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夏の日の公園

気温が30度くらいに下がり
久しぶりに利用者と公園を散歩することになった。

その公園は日陰が多く
夏場の散歩にはありがたい場所だった。

 
考えることは一緒なのだろう。

 
私達の車の隣には障害者施設Aが、逆隣には障害者施設Bが散歩に来ていた。

思えば
前の職場で働いていた時も来た。

 
ここの公園は小さい頃も家族で来たが
高校生の頃に友達とも何度も来た思い出の公園だ。

 
大人になってからは友達とも来たし
一人でも来たし
彼氏とも来た。

 
忘れもしない、元彼と別れ話をしたのがこの公園だった。

 
前もって別れたい旨を電話で言われていた私は
最後のデートをし
合鍵をそこで返した。

 
お互いに泣きながら
最後にキスをしてお別れをした。

 
そんなことが約10年前にあった。

 
「仕事をしているともかが好きだ。」
「仕事を好きなともかはかっこいい。」
と、かつて繰り返し何度も言ってくれた恋人は
今頃何をしているのだろうか。

 
私はこうして仕事で何度も来ている。
あなたと別れた場所へ。

 
隣には利用者がいて
笑顔や手のぬくもりがあるから
寂しさに支配されることはない。

 
だけど
ふと、ふとだ。

 
結婚を考えた人と別れて
大好きな仕事も失った私は
一体なんなんだろうと思う。

 
守りたいものを守れず
今誰かを愛し愛されることも叶わない。

 
仕事帰りに一人泣けてきた。

 
 
来年の今頃は
とびきりの素敵な人と付き合えて
今の仕事を今よりもっと好きになる。

そう強がるように
自分に言い聞かせた。

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