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クリスマスのおもちゃのカタログ

私が働いている施設は
定期的にポスティングの作業をしている。

 
毎年恒例でクリスマスが近づくと
某おもちゃ屋さんのカタログを配布する。

なのでクリスマスのカタログの配布依頼が入ると
あぁ12月が来たなぁと思う。

 
このカタログはチラシではないので
配布バッグに入れるとめちゃくちゃ重い。

 
1回の配布で一人あたり30~70軒分を担当するし
そのカタログ以外にも他社のチラシを配らなければいけない。

 
クリスマスのカタログは重い代わりに単価も高い。
チラシの5倍以上だ。
配りがいがあると言える。

 
私はその日、広い地域担当だった。

去年も配布したし
重いのは配る前から分かっていたのに
いざ配布バッグに入れると
ズッシリと重い。

 
普段は配布区画をキチンと決めているが
とても重いので
普段とは違う配布区画にし
負担を減らすように
リーダーと新施設長に言われた。

 
「地図に配布区画書いといたから、配達数を確認してチラシをバッグに入れておいてもらっていいですか?全員分。」

と、リーダーが言う。

 
普段とは異なる配達区画でバタつく。

カタログもがさばり、バッグに入れるのはなかなかに大変だった。
配布バッグが足りなくなるかなぁ……と、自宅から数個私は持ってきていた。その自前バッグが大活躍した。持っていってよかった。

 
私がバタバタしていると
職員Aさんが見かねて付き合ってくれた。
リーダーもよく手伝ってくれるが、Aさんもよく手伝ってくれる。

ありがたかった。

 
「こんなの一人でやるのは大変よ。」

そう言ってくれた。

 
確かに二人でやっても
時間内に終わらなかった。

なんとか終わった時は
冬なのに汗をかいていた。

 
私はその日、利用者二人と配りに行く予定だった。
利用者二人と行くならまぁなんとかバッグを持てるだろうと思ったが
急遽利用者が一人行けなくなり
私は二人分のバッグを抱えた。

…重い。

三つのバッグの重みが
腕や肩に容赦なくかかる。

 
私は利用者Bさんと手分けして配布した。
Bさんは集団行動が苦手で
一人でサッサと配ってしまう。足が速いし、地図が頭に入っているのだ。

普段ならば、利用者Cさん、利用者Dさんを私は見ていて一緒に配り
Bさんとは合流地点で合流する感じだ。

  
だが、その日はBさんと二人。
私はBさんのスピードについていくことができ
二人で阿吽の呼吸で配ることができた。

 
私は知らなかった。
他の利用者がいなければ
私はBさんのペースについていけると
初めて知ったのだ。

お陰でいつもより配布人数は少ないのに
早めに終わることができた。

 
配り終わった後
Aさんは爽やかな笑顔で言った。

「これで子どもたち…喜んでくれるかな?」

「…うん。クリスマスのプレゼントを決めるの、ワクワクするんじゃないかな。」

その純粋な発想に私は驚いた。

 
重いとか手が痛いとか
私はそんなことばかり思っていたのに
なんて純粋な眼差しなのだろうか。

 
普段と異なる配布区画にどのグループも苦戦し
私はAさんと夕方にポスティング作業に来た。
終わらない分を配るためだ。

職員二人で手分けして配るとサクサク終わる。

 
 
ポスティング作業は私が責任者だから
ポスティング準備も、終わらない分の配布も私がやるべきだ。

だけどAさんが当たり前のように手伝ってくれて
私はとても嬉しかった。

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