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現状維持バイアスという心の一般特性が成長を妨げる

みなさん、おはようございます。
カイロスマーケティングで代表を務めております、佐宗(さそう|@dsasoon)と申します。

わたしは日常生活のなかで、毎食同じものを食べても、毎日同じことをしても、そんなに苦痛と感じることがありません。毎日同じ時間に起きて、毎日同じことをする。仕事で着るシャツはクローゼットの奥から順番に、靴も奥から順番に選ぶという日常の習慣を持っています。

毎日同じことをするのは、毎回考えるのが面倒くさいからだと思っています。ただし、一週間同じホテルの同じレストランで違うものを食べることだけは苦痛です(笑)。これは過去に経験したことがあります。本当に苦痛でした。

これは「現状維持バイアス」と呼ばれる心理です。

現状維持バイアスは、自分の成長を妨げるとも言われています。わたしの日々の生活に成長は不要かもしれません。ただし、個人としては、新しいことにチャレンジをするのが好きです。


「変化は面倒」という一般心理が現状維持バイアス

現状維持バイアスとは、現在の状況が改善できると分かっていても、変化を避けて現状を維持しようとする心理的な反応や傾向のことを指します。バイアスという言葉のとおり、特定の見方や考え方、行動や意見の「偏り」のことを意味しています。何か考えるとき、行動するときに、これまでと同じことをしてしまう傾向のことで、それが現状維持バイアスと呼ばれます。

現状維持バイアスは、「安定した生活や仕事をし続けたい」「予測できない将来は不安で好まない」などの心理的な欲求から生じるものとされています。将来の不安やリスクから逃れたくなるために、人は現状維持バイアスに陥りがちです。

明日のことは誰にもわからないでしょうが、未知の領域や不透明な将来へ向かう行動には心理的な抵抗が生じます。そのため、新しい行動を避けた句なる心理が現状維持バイアスの背後にあるようです。

現状維持バイアスは、英語では「Status Quo Bias」となります。Status=状態、Quo=維持(英語ではなくラテン語を語源とする)ので、日本語の現状維持バイアスとは、「状態を維持」という人間の行動や考え方の偏りを指します。

つまり現状維持バイアスは、「変化は嫌い」とか「変化は面倒」などが人間の本質的な心理であると言えます。

「いまのままでいいや」と思うと、成長はない。そりゃそうだ。

現状維持バイアスと呼ばれるほど多くの人がこの傾向を持っているので、これは人間の普遍的な心理的特性の一つだと言えます。ごく少数の人だけが持つ傾向であれば、医学的な症状として分類されるでしょう。

現状維持バイアスは、無意識のうちに日常生活や仕事、時には組織の成長を妨げる結果につながります。「いつもの」選択をしてしまう傾向があるため、過去の選択を踏襲して新しいことにチャレンジしにくくなります。確かに新しいことに取り組まなければ、成長はありません。

誰もが失敗や損失を避けたいと思うでしょう。新しいことには「今より悪くなるのでは」という不安がつきまといます。将来が不確実な場合、失敗を避けるあまり現状維持を選びがちです。

過去の成功経験に基づいて同じことを選択するのは自然なことで、過去から学ぶ正しい行動だと思います。ただ、自分や組織が成長するためには新しい挑戦は欠かせません。自己成長や自己実現を目指すなら、現状維持バイアスに打ち勝つ努力が必要不可欠だと言えるでしょう。


現状維持バイアスを打ち破ることが自己成長につながるという構図

現状維持バイアスは、仕事や企業活動においても障害となり得ます。

自己成長のための自己変革や、企業成長のための業務改革が、現状維持バイアスの影響で受け入れにくくなる場合があるのです。現状維持バイアスに打ち勝たなければ、自己成長も企業成長も実現しません。

では、現状維持バイアスにどう対処すべきでしょうか。現状維持バイアスに打ち勝つには、次の3つのアプローチが考えられます。

1つ目は、自分は現状維持バイアスの奴隷である、ということを認識すること
2つ目は、変化の先にあるメリットを考えること。
3つ目は、他人を使って現状維持バイアスを外す

これらのアプローチを意識的に取り入れることで、現状維持バイアスに打ち勝ち、成長への障壁を取り除くことができると思います。


自分は現状維持バイアスの奴隷である、ということを認識すること

まずは、自分は当然のごとく、「自分は現状維持バイアスの奴隷である」と認識することです。

現状維持バイアスと向き合うには、自分がその影響下にあることを認識することが大切です。次に「なぜ現状の方が良いと思うのか?」を自問自答し、現状を維持することは本当に合理的な判断なのか確認する必要があります。

新しいことへの挑戦が面倒だと感じるのは、現状維持バイアスの影響があるかもしれません。新しいことにはストレスも伴いますが、それを乗り越えることで成長できるのです。

ただし、現状を維持する方が良いというすべての判断が現状維持バイアスの影響というわけではありません。例えば、時間的に圧倒的に非効率な交通手段を選択しないのは合理的な判断でしょう。健康増進などの目的がない限り、徒歩ではなく電車を選択するのは現状維持バイアスではないと言えます。

要は、新しい選択肢を一概に拒絶するのではなく、メリットとデメリットを客観的に判断し、本当に合理的なのか確認することが重要です。そうすることで、建設的な変化を選択できるはずです。


現状バイアスと引き換えに得られるメリットについて考える


新しい取り組みから得られるメリットや成果を考えることは、現状維持バイアスを外すための有効な方法です。

「面倒なこと」に打ち勝つ努力と、新しい取り組みによって得られるメリットを天秤にかけることで、判断します。メリットが努力コストよりも大きい場合には当然、面倒だけど新しいことを始めるべきです。逆にメリットが面倒に打ち勝つ努力よりも小さければ、現状を維持することが合理的な選択となります。


他人を使うことで、現状維持バイアスを外すことができる


3つ目の現状維持バイアスから克服する方法は、第三者に聞いてみることです。

身近な人でもいいのですが、もっと客観的な第三者に聞いてみると面白いのではないかと思います。例えば、メンターやコンサルタントなど、自分自身に感情的・感傷的にならない人に聞くことをお勧めします。自分自身のことは主観的になりがちですが、他人のことなら客観的に判断できるものです。

他人の悩みを聞いて「なぜそんなことで悩むのか」と思った経験がありませんか?
自分のことはバイアスにとらわれやすいのに対し、第三者の視点は合理的な判断を助けてくれます。

経営者がメンターを持つのも、自らのバイアスと戦うための一策なのかもしれません。第三者の意見を取り入れることで、現状維持バイアスを外し、建設的な変化を選択しやすくなると考えられます。

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