だけど?の活用法(葛藤と逆接質問)
歯医者に行きたいです
コーチングスクールでの一コマです。僕がコーチングのデモンストレーションのクライアントを募集したところ、20代の男性が手を挙げてくれました。
歯医者に行きたいなら、行ったらいいですよね。
だから「行ったらいいじゃない」と言ったわけですが、もちろんそれで終わるとは僕も思っていません
「行ったらいいじゃない」と言われると、それはそうなんだけど、というように、当初の考えと相反する考えが出てくるわけです。
クライアントの中に矛盾(葛藤)があるんですね。葛藤がなければ悩まないわけです。同じ状態の虫歯を抱えていても「歯医者に行こう」と思えば悩まないし、同じように「歯医者に行く必要はない」と思っている場合も本人は悩まないわけです。
悩むのは
「行ったほうがいいんだろうな」VS「でも痛いの嫌だなぁ」
「行きたいんだけど」VS「全然時間取れない」
「行かなきゃいけないけど」VS「怒られそうで気が進まない」
とか矛盾(葛藤)があるからですね。
この場合だと
「歯医者に行きたい」VS「怖い」
の矛盾(葛藤)が存在することがわかったので、簡単にコーチングするなら、それぞれの目的を明らかにすれば良いのです
ここで
CO「どうする?」
CL「今から予約入れます!」
みたいな話になるなら、それで終わるのも良いと思います。
けれども一応「怖い」という方の話もきいてみましょう
きいてみて良かったですね。何にしても避けたいことがわかれば、打ち手が見つかってくることが多いです。
なので、コーチは怖がらずに踏み込んでいくと良いですね。
このような展開を作ったきっかけが
この「行ったらいいじゃない」なわけです。人は矛盾を抱えている場合、片方に肩入れされると、もう片方が反発するようにできています
だから
CL「あやまったほうがいいのはわかってるんだけど」
CO「とっとと謝ればいいじゃん」
CL「いや、でももともとは彼女が言い始めたことだし」
となりやすいわけです。けれど同じ例でも
CL「あやまったほうがいいのはわかってるんだけど」
CO「謝りたくないんでしょ?」
CL「そうだけど、やっぱり僕も言い過ぎたのは間違いないんで」
となったりします。
コーチがクライアントの矛盾(葛藤)のどちらに肩入れするかで、クライアントの反応が変わるわけです
このようにしながら、クライアントの内側にある矛盾(葛藤)を浮かび上がらせた上で、先ほどの例なら「目的を明らかにする」など次の手に結びつけていくわけです
逆説接続詞を使う方法
別のやり方が、逆説接続詞を質問にする方法です。
逆説接続詞=しかし、だけど、とはいえ、でも、ところが など
歯医者に行きたい だから 予約をいれた(順接)
歯医者行きたい だけど お金がなくていけない(逆接)
ですね。
順接の接続詞も逆接の接続詞も、そのまま質問としてコーチングで使えます。
CL「もうこれ以上がまんしたくない」
CO「だから?」
CL「彼女としっかり話がしたいです」(結論)
CL「もうこれ以上がまんしたくない」
CO「だけど?」
CL「彼女にどう話したら伝わるかわからない」(課題)
みたいなイメージですね。これらは『確認の質問10選』に入っている質問です。確認の質問については、以下の記事をどうぞ
ということで、最初の事例に戻りますが
というやりかたもいけるわけですね。
友達が欲しいんです
昔、とあるコーチから相談された案件です。
そのコーチは大学1年生にコーチングをしたのだけどうまく行かなかったといいます。以下はその再現です
受容的な感じできこうとしているし、どうして友達が欲しいのかを聞こうと頑張っていますね。具体化や網羅の質問も入れています
改善するとしたら、クライアントが答えやすい質問にするといいですね
CL「友達がほしいです」
CO「いいね!友達と何したい」(具体化)
は決して悪くないですが
「もう少し教えて」
「どうして?」
「どんな友達がいい?」
「どんな人となら仲良くできそう?」
など他の質問と比較して、より答えやすそうなものを選ぶと、いいかもしれませんね。
またこのクライアントはゆっくり考えて自分のペースで話せたほうが良さそうですから、ゆったりと関わるのも大切そうですね
一問一答になってしまい、コーチングが苦しそうですが、引き続き制約を外しながら、望む未来を具体化しようとしていますね
とくに友達を具体化してみようとするところはいいですね。どんな友達と何がしたいか。がわかれば行動へのモチベーションもあがりますし、相手が明確ならどう関わっていくと仲良くなれそうかもイメージできますね。
なので、
CO「なるほど!どんな友達がいい?」(具体化)
CL「。。。普通に話とかできたら」
CO「なんでもできるとしたら?」(制約を外す)
これでも良いですが、あんまり急がずに
CL「。。。普通に話とかできたら」
CO「どんな話ができる相手だと良さそう?」
みたいに、具体化をすすめてみるなどもありですね
制約を外すのもいいですが、そのあとで「本当にやりたいこと」が出てくるのが大切なわけです。そういった意味では「とうもろこし」はあんまり関係なさそうですね
行動に移そうという姿勢は素晴らしいですね。しかも相手を選んでもらうのも良いですし、他の人の友達作りのやり方を参考にする(モデリング)こともいいと思います
ただクライアントにとっては、いきなり話しかけるはハードルが高いようなので、スケーリングを使うなどして、ステップを細分化してもいいかもしれませんね
みたいに進めていけば、何かできることが見つかるかもしれませんね。
GROWと「だけど」
とはいえ別のやり方もあって、それが「だけど?」と逆接の質問をぶつけてみることなんですね
一番早く使うならこのタイミングです
この質問をしたときに
このような展開なら、このコーチが進めようとしていたラインで丁寧に展開すればうまく行った可能性があります。しかし
などの場合は、対応が変わってくるわけです。GROWモデルで行くにしても、行動を考える段になったら、このクライアントの思い込みを考慮した上で、行動を考えていくことになりますね
もしくは、この思い込みを変えていくようなやり方もできるわけです。
「友達が欲しい自分」VS「人とうまくやっていけない気がする自分」と捉えて、それぞれの目的を理解していくのも良いですし、
認知再構成法のような、認知を書き換えるパターンを使うこともできます
いずれにしても、クライアントに何が起きているかがわかれば対処法が考えられますから、その点で
だけど?
ときいてみることの意味は大きいのです。単純にGROWモデルで行けなさそうなときは、ぜひクライアントが何に葛藤しているかに興味を向けてみてください。
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