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神のDB(021)

前のお話:https://note.com/daikiha/n/n3a508248507f

後のお話:https://note.com/daikiha/n/n24718b336576

【Ⅰ】


ブーン、、、

沈黙の世界。

そこは天井が高いドーム型の空間。

そこは青白い光が支配している空間。

そして、この空間は、異様なまでの『無』が支配していた。

ムーン、、、
人影が三つ。

『状況は?』
一つの影から言葉が発せられた。

『次の段階に移行される。』
右向かい側の影が答える。

『いよいよ「プラン」実行だな。』
左向かい側の影から言葉が発せられる。

『「向こう」の動きはどうだ』
最初の影が問う。

『アレ以降、現時点での動きは確認されていない。』
左向かい側の影が答える。

『そうか。』
ムーン、、、
「無」が支配している空間。

『では、はじめようか。』
そして一切の「無駄』がない空間。

『1stステージ「ルクスリア」を。』

そして、再び沈黙に戻る。

【2】

2012年2月4日、土曜日。節分の次の日、道端に炒った大豆がバラ捲かれて、ハトがご機嫌な日。

いろいろあったあの11月。
そして、いろいろあったあれからの3ヶ月。
レジスタンスの色々な人達との繋がり、まあ、コミュニケーションも増えて、知っている人が増えて、親しくなった人が増えて、その人達と色々あって、あれやこれや。
あー、あれやこれです。

ホンにいろいろありました。。。。
痴漢と間違えられて泣かれた女子高校生には何故か慕われ、
痴漢と間違えられて毎回追い回されたヤンキー君はなぜかボクの舎弟になり、
痴漢と間違えられて大笑いされたおしゃれとんがり野郎とは変わらずの気の逢う仲で、
痴漢と間違えられたことに軽蔑な目で見ていたお姉さまには相変わらず頭が上がらず、
痴漢は関係なく、初めて会ったときの初老の男性はそっけない感じだったけど実はすごくボクのことを思ってくれているいい人だったり。


ボクのこれまでの人生の中で、これ以上の変化はない出来事に満ちた3ヶ月。

戸惑っている、という思いが半分の正直な気持ち。
うれしい、という想いがもう半分の正直な気持ち。

こんな日が、こんな時間が、あとどれくらい続くんだろう、って。
恐怖心なのか、それとも期待感からくるものなのかよくわからない感情になりながら最近はよく、考えてしまう。

胸がぐっ、っときてしまうんだ。

そんなこんなな毎日を過ごしている今日この頃の本日、ますみとの戦闘訓練の日。

昨年の12月。あの11月の翌月。
『幾ら護られる存在だからといって、なにもしないなんて愚の滑稽よね。そうね。必要よね、戦闘訓練。やるわよ』
と、こちらの意見なんぞまったく射し込められる状況でないますみからの提案で、週末はもっぱらの戦闘訓練をしている。
この訓練がこれまた・・・半端無い。
いや、半端の切れ端すらない容赦無い内容。
これまでの人生、幼少の頃の「デブ」から学生の頃の「ブタ」に成長し、ようやく最近「ヒト」に戻れたこのボクとしては、ただ走るだけでもプレッシャーとストレスで心拍数がバックバクに跳ね上がるトラウマを抱えていた。
そんなボクですからぁ~、まあ、そりゃ、なんていうか、当たり前っていうか当然・・・
ちびりました。
逃げました。
捕まりました。
なんてことを何度も何度も繰り返すぐらいの訓練内容でしたぁ・・・( ̄◇ ̄)(回想による放心状態です)

しかしさすが我らのますみさん。
こんなボクの事などお見通しだったらしく、
時にはトラウマを失くす為に夕方6時から翌朝6時まで休みなくマラソンを毎日され続ける地獄と、
食事の時におかずをテーブルに置く瞬間に爆乳様のチラリ見させるほんの天国を、
時には全身に総重量20キロの重りを付けながら日常生活を過ごす(箸やお椀も鉄製ですよ)地獄と、
ますみさんの風呂上りのさりげないノーブラ的Tシャツ姿のほんの天国を、
時には3連休以上の休みのたびに目隠しされて場所もわからない戦闘訓練施設に放り出される地獄と、
ボクがお風呂に入っているとき当然のようにあの爆乳引っさげて入りにきたりのほんの天国を、
いやいやいやいやいや、ますみさん!!
ホンによくわかってるのぉ(ボクの単純志向を・・)
。。。ボクの命の危険とは割が合わない合わない合わな過ぎる。

そんな基礎?訓練は1ヶ月程度で終了した。
『あなたの基礎能力は一定のレベルに達したわ。これによって護衛体制も変更したの。』ますみがボクの家を出て行ったのと同時に。
ボクは何故かショックを受けていた。
自分の予想以上に、受けていた。
なんか足元を失った感じになって胸にぽっかり穴が空く、こんな気持ちはこれまでの人生で初めてで、・・・でも、
『ダイキ、いい?これからは今まで通り、用事がない限りきちんと毎日「クエリ」に来なさい。護衛体制は中距離体制になったけど、できるだけ、可能な限り、私の傍にいるべきなの。だから、私の傍にいる時間を多くするために「クエリ」に来なさい。これからは朝ごはんと夕ごはんを食べに来なさい。いい。いいわね。わかった。返事は?決定よ。』
そんな胸の穴は何か温かい気持ちであっという間に、満たされた。そのますみの言葉と共に。。
なんだろう、すごく、うれしかった。ホンにうれしかった。
ボクはますみの問いかけに、何度も、何度も、うなずき続けていた。
まるでパブロフの犬みたいに。
犬、みたいに。
犬になって。抱きついた。
おっぱいにかぷついた。
肘鉄と膝蹴りを同時に喰らっていた。
意識を失う時、ますみの笑顔が見えた気がした。。。


そんな3ヶ月を過ぎた今日この頃の本日は、剣撃の訓練。

場所はボクのマンションの近くの大きな川沿いにある広めな遊歩道。
会社が休みの土曜なのかはわからないけど、この遊歩道はいつも人通りが少ない、というかまったくないところ。
なので、今日のような剣を使った戦闘訓練にはぴったりな場所なのだ。
・・・・まあ、真昼間からちゃんばらレベルを逸脱しているところを見られるのはまずいだろうしね。
川沿いだろうか、少し風が強い。でも冬の寒さが残る2月には珍しく、程よい日差しで視界良好、温度も良好だ。


ボクは神のDBにアクセスすることができる能力者「アクセラー」の能力の一つである「ポケット」から、ブラッディソードを取り出す。
ポケットとは、異次元の空間へアクセスできる能力で、空間の広さは能力者によって異なるらしい。要は、某有名な猫型ロボットの○次元ポケットである。
そしてボクの手にしている真っ赤な剣、というか西洋の「ソード」と言った方がイメージがつく、流線型の文様と、柄に輝く文様が特徴的な剣。
すごく軽くって、それでいて丈夫。まるでボクの体の一部、って、元々は、
『なんか、自分に切りつけてる気分ね。いい気分ではないわね』

と、ますみがしかめっ面をしているのも当然で、この剣は、あの去年の11月の時に切り落とされたますみの腕で精製された剣、らしい。
まあ、ボクはまったくその時の記憶が無いんだけどね。


あの夜の翌日の朝。

目が覚めたら病院のベットの上にいて、周りにはマスターとますみ、
そして見知らぬ人たちがいて、
その人達がレジスタンスの人達だと説明を受けて、
そして自分に起こったことを説明されて、
朦朧とした頭がだんだんと覚醒していくにつれて、
体中に痛みの感覚が現れて、
特に右腕なんて脱臼とか筋肉が凄いことになっているらしく、
これでもか! 見たいな鈍痛が続いて、

・・・死ぬかと思ったよ、ホンに(・_・、)ホロッ

前のお話:https://note.com/daikiha/n/n3a508248507f

後のお話:https://note.com/daikiha/n/n24718b336576

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