見出し画像

ポール・サイモンのゴスペル調ロック "Gone at Last" 〜 歌詞和訳

Paul Simon が Phoebe Snow (July 17, 1950 – April 26, 2011) とデュエットし, ゴスペル・シンガーである Jessy Dixon (March 12, 1938 – September 26, 2011) による Jessy Dixon Singers がコーラスを付けたアップテンポの曲。1975年10月25日にリリースされ, 翌年グラミー賞の最優秀アルバム賞を受賞した Paul Simon の 4枚目(S&G解散後では 3枚目, ライヴ盤を含めれば通算で 5枚目)のソロ・アルバム "Still Crazy After All These Years" に収められていたもの。

この「前説」部分で最初に断り書きしておくと, Paul Simon が歌ってる部分と Phoebe Snow が歌ってる部分について, 和訳した日本語に関しては昔風の「男言葉」と「女言葉」に使い分けている。

それって 2022年の今現在のご時勢, 時流や風潮には合わないよね。それは十分, 承知してる。自分は日本語においても女性の言葉と男性の言葉が徐々に重なり合うようになって来ている, 昔と比べて言い回しに差がなくなって来ていることに抗う気持ちなど全くない。だからその意味での「他意」とか妙な意図とかはないんだけど, この歌って 1975年, 日本の(自分としては普段あまり使わない)年号で言ったら, 昭和50年, 思いっきり「昭和」の時代の歌。自分自身, これを初めて聴いた時は中学3年のガキんちょ男子だった。ませガキだったけど(笑)。だからまぁ, ここではとりあえず 次章のような日本語にしてみた。

"Gone at Last" by Paul Simon, Phoebe Snow and the Jessy Dixon Singers 〜 歌詞和訳

本 note 前説で言及した収録アルバム, 当時の LP レコードの B面 1曲目。ゴスペル調のロックといった趣。Wikipedia から孫引きすると,

Billboard described "Gone at Last" as "a combination of rock and roll and old time revival gospel."

歌詞も ゴスペル の歌詞と読めたりはするけれど, 自分は無神論者だし, とりあえずそういう読み方はしない前提で 日本語にすることになると思う。

アートは受け手, 音楽だったらリスナーが, それぞれに自分のものとして受け取って解釈したってよいのだ(とんでもなく外れてなければ!)。要するに受け手のところに届いてからは, 少なくとも部分的には受け手のもの, 少なくとも解釈するに際しては(当たり前か, 笑)。

さて, この曲でノリノリのアップテンポのピアノを弾いているのは Richard Tee (November 24, 1943 – July 21, 1993), ベースを弾いてるのは Gordon Edwards, 二人は共に 1970年代から80年代にかけてニューヨーク中心に活動, 活躍したジャズ/ファンク/フュージョン系のバンド Stuff のメンバーだった人。これでドラムスが Steve Gadd だったりすると, ますます Stuff のノリになるけれど, Steve Gadd は 本曲収録アルバムの 10曲のうち 6曲に参加しているものの(イントロのドラムスが超有名な "50 Ways to Leave Your Lover" の他, "Some Folks' Lives Roll Easy", "Have a Good Time", "You're Kind", "Silent Eyes", そして "I Do It for Your Love"), この曲 "Gone at Last" のドラマーは Grady Tate (January 14, 1932 – October 8, 2017) という人, 自分はこの人に関しては全然詳しくないけれど Wikipedia によればジャズやソウル系のドラマー。

前置きが長くなったけれど, この曲はアルバムの中でかなり目立つレベルのノリのいいナンバー, さて, 聴いてみよう ♫

Gone at Last 〜 from Paul Simon's fourth solo studio album (incl. a 1965 album "The Paul Simon Songbook") & his fifth solo album (incl. a 1974 live album "Paul Simon in Concert: Live Rhymin'"), "Still Crazy After All These Years", released on October 25, 1975 ♫

*一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)より「著作権を有する音楽著作物の著作権を侵害している」旨, 指摘を受けた為, 当初 私の誤認識によりここに掲載していた英語歌詞を削除しました。英語歌詞・原詞は公式サイト等に掲載されているものを確認してください(2022.9.1 加筆/削除/編集)。

..............................

真っ暗な夜, 路面は凍結し
雪が降り続け, 吹き溜まりも高くなっていた
俺は長旅に疲れ
しばらく休憩するために車を停めたんだ

トラックストップで腰を下ろし (*1)
俺は自分の過去を振り返っていた
長いあいだ 不幸が続いていたんだ
だけどそれももう終わるはずだ, そう願いたいよ

ようやく終わる, ついに終わる
ようやく終わる, ついに終わる
長いあいだ 不運続きだったけど
でも頼むぜ, もう終わりだろ

これでもばかじゃないわ, わりと考えて生きてきたの (*2)
そんなに簡単に落ちたりしないわ
だけど彼って本当に落ち込んでるように見えたの
だから 気の毒に思ったのよ

今ちょっと甘い気分かな.. ねえ 一体どうしたの?
どうしてそんなに落ち込んでるのか教えてよ
私だって長いあいだ 不幸続きだったのよ
でも祈ってる, もう終わるはずだってね

ようやく終わる, ついに終わるんだわ
ようやく終わる, ついに終わるんだわ
長いあいだ 不幸続きだったけど
でもお願い, それももう終わりよね

たまにあるんだね, どこからともなく
思いがけず, 何の備えもしてないのに
誰かがやってきて 気持ちを高めてくれる
それで 心の重荷を分かち合うようになるんだって

そうね そう思うわ, もしあなたに会ってなければ
私ってずっと落ち込んでいたのかも
長いあいだ 不幸続きだったけど
でもお願い, それももう終わりよね

ようやく終わる, ついに終わる
ようやく終わる, ついに終わる
長いあいだ 不運続きだったけど
でも頼むぜ, もう終わりだろ

ようやく終わる, ついに終わる
ようやく終わる, ついに終わるんだね
長いあいだ 不幸続きだったけど
それももう終わり, そう, きっと終わりね..

........ ♫ ♫ ♫ ........

訳注)

*1 "truck stop" は多分アメリカ特有。日本で言ったら「ドライヴイン」みたいなものをイメージすればよいのでは。

*2 "kick around" は熟語。まぁあんな感じの日本語でよいかと。

とにかく Phoebe Snow のヴォーカルが素晴らしいね, もう一回聴いてみよう, ラジオで! 〜 "Gone at Last" by Paul Simon, Phoebe Snow and the Jessy Dixon Singers

以下のクリップのイントロは, もしかして Phoebe Snow がシングル・リリースした際のイントロ, あるいは本当にラジオでかかった時のものかな?(彼女のシングルの方は持ってないのだ) .. しかしとにかく, かっこいい曲だね。

*一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)より「著作権を有する音楽著作物の著作権を侵害している」旨, 指摘を受けた為, 当初 私の誤認識によりここに掲載していた英語歌詞を削除しました。英語歌詞・原詞は公式サイト等に掲載されているものを確認してください(2022.9.1 加筆/削除/編集)。

..............................

真っ暗な夜, 路面は凍結し
雪が降り続け, 吹き溜まりも高くなっていた
俺は長旅に疲れ
しばらく休憩するために車を停めたんだ

トラックストップで腰を下ろし (*1)
俺は自分の過去を振り返っていた
長いあいだ 不幸が続いていたんだ
だけどそれももう終わるはずだ, そう願いたいよ

ようやく終わる, ついに終わる
ようやく終わる, ついに終わる
長いあいだ 不運続きだったけど
でも頼むぜ, もう終わりだろ

これでもばかじゃないわ, わりと考えて生きてきたの (*2)
そんなに簡単に落ちたりしないわ
だけど彼って本当に落ち込んでるように見えたの
だから 気の毒に思ったのよ

今ちょっと甘い気分かな.. ねえ 一体どうしたの?
どうしてそんなに落ち込んでるのか教えてよ
私だって長いあいだ 不幸続きだったのよ
でも祈ってる, もう終わるはずだってね

ようやく終わる, ついに終わるんだわ
ようやく終わる, ついに終わるんだわ
長いあいだ 不幸続きだったけど
でもお願い, それももう終わりよね

たまにあるんだね, どこからともなく
思いがけず, 何の備えもしてないのに
誰かがやってきて 気持ちを高めてくれる
それで 心の重荷を分かち合うようになるんだって

そうね そう思うわ, もしあなたに会ってなければ
私ってずっと落ち込んでいたのかも
長いあいだ 不幸続きだったけど
でもお願い, それももう終わりよね

ようやく終わる, ついに終わる
ようやく終わる, ついに終わる
長いあいだ 不運続きだったけど
でも頼むぜ, もう終わりだろ

ようやく終わる, ついに終わる
ようやく終わる, ついに終わるんだね
長いあいだ 不幸続きだったけど
それももう終わり, そう, きっと終わりね..

........ ♫ ♫ ♫ ........

訳注)

*1 "truck stop" は多分アメリカ特有。日本で言ったら「ドライヴイン」みたいなものをイメージすればよいのでは。

*2 "kick around" は熟語。まぁあんな感じの日本語でよいかと。

ゴスペルについて

本 note の最初の章に, こう書いた。

歌詞も ゴスペル の歌詞と読めたりはするけれど, 自分は無神論者だし, とりあえずそういう読み方はしない前提で日本語にすることになると思う。
アートは受け手, 音楽だったらリスナーが, それぞれに自分のものとして受け取って解釈したってよいのだ(とんでもなく外れてなければ!)。要するに受け手のところに届いてからは, 少なくとも部分的には受け手のもの, 少なくとも解釈するに際しては(当たり前か, 笑)。

というわけで, 本章では 本 note の「グリコ」的に(あ, 「おまけ」的に!), ゴスペル に関わっての筆者の過去 note へのリンクを。

過去 note 3本, それぞれへのリンク。3本目は更なる「おまけ」(3本目はゴスペルそのものではなく, 1-2本目で言及している ゴスペル・ワークショップ が行なわれたキリスト教会で妻子と一緒に家族3人で ゴスペル ではなく ブルーズ を演奏し, 歌ったという話!)。

note クリスチャンでない者が、クワイアの一員としてブラック・ゴスペルを歌うことは可能か? 〜 前説

note クリスチャンでない者が、クワイアの一員としてブラック・ゴスペルを歌うことは可能か? 〜 本篇

note 無神論者の一家がキリスト教会でブルーズをやった日 〜 2001年11月11日

"Gone at Last" 収録 アルバムについて

ポール・サイモン 歌詞和訳 note リンク集

ポール・サイモン, 1991年の東京ドーム・ライヴを妻と観た思い出

自分の「音楽脳」のおそらく半分以上は, 「ポール・サイモン」で出来ている。その彼のライヴを初めて見たのは けっこう遅かった。しかし, やはり, 素晴らしかった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?