利用者のトイレ誘導
利用者Aさんには外出前にトイレを促す。
トイレに行きたい時に合図か出せずに失禁したり、ギリギリに言い出してトイレに間に合わずにやはり失禁してしまうことがあるからだ。
トイレを促すと、すんなり行く時と行かない時がある。むしろ行かない時が多い。
「さっきトイレに行ったよ。」が口癖だ。時間の感覚がないため、“さっき”が数時間前なことが多いので要注意だ。
ある金曜日、帰る前にトイレを促した。
「さっきトイレに行ったよ。」
Aさんはいつものように答えるが
職員はその姿を確認していない。
Aさんはトイレを促すと一人で行けるが、扉を閉めることができないので、職員が扉を閉める。
Aさんがトイレに行っていたら目立つはずなのだ。
職員複数人が行くように促すが、Aさんはさっき行ったから、と行きしぶりをした。
そこで試しに私は言った。
「ねぇAさん。真咲さんね、どうしてもAさんのトイレ行く姿見たいな。明日と明後日は施設休みだし、Aさんのトイレに行く姿がみられなくて残念なの。
金曜日の今のうちに、ササッとトイレに行ける姿が見たいなぁ。おねがーい!」
一見すると変態丸出し発言だが
気を良くしたAさんは颯爽とトイレに向かった。
「あ!すごーい!トイレに一人で行けるなんてすごーい!」
「手も洗えたらもっとかっこいいな~!」
そんな風に伝えたら、トイレ後の手洗いもできた。
周りの同僚は笑いながら、真咲さんの対応は大したものだと賞賛した。
そのやりとりを見ていなかったリーダーが時間差でやってきた。
「Aさん、トイレに行ったの?」
「さっき行ったよ。」
「トイレに、Aさんの好きなアニメのマークに似たマークがあったから見に行こう?」
「本当!?」
Aさんはリーダーの後ろをすんなりくっついてトイレに行こうとしていたので
本当にさっきトイレに行ったのだとリーダーに伝えた。
リーダーの誘導も見事だったとみんなで感心した。
誰もがみんなトイレや食事や乗車(送迎車)をすんなりするわけではなく、それぞれに課題やこだわりがあり、拒否は日常茶飯事だ。
そんな時、対応は人によって様々で
その人その人によって効果的な言い方や誘導がある。
福祉は日々勉強である。
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