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まちの盆踊り

小さな納涼大会を見かけた。
やぐらを見たのは、いつぶりだろう。
やっぱり、いいなぁ、この雰囲気。

子どもころ、地元のスーパーで盆踊りがあり、
毎年楽しみだった。

実家は、新興住宅地だから、ちゃんとしたお祭りなどはなく、これが わたしにとっての夏祭り。

スーパーは今もあるのだけど、
だいぶ前から 盆踊りはなくなってしまった。

7月の下旬だったと思う。
スーパーの大きな駐車場に、やぐらが立てられはじめると、待ちどおしくてしかたなくなる。


夕刻、早く早くとせがみながら、浴衣を着せてもらっていると、太鼓の音が聞こえてくる。

おこづかいは、1人500円。
100円玉を握りしめて、甚平を着た 弟をつれて 
飛び出す。

はやく、はやくー!

あおむらさきの薄闇、
近所の家の屋根の向こうが、スーパーだ。
楽しげな雰囲気で、空がオレンジに光っている。

弟の手を取り、横断歩道をわたる。
音が大きくなる。


真ん中に大きく立派なやぐら。一番上には太鼓があって、ハッピ姿の2人が叩く。かっこよかった。

その周りを、出店が取り囲む。


金魚すくいに、水ヨーヨーや 大きいバルーン。
お面やさんに、くじ引きやさん?

水飴せんべい、綿あめ、かき氷、りんご飴、
焼きそば、フランクフルト。


おこづかいで 何をどう買うか、悩んで悩んで、
いつもおんなじパターンに。

弟は、水飴せんべいや綿あめなど、食べもの。
わたしは、くじ引きやさんでおもちゃを狙う。

小さいときから、消えものでなく、物欲が強かったわたし(笑)

大きいマーブルのバルーンとか
紙を棒に巻いた、シューンって伸ばすやつ とか
メタル素材の蛇腹で、階段を降りれるやつ とか。


好きだったなぁ。
いつも、買ってはすぐ壊れてしまって、またお祭りで買うを繰り返していたな。


月がでたでた〜♪ や 東京音頭、
地元の音頭もあった。

ずーっと音頭が流れて、やぐらの周りを踊ってまわって、前に後に、パパンがパン。
背中にはうちわを差してね。

そして最後、曲が終わるときの、あのさみしい音色は、なんともいえない。


でもでも、まだ終わりじゃない。
最後に、おみやげが配られるのだ!

子どもたちはみんな、これを楽しみにしていた。


スーパーの前にはたくさんの段ボール。

はい、順番にならんで、ならんでーーー
数は たくさん充分にありますから、順番にもらって帰ってくださいねーー
中身は、帰ってからのお楽しみで、お家で見てくださいねーーー!

と、スーパーの人が配ってくれる。

みんな わいわいと、わたしも弟を連れ、列に並びながら、わくわくが止まらない時間だ。

中ぐらいの 茶色の紙袋。

開けたい気持ちをおさえて、1人1つなので、
それぞれに抱えて、急いで帰る。

ただいまーーー!!


居間にかけこみ、茶色の紙袋の口を開ける。

スナック菓子の小袋や、駄菓子、ちっちゃい人形の貯金箱とかが入っている。

弟と、何はいってた? と広げて、交換したり。
盆踊りはつづく。


最後に行ったのは、大学のころだ。

もっと大きな花火大会や、友だちの住む街の本物のお祭りに行くようになって、

スーパーの盆踊りを横目に、素通りして出かけた。

























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