな感じではないでしょうか?

だから、みなさんもお客さまにこのように思われるリレーションシップ・マーケティングをしなくてはならないはずです。

うまくいっていないリレーションシップ・マーケティングは、ひょっとしたらこのうちどれ1つ守ってないように感じます。そもそもあまり欲しくない、いらない情報をメールでガンガン送ってくる。とても、良い友達関係になれるとは思えません。

お客さまに対して、企業が積極的にリレーションシップを構築したいと思っていますが、お客さまは積極的にリレーションシップを企業と構築したいとはとても思えません。

リレーションシップ・マーケティングを始めるためには、お客さまと同じ気持ちになることから意識しないといけません。


ギブ・ギブ・アンド・テイクくらいが鉄則

リレーションを構築するためには、やっぱり「ギブ・アンド・テイク」のバランスが成り立つことが条件ではないでしょうか?

企業は、なにもギブしていないにも関わらず、お客さまに顧客ロイヤルティを要求しすぎだと思います。展示会に来場していただいて説明したからって、その後電話やらメールやらで熱い売り込みをかける。お客さまにしてみれば、暑いだけ、ではないでしょうか。

うまくいってないマーケティングは、ひょっとしたらあまりにも一方通行なコミュニケーションなのかもしれません。MAツールやCRMを導入して、顧客One to Oneマーケティングができていると上から目線で語ったとしても、現実はリレーションの構築からはほど遠いのではないでしょうか。

あるサービスAは、サポート窓口の電話が通じるまで5分以上待たされたり、電話がつながってもたらい回しにされたりします。個人的な経験で言えば、最高で9回たらい回しにされたことがあります。最後は、法人営業部のSEさんががんばってくれました。3時間かけて親切なSEさんにたどりつき、問題解決しました。

上記のサービスAさんから、仕事中でも家族で食事をしている最中でも、しょっちゅう売り込みの電話がかかってきます。基本的に、いまは必要ないものばかり。

おそらくCRMを使って顧客データベースを構築しているとは思うものの、お客さまの立場になってみれば、この例はリレーションシップ・マーケティングがうまくいっているとは程遠い。

企業から顧客へのギブが少なくて、顧客からのテイク狙いが強すぎます。

サービスAと似たようなことを、みなさんも気づいたら、やっているかもしれません。


結局は「お客さまが欲しい物を知る。」これにつきる。

かんたんに言えば、お客さまを知ろうと思えば良いと思います。マーケティングというよりも、なんだか文化人類学に近い感じ。お客さまの業務の課題やお困りごと。toCで言えば、日常生活の行動をつぶさに拾い上げる。

MAツール使ってたら、お客さまのWEBアクセスや、過去の接点履歴もわかるためお客さまのことをもう少し理解してあげられるのではないでしょうか。

MAツールやCRMにある顧客の属性情報だけでセグメンテーションして売り込みメールをガンガン送ったり、インサイドセールスのリードナーチャリングと称して電話するのはいささか乱暴すぎると思います。

お客さまがみなさんのメールにどのような反応を示し、どのように業務に役立てることができたかということは、その場限りの調査では知ることはできず、時間をかけてじっくりと追求しなければわからないでしょう。

話は少し戻りますが先程のサービスA。顧客サービス部門にかかってくる電話やメールにおいては、お客さまは最高のマーケティング情報を提供してくれています。でも、多くの企業ではこれらの情報をマーケティング情報として活用することはありません。とてももったいないです。ここにはお客さまに関する情報がたくさんあります。

リレーションを構築する、リレーションシップ・マーケティングといっても、このようにコミュニケーションが双方向になっていない。

マーケターの役割って、企業とお客さまを仲介するようなイメージで考えてみてはいかがでしょうか?本来ならお客さまと企業との中間くらいにいるべきです。でも、売上という使命があるのか、企業側に立ちがち。

もっとお客さま側に立って、お客さまを心から満足させ長期的なリレーションをつくっていきましょう!

お客さまが欲しい物を知る。これが大切だと思います。

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