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神のDB(017)

(017)この世界の真相の話ですぞぃ~|ω・)どうぞ~

前のお話:https://note.com/daikiha/n/na6e9bbf320f1

後のお話:https://note.com/daikiha/n/n97abb096d26e

【23】

【始まりの世界】

『まず、最初に「始まりの世界」についてご説明します。

「始まりの世界」とは神のDB(データベース)システムが開発され、そのネットワークによる支配が始まった世界を指します。
その開発に携わっていた救世主様は、神の住人でした。
そもそもの神のDBの目的は今のような内容ではなく、
「地上の全ての生物が神の支配から自立して進化するため、地上の住人への地上管理権利の譲渡及び環境面、生活面をサポートするシステム」
と言い伝えられております。
しかし、異なる神の住人が地上の支配を目的にしたプログラムへ修正する方針に変えたため、開発プロジェクトのメンバーであった救世主様は、神のDBシステムの完全消去プログラムを開発、実行しようとしました。
しかしながら、既にプログラムの稼動を実現してしまっていたため、異なる神の住人に阻止されてしまいます。
そこで同じ思いを持った神の住人である4賢者様と人間側の協力を得て、再び神のDBの完全消去を試みますが、力の歴然の差から敗北。
最後のときに救世主様は、地上への支配力をネットワーク経由限定にする今のプログラムに修正したことで、地上は神の直接の支配を退けましたが、救世主様と4賢者様は地上に堕天されてしまいます。
堕天後、人間の導き手として神のDBのネットワークの使い方などを素質ある人間に訓え説いたことで、神側への対抗勢力『レジスタンス』が生まれた、とのことです。』


『続きまして、これまでのレジスタンスですが、
我々がレジスタンスと称している戦いはここ1000年以内の起こった大規模な戦いを示しています。
その定義は「神のDBシステムまで辿り着き、破壊もしくはそれに相当する勝利」、となります。
それまでの戦いは、神側の一方的な「虐殺の歴史」でした。
つまり、我々は、ここ1000年でようやく神側と対等に戦える力を得た、ということになります。
話が逸れましたが、まず、ここ1000年以内に起こった3回の戦いを我々は総称して「感情のレジスタンス」と、呼んでおります。
理由はそれぞれのレジスタンスが感情を示す、「喜怒哀楽」、の意味に合う結末を辿っているからです。
「喜びのレジスタンス」
「怒りのレジスタンス」
「哀しみのレジスタンス」。
この順番でそれぞれ救世主様は力を発現させ、レジスタンスは起きております。
そして、我々は今のこの現代、起こるであろうレジスタンスを「楽しみのレジスタンス」と推測しております。
これが意味することは二つ。
ひとつは「我々の勝利が楽しい、つまり好意的な結末となる、ならねばならない」ということ。
そしてもう一つは「最後のレジスタンス」になるであろう、ということです。
我々の今回のレジスタンスへの思いは、過去から切に求めていた悲願達成、つまり、
「神のDBシステムの完全破壊による神からの支配の脱却」、
これに尽きます。

このことは大樹様にも心に留めて頂きたく、よろしくお願いいたします。』


『ではレジスタンスにつきまして、簡潔に時期と結末をご説明させていただきます。』

【喜びのレジスタンス】

『では、最初のレジスタンス、喜びのレジスタンスから。
このレジスタンスは先ほどお話した「始まりの世界」から、レジスタンスの戦士たちの成長により、救世主様が初めてそのお力を存分に振るわれたレジスタンスです。
時は西暦1170年頃の日本。鎌倉幕府設立前の源平の戦いの真っ最中の争乱の時代です。
結末ですが、神のDBシステムの破壊に辿り付いた勝利、しかしながらそのシステムはダミーであり、救世主様がお亡くなりになった後、レジスタンスは一族全て、皆殺しに遭いました。』

『以上が、喜びのレジスタンスです。』


【怒りのレジスタンス】

『続きまして怒りのレジスタンスです。
3回のレジスタンスで唯一、救世主様が戦いの最中にお亡くなりになった、レジスタンスです。
時は1400年頃の中世ヨーロッパ、フランス。百年戦争の後期です
結末ですが、最後の決戦の前夜、神仕側の不意打ちによってレジスタンスのメンバーはほぼ全員、皆殺しに遭いました。その状況に救世主様は力を暴走。敵味方関係なく、皆殺しの惨劇を繰り返され、最後は4賢者様のお一人に、その命を断たれる、ことになります。』

『以上が、怒りのレジスタンスの結末です。』


【哀しみのレジスタンス】


『そして最後に哀しみのレジスタンスです。
『こちらは名の通り、仲間の裏切りと誤解が招いた哀しい結末のレジスタンスです。
時は1600年初期の日本。戦国時代から江戸時代にかけての動乱の時代です。
結末ですが、戦いの最中、4賢者様のお一人が、神仕側に寝返り、最後の戦いでそのお命を救世主様が絶ちます。そしてシステムの破壊は出来ませんでしたが、神仕との戦いに勝利した、と伝えられております。』

『以上が、哀しみのレジスタンスの結末です。』


マスターは、話し終わってから何も言わない。

ボクはその間、何も言えなかった。
胸が一杯になった。胸一杯、とはまさにこんな状態なのだろう。
何かの感情がボクの体を駆け巡り続けていて、色々な想いがボクの頭に満ちていた。
「喜び」
「怒り」
「哀しみ」
そんな感情が押し寄せてきている。
そんな想いが満たしていた。


ボクはようやく落ち着いたあと、
『感想、というよりかは質問なんですが、過去のレジスタンスの2回はこの日本で起こっていますよね?今回、仮に最後のレジスタンスだとして、日本では3回目。4回中3回は凄く多いと思うんですが、何か理由があるんですか?』
とボクの質問に対してマスターは少し思案顔になって、
『確かな理由(ワケ)、というのはございませんが、かつて地球の大地がほぼ統一されていた時代に堕天された救世主様が舞い降りた地が、今の日本、だったと言い伝えられております。それが要因のひとつ、かもしれませんね。』
と、久しぶりの笑顔と共に、これまた説得力があるようであやふやな答えが返ってきた。

でも、ボクはその笑顔に少し、ほっ、っとしていた。
それだけボクは、感情に、想いに、支配されていたんだと思う。

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