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変な家2 11の間取り図/雨穴

本屋に行ったら雨穴さんの新作が売っていたので購入。
休みの日に読もうと楽しみにしていて、半日仕事を終えた土曜日に読んだ。

 
「変な家」や「変な絵」と比べるとズシッと重い。
435ページと大ボリュームだ。

だが、今作もひたすらに文字なのではく、間取り図や図のページがたくさんある上、会話形式なので読みやすい。
栗原さんの推理のページも振り返りの引用ページが想像以上にあるので(Xのとある投稿者によると50ページらしい)、ページ数や分厚さで読むのを躊躇う方がいるならば安心してほしい。

 
雨穴さん三作目なので、正直前作や前々作より落ちるかもしれなと期待半分だったが、今作も面白く、一気読みした。
個人的好みは、変な家2>変な絵>変な家だ。
雨穴さんは作品を出すごとに洗練されていく印象だ。

どの作品も読者を引き込む力があるのは本当にすごい。

 
表紙にもあるように、今回は間取り図が11も出てくるし、登場人物も多い。
読む前は頭の中でしっちゃかめっちゃかにならないか不安だったが、それぞれに繋がりがあり、伏線があり、読んでいても整理しきれないことはなかった。

読みながら、この間取り図はこれを意味していたんじゃないか、あんな意味があるんじゃないかと予想しながら読み進めていった。
いくつかは当たり、ほとんどはミスリードで、どんでん返しに「なるほど~。」と頷けた。

 
一番切ないのは成貴くんの日記。泣ける。

ヤエコさんの生き方もまた、切ない。
私も読んでいて10万は高いし、何故気に入られたか謎だったが、オチを読んで腑に落ちた。金額や気に入られた理由に納得した。

 
今作の登場人物はほとんどの方に救いがなくて悲しい生き方をしている。
リアリティを感じる。
環境や境遇の影響は大きく、そこから這い上がるのはなかなかに厳しい。

 
ページをめくる手は止まらないが、読後感はスカッとしたミステリーではなく、ヤエコさんの選択やオチに考えさせられる。

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