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連日しもつかれ

栃木県の郷土料理にしもつかれがある。

2月の初午の日にお赤飯と共に食べる習わしだ。

 
私はしもつかれが嫌いだった。

見た目もドロドロしているし
何より材料の酒粕がダメだった。

 
私は酒粕が嫌いだ。 
甘酒も飲めない。

 
給食で出た時は無理して食べた。当時、給食は残すことが禁止されていた。

 
毎年祖母が作っていたが
私は決して食べなかった。

父親が「おばあちゃんのしもつかれはおいしい。」「大人になったら食べられた。」と言っていたが
半信半疑だった。

 
 
そして私は20代になり
障害者福祉施設に入所した。

 
私は約10年ぶりにしもつかれを食べた。
仕事の関係で出掛けた場所で出されたのだ。

積極的に食べたいものではないが
そこのしもつかれは食べやすかった。

 
驚いたことに利用者はしもつかれを食べられる方が大半だった。
栃木県民でもしもつかれが苦手な方が多いので意外だった。

 
 
30代になり、私は別の施設に転職した。
とある週、月・火とキッチンから独特な匂いがし、音が響く。

 
今年、初午は休日だったので
別日に給食に出ることになったのだ。

水曜日、給食にしもつかれと赤飯が出た。

しもつかれは食べやすい方だとは思ったが
数口食べるので精一杯だった。

 
まぁ今日我慢すれば…と思ったが
次の日も出て、げんなりした。

 
次の日も頑張ったが
やはり完食には至らなかった。
私にとっては量が多いのだ。

 
後から聞いた話だが
申し出れば、しもつかれは出されなかったという。

来年、初午が近づいたなら
しもつかれは出さないでほしいと伝えよう。

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