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ちょうちんそで/江國香織

かつて好きな順番と優先順位は異なると学んだ時、私は大人になった気がした。
この小説はそれについて考えさせられる。

 
主人公の雛子は家庭を捨てて好きな人を選んだけれど
ありのままに生きたからといって幸せになれるとは限らないし
大切な人を大切にしても
取り残される場合もある。
 
そしてだからといって悔いているわけではなく、不幸でもなく
ただ「足りない」現実を生きるしかないのだ。

主人公の雛子だけでなく、登場人物の多くが秘密を抱えていて
その秘密を打ち明けることなく
「表面的に」上手く現実と付き合っている印象がある。

オチが江國さんらしいが、今回はちょっとモヤモヤッとした。
雛子に教えてあげたかった。

 
飴子ちゃんもあなたと生きているよ、と。


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