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プリンセスと歯の話

先日、姪っ子に会った。

姪っ子は可愛い。

わが家の次男とは一歳違いなので、たまに義実家に集まると、一緒にブロックやお絵描きで遊んでいる。彼女を見ていると、男子と女子というだけで言葉や発想がこうも違うものか‥と、妙に感心してしまう。
この日も、「ねぇねぇ、ごっこ遊びしよう♪」と叔母の私を誘ってくれた。

確か、お正月に集まった時は、鬼滅の刃ごっこだった。この時彼女はしのぶちゃんというキャラクター、私は炭治郎(ねずこちゃんは口枷しているからムー、ムム!としか喋れない)。私たちが、戦いに出る前の真剣な会話(という設定)をしている最中、息子たちは、善逸と猪之助となってただのケンカをしていた。

いいよー、ところで今日は何ごっこ?

「○○(姪の名前)はプリンセスやから、ひつじやって!」

メェ〜?

さっそく、次男が四つん這いになって口をモグモグし出し、姪っ子ちゃんに怒られる。

「ちがう!ひ、つ、じ!」

?! しつじ、執事ね。

目が一瞬❓になる次男。
長男はさすが、執事と聞いてパッと想像がついたらしい。ほら、あれに出てきたやつ‥と弟に教えている。(おそらく、おしり探偵で覚えたと思われる。)

「しつじはムリー、けど□□(次男)は赤ちゃん役できる!あとネコちゃんもできるで!」
「ニャー」

プリンセスと猫、それはそれで面白いけど。ここは姪のリクエストを私が引き受けよう。ごっこ遊びは幼い頃何度もしたけど、執事役は初めてだ。

「かしこまりました、プリンセス。このような感じでよろしいでしょうか?」と話しかけると、彼女は大変に満足なさった様子で、義父のブランケットを肩に巻いて、いいですわよ、と優雅にお返事した。

さて、執事めは何を話そうかと悩んだが、台所から呼ばれたので「大変申し訳ないのですが‥」と一旦その場を離れる。

「△△くんと□□くん(うちの息子たち)、どっちかプリンスと、しつじやって!」
プリンスと執事!?
2人はもうネコ役に飽きて、絶賛相撲大会中。多分無理ちゃうかな‥

台所の用を済ませて戻ってみると、彼らに執事をやらせることを諦めた姪が「じゃあ2人とも、プリンスね!」とあっさり方向転換していたが、多分もっと無理である。普段彼らのするごっこ遊びは、マリオごっこかスマブラごっこかモンスターハンターごっこ(要はほとんどがバトル)ばかりだからだ。

今朝なんて、起きてパジャマのままの最初の遊びが、雄叫びをあげるモンスターと、モンスターの皮を剥ごうとしているハンターごっこだった。なんなんだこの遊び。

たまに行われているスーパーマリオブラザーズごっこでは、何故かマリオが登場せず、クッパ(ゲームのラスボスですね)とクッパジュニアたち(中ボス)の家族の会話が繰り広げられており、なら、普通にままごとでいいんじゃない?と思うのだが。それにしても王子様とは程遠い。

一番彼らが王子様に近かったのは、お宮参りの真っ白い衣装の時か‥(あ、七五三を忘れていた)。

執事も王子も不在なので、暇になった姫はブロックでお城を作り始めた。広々としたお庭の宮殿。
しばらくしてそこに次男も加わり、敵が来たらビームの出る塀などが追加されていく。

男の子、女の子、一人っ子、兄弟・姉妹。いろんな形の遊び方があるけど、それぞれがそれぞれに想像したり工夫したりして遊べるっていいなぁ。高価で特別なオモチャも必要ない。すごい高度な遊びだな、と思う。


この記事を書き始めた頃、ちょうどあおのうさぎさんがこんな記事を書かれていた。
うさぎさんの娘さんの作る世界も、きっとほんと楽しくて、夢中なんだろうな‥というのが伝わってくる記事だった。子どもってすごいとつくづく思う。


と思ってしばらくすると、長男が来て

「暇やからYouTube見せてー」

母はガックリした。

さて、そんなプリンセス姪っ子は、つい最近、初めて歯が抜けたらしい。口をイーっとして、嬉しそうに抜けたところを見せてくれる。
そう言えば、長男も次男も、初めて乳歯が抜けたのは、姪と同じく年長さんの時だった気がする。

「あんな、抜けた歯をな、寝るときにまくらのとこにおいといたらな、歯がなくなってお金になってた!」

へー、オレのと違う!と次男が反応する。

わが家の場合は、下の歯が抜けたら屋根の上、上の歯なら土へポーイ。パパ同士たちは兄弟だから同じ方式で育ったはずだし、私も似たような感じだったと記憶しているけど、最近変わったのかな?
義妹が笑って、何か幼稚園で聞いてきたみたい、と説明してくれる。寝る前に抜けた歯を枕の下に入れておくと、夜、妖精さんがコインと取り替えてくれるらしい。

何それ、欧米っぽい(?)! オシャレ!

さすが姫は違うなぁ‥と聞いていると、
「お金、10円かな?と思ってたらな、100円になってたん!」
ニコニコと報告してくれた。何だかとても可愛くて、その100円は貯金したのかどうなったのか、聞きそびれてしまった。

彼らの世界には、自由自在に、妖精やお姫さま、剣士やモンスターが出入りしている。

入口はゲームだったり、アニメだったり、現実のお家や幼稚園やお店だったりするけど、どこまでもその子が自分で創って広げることができる、伸縮自在な世界。自分だけでなく、ぬいぐるみや、時にママ・パパ、きょうだいも共有することができたりする。


私も、初めの頃は息子たちの世界で一緒に遊んでたけど、最近はほとんどないなぁ‥


何せモンスターとハンターなので。狩りに巻き込まれないように離れて、たまに餌だけ用意しておくことにします‥。





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