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神のDB(030)

(030)まったりながらも心躍る展開ですぞぉ~|ω・)どうぞ~

前のお話:https://note.com/daikiha/n/nbef4f78945b9

後のお話:https://note.com/daikiha/n/n0983d84560d3

/⇒走&巡&店&食=怒×2

いい天気です。
時間は午前11時半過ぎ。
凍える寒さも北風と太陽が気を使ってくれているのか、風もなく暖かい日差しで少し落ち着いてきた。
もう少し時間がたったらお散歩日和になりそうだ。

いい賑わいです。
普通のサラリーマンにとっては休日に当たる土曜日。
勝手知ったる目指す馴染みの下町は観光客で賑わっている。
自転車で回るには少し動きづらい人混み。
でもなんだろう。普段は人が多いところは苦手だけど、こんな休日の時は何故か、安心する、落ち着く。
。。。自分が世界から取り残されていない、って思えるからだろうか。
なんてセンチなことを考えちゃう三十路な今日この頃、今のボクは、

いい雰囲気です。

『とーちゃくですぅ~』
自転車で15分。唯さんの可愛らしい声の元、
ボクと唯さん、仁君の3人、自転車で馴染みの下町に到着ですよ。

ちなみに、本日の唯さんはピンクのセミロングコートとお揃いのピンクの自転車(ママチャリ系)を使用。
唯さんらしい可愛い感じが150%飛び出てくるぐらいのお似合いです。よかよか~r(^~^*)
方や、仁君(と勝手に言い直してさっき睨まれた)は・・・出前?蕎麦屋とかのお店の自転車って感じの自転車を使用。。。なんで?
と、少し疑問に思いながらいつも停めている路上の指定された駐輪所に自転車を停めた。
この街は無料の駐輪所ならぬ自転車置き場を複数設置していて、とっても自転車観光客のボクとしてはありがたい限り。
さて、これからどうしようかなぁ。
と、考えていると。
『ダイキさん。あのぉ。これからどうしましょうかぁ。』唯さんがボクに尋ねてくる。
『うーん、そだねー・・・、ところで唯さんと仁君はこの町、初めて?』
『はい~、初めてなんですぅ~。』『・・・うす、来たことないっす。』
ほっほー。
にゃるほど、にゃるほど。
これはこれは。
ふむふむ。
と、なれば。。
『そかそかー。ではではー、ボクがいつも行っているお店を回ってみようかね。それでいいかな?』
と、ボクが提案すると、
『はい~、是非是非行きたいですぅ~。』『・・・うす、どこでもいいっす。』
ほっほー。
にゃるほど、にゃるほど。
これはこれは。
ふむふむ。
・・・気にしない気にしない。
『よーし!では下町巡りー、行ってみよー!』『はい~!』『・・・ふん』

いえーい、いい雰囲気です~(T_T)

・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
と、そんな感じでまずは、雑貨屋さんへ。
まー、今からお昼ごはんにいってしまうと既にそこら辺にうじゃうじゃいる観光客でゲキ混みです。
ということで、この辺が常連、っていうのですかぁ~、逆に考えての行動。
飲食店に人が行っているこのお昼時は逆に雑貨屋さんが空いているのです。ま、こんなこと誰でも考えているんですけどね。
そんなわけで、多くの雑貨屋さんの中からボクはこの手ぬぐい屋さん「粋」へ。
店名は如何にも、って感じの方向に考えてしまいがちですが、ここは色々な色鮮やかな手ぬぐいを多く揃えているお店。
子供から若い人、年配まで幅広い層に合った柄があり、只見てているだけでも飽きないお店だ。

店内は、お会計のところを店内の中心とする縦長の長方形の形をしていて、棚は季節や年代別、地域別などによって分けられている。
棚の上、壁側はガラス戸になっていて、その中には手ぬぐいが柄を強調した感じで飾られている。
色々な柄があるため、まるで何かの絵画のようにも見える。
それがもっとも綺麗に見られるところが、店の一番奥の壁側、大きな一枚ガラスの向こうに、手ぬぐいで表現された「風景」がある。
紅葉の秋を表しているのだろうか。真っ赤な赤、淡いオレンジ、明るい黄色といった紅葉を模した様々な褐色系の手ぬぐいが飾られている。中には銀杏や楓、もみじやつつじなど秋の紅葉樹を絵柄とした手ぬぐいもある。今の時期にぴったり、ドンピシャ、心奪われる。
ボクはその光景に暫し眺めていると、ふと隣に唯さんがいることに気付く。
唯さんは少し口をあけて大きな目をさらに大きく見開きながらその光景を、手ぬぐいで作られた秋の「風景」に見入っていた。
『綺麗だね。』とボクは唯さんのほうを向いて言う。
すると、『はい。。綺麗です。』と唯さんは風景を見続けながら答えた、と思っているとこちらに振り向き『ダイキさん。私、感動です!ありがとうございます!』
思いっきり顔をボクのほうに近寄ってくる。
『うおぉ!!』
ボクはそれに動揺してしまい、後ろに倒れそうになる!
『ダイキさん!』パシィ!!
唯さんがボクの手を掴んでくれる。そして
ガバァ!!
ボクは掴んでくれた手で体を起こし。。。。唯さんに抱き付いていた。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ』ボク
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はうぅ』唯さん
ボクと唯さんは抱き合ったまま固まってしまった。どしよ、動けん。動いた瞬間・・・・・泣かれる。

『何してんだぁ!!この置換野郎がぁ!!』
『おわぁああああ!!』
強烈な殺気による回し蹴りを間一髪、避ける。
『ちぃ!くそ!器用なヤツ』『・・・なにかな。』『なんでもねーっす。』
なんでもない訳ないでしょー。仁君、また全力でボクをヤろうとしましたね。そんでもって・・・・仁君、また漢字間違えしてるよ。
『はわわわぁぁ。。。大丈夫ですかぁダイキさん!仁君!危ないでしょー。こんな店内で回し蹴りなんてー。お店の人に迷惑じゃないのー!』
そねー、確かにお店の人に迷惑だよねー。・・・・唯さん、またボクの命の危険、忘れているよ。

『あははは。さあ、さてさて、そろそろ次のお店いこうかぁ。。ね』

さて、次は・・・、もっと気を付けよ。命の危険から(T_T)

・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
そんなこんなでそれから色々お店を見て周って抱きつき抱きつかれ殴られ避けて蹴られて逃げてを繰り返し、気付いたら午後1時近くになったので、お昼に行くことになり。
今日は行きつけのてんぷら屋さんにした。
ここは昭和の初期から続くご家族だけで経営している昔ながらのてんぷら屋さんで、おいしいのはもちろん、とにかく安い。
定番の海老やキス、アナゴといったお魚から、タマネギやインゲン、しいたけなどの野菜まで、下は100円から高くても300円台でご主人の確かな腕から生み出される一流のてんぷらがお安く食べられる貴重なお店。
そんでもって忘れてはいけないのが。。。「黒天丼」。
丼つゆがとにかく、黒い。
何を使っているのか良く分からないけど、なんでも昔から同じ製法で継ぎ足し続けて使っているらしく、「まあ、だから黒くなっちゃったんかもしれないねぇ」なんて女将さんが笑って答えていたっけ。

てな感じのボク大好きなこのお店では、
黒天丼を2つ(ひとつは「オレ腹へってんっすよ」な仁君と、残りでボクと唯さんでわけわけ~)
おしんこに、お味噌汁、そんでもって、てんぷらは海老とキス、メゴチにタマネギ・レンコンをそれぞれ3つづつ注文。

『わぁ~、おいしいですぅ~』

唯さんのうれしそうな声。うーん、よかよか~r(^~^*)
『ダイキさん!この海老のてんぷらぁ~、すんごくおいしいですぅ~。はむぅ!あ、はふぅ、熱いですぅ~』
あー、あー、あああーーーー、なんじゃこの萌えすぎる食べ方はぁ~。。。見ているだけでボク、昇天してしまうぅー。
と、一瞬別次元へトリップしてしまったボクだが、『ゆいちゃ~ん、海老、好きなの~』自然と口から言葉が漏れる。
『はいぃ~、大好きなんですぅ。えへへぇ~』
あ、いい笑顔。初めてるみかもしれないなぁ、こんな柔らかい笑顔。
『にゃはぁー、じゃあ、もっと注文しようー、おじさーん』『え!いいですぅよぉ~、ダイキさ、じゃなくダイキさん!申し訳ないですぅ~』
と、少し驚いた顔で申し訳ないような顔をする唯さん。うーんええ子。
『あはは、大丈夫、ここのてんぷら、おいしいけど安いから全然平気だよ。ねーおじさん。』『じゃあ、一番高い車えびのてんぷらでいいな。』『げ!いつの間にそんなの仕入れやがったん!』『今日だ。特大だぞ。1本1000円だ。お嬢ちゃん、2本でいいか?』『え、わー!はいぃ~』『うそーん!!』
おー、おーいい。さりげなく頷いているー、唯さん。素直な子。
『オヤジさん、オレ、黒天丼お代わり』
おー、おーいい。さりげなく追加してるー、仁君。遠慮ない子。
『にゃぁー、おじさん!オレも車えび1本くれい!』『お、今日は気前いいなー。いつもは、』『皆まで言わないでください。』かなしくなるからぁ~。見栄張っているだけですー。やけになっているだけですー。

サクゥッ!

ホンにここのてんぷらは、おいしい。
衣はサックサクで、いいごま油の香りがする。
中の具のあげ具合が良い。
エビは半生まではいかないけど、ジューシーで歯切れのよい食感に。
キスやメゴチといった白身魚はふわっふわな食感。
タマネギはしっかりした中にもやわらかさがあり、甘さが感じられる。
レンコンなんかはまさに食感が最高で、シャク!&ほっくほく。
そして何個食べてもしつこくならないし、胸焼けしない。いい油使っている証拠。
てんぷらの天つゆは黒天丼のような黒色はしておらず、こちらは結構さっぱりだけど、ダシが効いている。関西風なのかしら?

あと、先ほどから名前に出ている「黒天丼」
こちらは黒色だから味が濃いのかと思えば。。そんなことなし。
甘さを強く感じ、辛さは感じない。
ようは、ご飯が進む絶妙な甘辛さだ。
そんなてんぷらの箸安めに糠漬けのおしんこと、赤出汁のお味噌汁だ。
カブ、大根、ごぼう、長いも、なす、きゅうり。
種類も豊富で、付け具合が最高。
特に長いもはしゃくしゃくした歯ざわりが最高。一番好きだ。
お味噌汁はわかめと豆腐のシンプルな具材。でもそれがいい。
赤出汁ってなんで色はこんなに濃いのに、味は濃くないのかしら?と、確実に不思議に感じてしまうギャップは毎回、否めない。

こんなおいしい料理に唯さんは終始笑顔に、仁君も少し表情が柔らかくなっているように見えて、ボクは少し安心して気持ちが楽になっていた。

ご飯も食べ終わり、
『うーん、おいしかったですぅ~。』
唯さんが幸せそうな顔でテーブルに沈んでいる。
『よかったぁ。満足してくれて。』
ボクは素直に感想を言葉にすると、バッ!っと体を上げ『あうぅー。申し訳ございません。ダイキさん。はしたない行動をしてしまってぇ・・』
申し訳無さそうな顔をする唯さん。ホンと、真面目なんだなぁ。この子。。。。ええ子(・_・、)ホロッ
『あはは。そんなの気にしなくっていいよ。楽にして良いからね。』『え、えーとぉ。でも・・』『ういー。すんませーん!、お茶お代わりくんさい!』
そんなやり取りを横に堂々とお茶のお代わりを頼む仁君。ホンと、なんていうか・・この子。。。。素直な子(・_・、)ホロッ
対照的な二人を見つつ、『おっと。』忘れてた。
『唯さん、仁君。』『はい?』『なんっすか。』こちらを向く二人。うふーん♡。
『はい、これ。』
紙袋を二人に渡す。
『あの~。ダイキさん。これは?』『うん、二人へのプレゼント。今日、付き合ってくれたお礼だよ。』『え!』『・・・』
『二人とも、開けてみて。』
ボクに促されて二人は袋から
『ダイキさんこれって。。』『うん、手ぬぐいだよ。』
唯さんには淡いピンクに白の水玉模様の手ぬぐい。
仁君には赤とオレンジの中間の水玉模様の手ぬぐい。
『両方とも水玉なんだけど、色はそれぞれボクが勝手に思いついた二人のイメージ色にしたんだ。気に入ってくれると、うれしいな。』
ボクがそう言うと、唯さんは目を大きくして
『ありがとうございます!!』
笑顔で答えてくれた。
『私、うれしいです。大事にします。一生、大事にしますね!』
唯さんはそう言ってくれて、手ぬぐいを嬉しそうに眺めている。
ボクはそんな唯さんを眺めていると、『オレいいっす。』ふと、声がした。
仁君が手ぬぐいをボクのほうに突き返していた。
『え、なんでぇ、仁君。せっかくダイキさんが私達の為に選んでくれたんだよぉ。どうしてそんなこと言うのぉ~。』
唯さんが少し悲しそうな表情で仁君をみる。
『いいっすよぉ。オレ。今日のも含め、あんたへのことは全部、仕事なんっすから。貰えませんよ。』仁君は唯さんのほうは見ず、ボクのほうだけ見ながら言う。

そんな仁君にボクは、
『?』

笑顔を向けた。

『まあ、ボクと同伴する、ということはそういう面もあるんだろうけど。。。でも、もうひとつ今回のプレゼントには、今後もよろしく、って気持ちも含まれているんだよね。』
ボクは頬を指でぼりぼりと掻きながら、
『だって今のボクは何も力もないし、君達を導くなんてこともできない。ただ護ってもらうだけの存在だよ。でも、何かしてあげたい。だから今できることは是くらいしかない。だから、』
ボクはさらに柔らかい笑顔で仁君に言う。
『ボクの自己満足に、我侭に、付き合ってください。』
そして、頭を下げた。

『なん!なんだよそれ、ってあんた頭なんか下げて、はずかしく・・』

『そんなこと!言わないでください!』

震えた大きな声。声の唯さん。『唯さん?』
『ダイキさんは何もないなんて、ないです!ダイキさんは私達の希望です!ダイキさんは居てくれるだけでも私達に勇気を、希望を、そして夢を与えてくれます。それに、あなたがその存在じゃなくても、そのままのダイキさんだけでも、私は、私には一杯貰ってます。幸せ、貰ってます。ダイキさんの優しさは、素晴らしいです。私は。。。』
ボクの方を強く見て言う
『幸せです、今、この時も。』

店にはボク達だけ。おじさん達は気を使ってくれているんだろう。厨房の奥にいた。
ボクはおじさん達にも感謝をしつつ、唯さんの頭を『あ。。』撫でた。やさしく、ゆっくり、何度も。
『ありがとう。唯さん。ボクも、幸せだよ。今、この時も、優しい君と一緒に居られて。心が温かいよ。』
ボクは自然と笑顔で答えていた。

『あ、う、あうあう、ああああああぅぅううううううううううう!!』

あ、あれ?この反応って、いつかの・・・
唯さんが突然立ち上がった。の、拍子に。。ボクのお茶が跳ね上がって・・・・

バシャ!!

『あちゃぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああ!!!』

熱湯がぁーー!!股間にーー!!くるぅ!!!!!!!!!

って、ふざけている場合でねー!!水ー!!
バシャ!!
ボクは直ぐにテーブルにあった氷入りの水を股間に掛けた!
『おおーー、あぶにゃいー。危うく大事なところがフランクフルトになるところだったぁ』『なにアホなこと言ってやがる。これで拭け。』オヤジさんが冷たいおしぼりとタオルを投げてくれた。
『あうあうあうあうあうあうぅーー、ダイキさーん、大丈夫ですかぁ~。申し訳ございません~』
あうあう言いながら唯さんがおしぼりを取ってこっちにくる。そして、
『あー、びしょびしょー。ダイキさん、火傷してませんかぁ?』
おしぼりでボクの太ももや
ふきふきー
股間をーーー、
ふきごしふきー
股間をーーー、
ごしふきごしごしー
こきゃんをーーー、
ごしごしぷにごしー
こきゃんたまをーーーーーー!!
ぷにしこしこぷにー
あはぁはあああああはぁぁーーーーー!!

『あれ、なんだろう、硬い棒がありますぅ。って、』(にぎゅぅ)『え?』

ビイイィィィンン!!

うーん。唯さん、ジャストハンティングぅ~。。。。あはぁr(^~^*)


・・
・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『!!きゃぁ!』真っ赤になる唯さん。うーん、きゃわいいにゃーr(^~^*)
『!!てめぇ!』真っ赤になる仁君。うーん、おにのぎょうそうだにゃーr(^~^*)
って、『おうわぁお!!』(バコォーン!!)
仁君の正拳突きを間一髪、頭を下げて避ける!!って、後ろの壁、拳めり込んでるーーーー!!(゚д゚ノ)ノ ヒィィ!!
『殺す!!このセクハラ野郎がぁ!!』『うえぁ、わあぁ!にゃああー!』『仁君!!やめて!お店の人に迷惑かかるでしょ~!』
おおーーー、唯さん、ナイス天然ー!!

その後、ひとしきり追っかけてきた仁君の攻撃をかわしつつ、なんとか唯さんがなだめて・・・・ボクらは店を後にした。
てんぷら屋のおじさん、ごめんなさい(*- -)(*_ _)

前のお話:https://note.com/daikiha/n/nbef4f78945b9

後のお話:https://note.com/daikiha/n/n0983d84560d3

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