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原子心母 ー Atom Heart Mother by Pink Floyd, If 歌詞和訳付き

原子心母 と 47年前の思い出

47年前というのは今から数えてのことで、以下、アルバム・カヴァーの牛の写真の下に転載するレヴューもどきを筆者が書いた14年前の時点では、33年前のことだった(あれは中学1年の時だったと思う)。レヴューもどきは 2006年5月14日に書いて、自分のホームページ上に載せたもの。細かいこと言うと HTML 打って載せたもの(細かいな、ほんと)。

先に書いておくと、ピンク・フロイドの最高傑作は The Dark Side of the Moon (1973年) か The Wall (1979年) だろうとする向きが一般的かもしれないけれど、筆者は同意しない。もちろん趣味嗜好は人それぞれであっていいんだけど、筆者は Atome Heart Mother (1970年) や Meddle (1971年) の方が好きで、その後の作品は、装飾や説明が多過ぎて饒舌になり過ぎた面があって、以降のアルバムも好きではあるものの、しかし「原子心母」や「おせっかい」の方が良いと思っている。

もっともメンバーのうち少なくともロジャー・ウォーターズやデヴィッド・ギルモアは「原子心母」が嫌いだとか気に入らないとか言ってるらしい。そのくせ、というのもナンだけど、ギルモアは後年もライヴであのタイトル曲である組曲「原子心母」をやっている。

まぁメンバーが気に入らなくたって、ファンの一人である筆者はそんなもん、意に介さない(笑)。作者がどう言おうが、受け取る側、鑑賞する側がどう感じるか、どう感じているか、ってのは別問題だからね。

なお、ピンク・フロイドのファンならほぼ誰でも知っていることだけれども、牛の写真で有名なカヴァー・アートは、ヒプノシス(Hipgnosis, イギリスのデザイン・アートのグループ)によるもの。

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PINK FLOYD ー ATOM HEART MOTHER: 2006年 5月14日 記

1. Atom Heart Mother  (a) Father's Shout (b) Breast Milky (c) Mother Fore (d) Funky Dung (e) Mind Your Throats Please (f) Remergence
2. If  3. Summer '68  4. Fat Old Sun  5. Alan's Psychedelic Breakfast  (a) Rise and Shine (b) Sunny Side Up (c) Morning Glory

これは「原子心母」と呼びます。あまりに見事な直訳。ただし、読み方は「げんし しん ぼ」です。僕が初めて聴いたのは小学校の終わり頃か中1の頃だったはず(発表後2,3年)。もちろん当時はLPね。

A面はタイトル曲の「原子心母」のみ。その1曲の長さ、オーケストラや効果音を使った組曲構成。B面の方には最後に朝食風景の録音みたいなのが入っているし、12か13歳の少年だった僕は、最初はただ驚きましたね。

僕の驚きは「びっくり」っていうより、「何だろう、これ」って感じだったと思うけど、でもその第一印象は少年に限らず、大人のロック・ファンもみんな同じだったかもね。発表は1970年。

僕がガキの頃、少年の頃は、外国映画にしろ所謂「洋楽」にしろ、やたらと邦題がつけられたりしてて、多分オリジナルからとんでもなく離れてしまった意訳モドキが多かっただろうけど、それでも中には傑作もあった。「原子心母」はその一つだね。

「原子心母」は組曲だけど、(b) Breast Milky の「ミルクたっぷりの乳房」、(d) Funky Dung の「むかつくばかりのこやし」などの邦題タイトルも素敵(笑)。少年の頃の僕も間違いなく気に入ってたね。LPのB面の3曲目に当たる Fat Old Sun は、「デブでよろよろの太陽」という邦題がついていました。このアルバムの曲名の翻訳・邦題に関わった人はけっこう詩人だと思います。

1曲目、つまりLP時代のA面全てを占めた「原子心母」は、聴いてもらうのが一番。未だの人は是非いちど、騙されたと思って聴いてください。まぁ人間、騙されたと思って何かするのは不愉快か、兎にも角にも聴いてくださいな。

ただ、何かのついでとか、気が散る気分の時とか、そういう時じゃなくて、聴くという行為にそこそこ集中できる時の方がいいかな。・・・と言いつつも、何かふっと別のこと考えても、わりとテキトーに聞いていても、「原子心母」の中の部分部分が時々ぐぐっとリスナーを引き込んでくれると思いますが。

タイトル曲が注目されたし、されるのは当然だけど、残りのLP・B面の曲も、これがなかなかどうして、味わいがある一品の集まり。

If は 歌詞 もよいし、起伏の少ないメロディもそれに合ってる。
Summer '68 は、独特のドライブ感がある曲。タイトルも何だか僕は好きだ。聴く人それぞれの1968年夏ってものを想起させてくれるかもね(もっとも '69年以降生まれの人はどうだか知らないけど)。
Fat Old Sun は、なんかこれも、独特の哀しさがあるんだな。過ぎ去ってしまったもの、手から零れ落ちたものに向かう喪失感。歌詞の意味は考えたことないけどさ、この曲を聴くと、僕にはそんな感情が浮かんでくることが多いんですよ。
アランのサイケデリックな朝食は、文字通り、だね。何がサイケかって訊かれても即答できかねますが(笑)、名は体を表わすのさ、ここでは。

A面の大作・組曲は、当時の僕はこれこそ「プログレッシブ・ロック」だって思ったものだけど、今となればクラシック? でも、どう呼ぼうが良いものは良い。僕は今も、「原子心母」の世界は好きだね。

B面の曲も、他に同類がどこにもないって感じで、要するにユニーク。一風変わった佳曲の集まりだと、前っから僕は思ってる。少年の頃から、そう思ってました。

この「原子心母」、中学生の頃の忘れられないエピソードがあります。
学校の音楽の時間にこれを僕が持って行って、教室でかけてもらった時のことです。

音楽担当の男性教師は、その時間、好きなレコードを持って来なさい、みんなで聴いてみよう、なーんて企画を生徒に伝えていたのでした。で、僕が学校に持って行ったのは、この「原子心母」。その時に偶然、家で聴いていたからか、それとも単に少年の生意気さが表れたのか、その時の僕の気持ちがどうしてこの曲に向かったのか、それはもう憶えてない。だけど、長い曲だから、相当時間を使ってしまったはずだなぁ。

当時の中学の音楽教師だからね、「クラシックだけが音楽」みたいな堅物が多かったと思うけど、こういうオーケストラの使い方は気に入らなかったかもしれないな。この曲のバイクの音や馬の鳴き声(いななき)などの効果音を除けば、当時の「現代音楽」と呼ばれるジャンルにも既にこういう世界はあったと思うけどな。
でもその教師の顔は、少し薄ら笑いを浮かべて、この曲のどこがいいのかね?って感じてる表情に見えたね、少年の僕の眼には。

・・・で、曲が終わってから、教師は教室のみんなに向かって、「今の曲がいいと思った人?」ってわざわざ尋ねたんだよ。

僕はみんなと仲良くしてたけど(笑)、「原子心母」を初めて聴いた(聞いた)みんなは、多分、なんだろうなぁこれ・・・って印象だったと思うな。教師の問い掛けにも当惑してる感じだったもん。

だけど、一人だけ手を挙げてくれたのを、30年以上経った今でも、僕はよーく憶えてる。その時の教室風景もちゃんと眼(頭)に浮かぶ。

たまたまそうなったんだろうけど、その、一人手を挙げた彼は、後の僕の結婚式にも、僕の田舎から呼んで参席してもらった友人だ。今でも、田舎に帰れば、たまに会って飲んだりする。

「原子心母」を教室で聞いて(聴いて)、教師に「いいと思った人いるの?」って訊かれ、一人だけ手を挙げてくれたこと、たぶん憶えてるのは僕の方だけだろうけどなぁ。なぜかこっちは妙に憶えているもので、それに、どこかこう、嬉しい気持ちが心の中で湧いてきたのもよく憶えてる。少年の時の経験って、わりとはっきり思い出せる場面がいくつかあるんだけど、そういうのはどうやって選択されて記憶に残っていくのかね。選択っていうより、結果なんだろうけどさ。

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自分のホームページ上(ここのところ note 投稿テキストの中でいつも「自前の」って書いていたけれど、よく考えたら「自前の」ってのは「費用は自分持ちで」ってことだった。だから語法としてオカシイ。気をつけねば)では、セットリストの "If" のところや、テキストの中の「(If は)歌詞」のところで、"If" の歌詞を自分で訳した日本語詞を掲載してある URL にリンクを貼ってある。その日本語訳詞は、この下の方でも If の YouTube リンクを貼りながら掲載するけれども、たぶん明日あたり、あらためて note に投稿すると思う。

上のレヴューもどきテキストは、ネット上では以下のリンク先。ただし、2001年夏に本を買って HTML 独学して 1週間ほどで立ち上げた、ホームページ作成用簡易ソフト不使用のウェブサイトで、以降一切、仕様を変えておらず、現在、とりわけスマホなどから閲覧しようとすると OS のヴァージョン次第では文字化けする(威張ることじゃないけど、まぁ威張ってはいないけれど、笑)。

ATOM HEART MOTHER ー タイトル・トラック(組曲)から

ATOM HEART MOTHER ー Pink Floyd's fifth studio album, recorded March – August 1970 (Abbey Road Studios, London), released on October 2, 1970 in the UK and on October 10, 1970 in the USA, and on October 5, 1970 in Japan

日本語版ウィキペディアには「リリース 1970年10月5日」と記されていて、これが日本でのリリース年月日だとすると、本国イギリスよりは遅いものの、アメリカ合州国でのリリースより 5日ほど早いことになる。本当だろうか。なお、今日のこの投稿の趣旨とは殆ど関係ないんだけど、US だけで一応は United States of America のことを指すことになっていて、英語版 Wikipedia でも the US って書いてあるわけだけれども、筆者はあれがどうにも受け入れ難い。中に Mexican が入っているとはいえメキシコは United Mexican States だし、アメリカ(合州国、これもねぇ歴史的には色々あるんだろうけれど通常使われる「合衆国」ってのはどうも使いたくない、United Peoples of America でも United People's America でもないわけだし、あの国は ... と言いつつ、以下では「アメリカ」と略記する)というのは大陸の名前でもあって、しかも北アメリカと南アメリカがあるわけだけど、一方で United States のみで語るのも、まるで アメリカ が 国連 United Nations と一体になるみたいな表記上の見た目の印象があって、どうにもこうにも、あの国アメリカは、色々と面倒くさいのだ。まぁ俺も面倒くさい人間なんだろうけど。

記録によれば、アルバム「原子心母」は、イギリス(OCC)のチャート最高順位は 1位、アメリカ(ビルボード)でのそれは 55位。なんとなく分かる気はする。アメリカでこれが 1位になるのはちょっと想像しにくい。因みに日本ではオリコンのアルバム・チャートで最高15位となっているけれど、そんなもんかな。たぶん当時、日本でも、ピンク・フロイドはプログレッシヴ・ロックのバンドとして既にそれなりの人気を誇っていたんだと思うけど。

LP, A面全てを占めた、アルバム・タイトル曲 "Atom Heart Mother" は組曲。メンバー:Roger Waters, David Gilmour, Richard Wright, Nick Mason と スコットランドの前衛音楽家・作曲家 Ron Geesin の共作、スキャットのようなヴォーカルは The John Alldis Choir という名のクワイアが担当したらしい(らしいと言ってもそれで間違いないのだが、このクワイアについては筆者は知識なし)。途中、喋りが録音されて入っているんだけれども、それはドラムスの Nick Mason によるもの。

(a) Father's Shout
(b) Breast Milky
(c) Mother Fore
(d) Funky Dung
(e) Mind Your Throats Please
(f) Remergence

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If ー 歌詞和訳

LP, B面の 1曲目は Roger Waters が作詞作曲した If で、掲載する和訳歌詞は 筆者が 2003年8月10日に訳したもの。 

*一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)より「著作権を有する音楽著作物の著作権を侵害している」旨, 指摘を受けた為, 当初 私の誤認識によりここに掲載していた英語歌詞を削除しました。英語歌詞・原詞は公式サイト等に掲載されているものを確認してください(2022.8.31 加筆/削除/編集)。

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もしも僕が白鳥だったなら
僕はどこかへ行ってしまうだろう
もしも僕が列車だったなら
僕は遅れるだろう
そしてもしも僕が善い人だったなら
僕は今よりもっと君と話すだろう

もしも僕が眠ったなら
僕は夢を見ることが出来るだろう
もしも僕が何かに不安だったなら
僕はこの身を隠すだろう
もしも僕が気が狂ってしまったら
どうか僕の脳に君の回線を埋め込まないでほしい

もしも僕が月だったなら
僕はクールになるだろう
もしも僕がルールだったなら
僕は曲がってしまうだろう
もしも僕が善い人だったなら
僕は友達の間にある距離と空間を理解するだろう

もしも僕が一人だったなら
僕は泣くだろう
そしてもしも僕が君と一緒だったなら
僕は家に居て涙も乾くだろう
そしてもしも僕が気が狂ってしまっても
それでも君は僕をゲームの仲間に入れてくれるかい?

もしも僕が白鳥だったなら
僕はどこかへ行ってしまうだろう
もしも僕が列車だったなら
僕はまた遅れるだろう
そしてもしも僕が善い人だったなら
僕は今よりもっと君と話すだろう

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和訳した歌詞は、ネット上では以下のリンク先。ただし、上にも書いた通り、2001年夏に本を買って HTML 独学して 1週間ほどで立ち上げた、ホームページ作成用簡易ソフト不使用のウェブサイトで、以降一切、仕様を変えておらず、現在、とりわけスマホなどから閲覧しようとすると OS のヴァージョン次第では文字化けする(威張ることじゃないけど、まぁ威張ってはいないけれど、これも上に書いたことだけれども、笑)。

訳した日の日記(同上)。短文で、かつ大したこと書いてないけど、まぁいいや。

Summer '68

LP, B面の 2曲目は、今は亡きキーボード・プレイヤー Richard Wright (July 28, 1943 – September 15, 2008) が作詞作曲した Summer '68 ♫

*一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)より「著作権を有する音楽著作物の著作権を侵害している」旨, 指摘を受けた為, 当初 私の誤認識によりここに掲載していた英語歌詞を削除しました。歌詞に関心のある方は, 公式サイト等に掲載されているものを確認してください(2022.8.31 加筆/削除/編集)。

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この歌はかなり好きな歌だ。あのミュージック・ヴィデオも気に入っている。

ここで脱線。あのミュージック・ヴィデオのカヴァーのイメージ、単純にあれからのインスピレーション。と言っても、草叢に横たわる、というか寝そべるモデルさん、言えばそれだけの写真だけど。

Karinna Foxx, ウクライナのモデルさん
https://www.instagram.com/karinna_foxx/

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Summer '68

*一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)より「著作権を有する音楽著作物の著作権を侵害している」旨, 指摘を受けた為, 当初 私の誤認識によりここに掲載していた英語歌詞を削除しました。歌詞に関心のある方は, 公式サイト等に掲載されているものを確認してください(2022.8.31 加筆/削除/編集)。

Fat Old Sun

LP, B面の 3曲目は、David Gilmour が作詞作曲した Fat Old Sun ♫

*一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)より「著作権を有する音楽著作物の著作権を侵害している」旨, 指摘を受けた為, 当初 私の誤認識によりここに掲載していた英語歌詞を削除しました。歌詞に関心のある方は, 公式サイト等に掲載されているものを確認してください(2022.8.31 加筆/削除/編集)。

Alan's Psychedelic Breakfast

LP, B面の 4曲目は、メンバー 4人、Roger Waters, David Gilmour, Richard Wright, Nick Mason の合作。朝食の様子を思わせる音などをバックに喋っているのは文字通り Alan という人で、フルネームを Alan Styles というらしいが、筆者はこの人のことは全く知らない。情報なし。

アランのサイケな朝食の中身に、我が家の箸置きを乗せてみた。下の 2枚目の方は英語だけど、この直ぐ下の 1枚目、これはドイツ語だね。

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ではでは、アランのサイケな朝食を食べてみましょう。あるいは、覗いてみましょう、と言うべきか。それとも、普通に、聴いてみましょうか ♫

Alan's Psychedelic Breakfast

(a) Rise and Shine
(b) Sunny Side Up
(c) Morning Glory

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Bonus track: Wish You Were Here (歌詞和訳)


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