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ヨシタケシンスケ展かもしれない(栃木県・宇都宮美術館)
宇都宮美術館で「ヨシタケシンスケ展かもしれない」を開催すると知り
私は是非行こうと思っていた。
ヨシタケシンスケさんは大人気の絵本作家で、以前世界一受けたい授業にも出演していた。
ヨシタケさんの絵本は人の本質をよく捉えていて、リアルでユーモラスでキュートだ。
私は絵本を持っているし
何冊も読んだことがある。
告知によると土日祝日は完全予約制で、10月から三ヵ月間開催なのだが9月から予約開始だという。
まだ秋~冬の予定が決まっていなかった私は予約はしなかった。
平日ならば予約はいらないから、もし予約が取れなかったら平日に行けばいいと呑気に構えていた。
10月は仕事が今年一忙しく、体調を崩したこともあり
ヨシタケシンスケ展かもしれないの予約を意識したのは11月に入ってからだった。
予定が急遽キャンセルになったことで時間が空き、土曜日午前中の予定が終わった後に回せそうだと思ったのだ。
予約サイトを見てみた。
11月いっぱい完売だった。
まぁいきなり明日行こうなんて無謀かぁ…なんて思いながら12月の予約状況を確認すると
12月のチケットも完売だった。
私はここでようやく焦った。
ヨシタケシンスケさんを舐めすぎていた。
確かにテレビ出演をするわ出す本出す本ヒットしているわ、本屋で特設コーナーがあるわ、そんなレベルのヨシタケさんの初の大規模展覧会だ。
何度も言おう。
私はヨシタケさんの人気と栃木人の行動力を舐めすぎていた。
まぁいい。
ちょうど月曜日は有給だし、予定がキャンセルになったのだし、月曜日に行けばいいや。
私は呑気にそう構えていたが、宇都宮美術館を改めて調べ直すと月曜日休館だった。
月曜日休館。
私はまたも絶望的になった。
いや、もともとが予定があって月曜日に休みをとったのだ。ヨシタケシンスケ展のためにとった休みではなかった。
しかし、行きたい欲が高まったこの時、行く時間はあるのに行けないという現実に私は打ちのめされた。
そんな中、私は覚悟と決心をした。
翌週の平日に行こう、と。
その日は通院の予約の都合のため、2時間だけ働いて早退予定だった。
もともと、2時間のためにわざわざ出勤しなくても……休んでもいいのでは?と上から言われていた。
この日を潔く休みに切り替え、通院前にヨシタケシンスケ展かもしれないに行こう。
そう決めた。
その日のためにサービス残業や持ち帰り仕事をし、私が休んでも大丈夫なように休む手はずを整えた。
上や同僚に、予定ができたのでやっぱり休みに切り替えたいと話したらすんなりOKが出た。よかった。
私が行く前にヨシタケシンスケ展かもしれないは、来場者数が二万人を超え、新聞等にも取り上げられていた。
周りでもちらほら行ったという声を聞いた。
その日は最高気温19度予報で、11月だけど暖かな日になりそうだった。
朝から青空が広がった。
ヨシタケシンスケ展かもしれないの所要時間は1~2時間くらいとネットには書いてあったが
ネックは宇都宮美術館の駐車場が遠いことだ。
確か最後に行ったのは数年前のルネ・ラリック展だったが、駐車場が遠かったことは覚えている。
徒歩10~15分はかかるし、坂道や階段もある。
宇都宮美術館から病院は片道一時間くらいかかるようだし、予約時間の都合上12:00前には出発しなければいけない。
宇都宮美術館は9:30開館。
既に行った人の話によると平日も並ぶらしい。
朝一で行く以外に選択肢はなかった。
駐車場は宇都宮文化の森という自然豊かな公園と共同であり、公園駐車場は9:30前から停められるらしかった。
9:00前には着くようにしよう、と私は車を走らせた。
仕事の関係で近くの道は通ることがあるが、帝京大を越え住宅街を抜け坂道を上り、下り、宇都宮美術館の駐車場に行くのは実に久々だった。
宇都宮美術館は坂の上、山の中、森の中にあるイメージがあるが
久々に行ってもやはりそのイメージ通りの現実が待っていた。
紅葉等秋の木々や葉が見事で、宇都宮美術館へ向かう途中、秋を楽しんだ。
さすがに宇都宮美術館入口に9:00前に着くと誰もいなかったが(文化の森には散歩客がいた)、呑気に紅葉の写真を撮っていたら次々に人が宇都宮美術館方面に歩き出すので私も移動した。
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開館を待ちわびた人達が今か今かと美術館前に集まっていた。
入口に飾られたポスターを撮影する姿も見られる。
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私はというと、人が来る前にテキパキと写真撮影をしておいたので列に並んで開館を待つのみだった。
9:30少し前に入口が開き、人が一斉に動き出す。
外に待っていた30人以上が中に入るわけだが、その日は市民講座か何かをしており、それ目当ての方が半数いたらしく、私はヨシタケシンスケ展かもしれない受付には二番目に並べた。ラッキーである。
受付近くにはヨシタケシンスケ展かもしれないの売店があり、かわいらしい看板やグッズに早くも胸ときめく。
スマホは電波が悪いのかネットに繋がらなかった。
受付には二万人来場者がいたことを祝う看板が置かれ、受付を通ると長方形型の告知が飾られていた。
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当日券チケットを片手に通路を抜けると、第二の受付があった。
右に行くとヨシタケシンスケ展かもしれない、左に行くとコレクション展を楽しめるらしく、この当日券でどちらも見られるらしい。
まずは「ヨシタケシンスケ展かもしれない」へ。
真っ白な巨大な空間の真ん中に、アイツの置物があった。紫色のぬいぐるみのような外観だ。
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別場所には顔出しパネルが二つある。
第一会場、第二会場、出口の垂れ幕のようなイラスト入りの布が上から垂れ下がっている。
売店にあった、台詞入りのイラスト入りの看板がちらほらあった。
いちいちどれもかわいい。
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まずはワクワクしながら第一会場へ。
学生時代の作品や今回の展示会の挨拶のような文章が飾られており、そこを抜けると、グワッ!と膨大な量のメモ用紙(ミニスケッチブック)が飾られている。
ヨシタケさんは肌身離さずメモ帳を持ち歩き、思いついたことや気になったことを書く癖があるらしい。
絵や文字がたくさん描かれていた。
これを全て眺めるだけで時間がいくらあっても足りない。
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そこを抜けると絵本の構想(大きな模造紙のようなものにビッシリ)や絵本、ヨシタケさんの好きな小物や本が飾られている。
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また、絵本の世界観を再現したような遊びの仕掛けや写真スポットもある。
道行く人が様々なリンゴになるモニターやトゲトゲの椅子、あえて笑顔では撮影しないスポット、リンゴを口の中に入れるとキャラクターの表情や台詞が変わる場所等
子どもだけでなく、大人でも楽しめるような場所が満載である。
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なお、平日朝一にも関わらず、このエリアを見ている間に人は一気に増えた。
平日で宇都宮美術館でこの人数では、土日祝日はかなり混むことに頷けた。
館内は「こねてのばして」のメロディーと映像が流れていた。
頭からメロディーが離れない。
ヨシタケシンスケ展かもしれないは撮影可だが、二箇所だけ撮影不可の場所がある。
撮影不可なのは動画放映の場所で、絵本再現の場所とこの場所である。
なお、館内のこのエリアまで来ると「写真撮影OK(動画撮影、フラッシュ撮影不可)」と至る所に書いてあるし、学芸員さんに尋ねると撮影可と教えてくれるのだが
欲を言えば受付入口付近に写真撮影可と書いてあるとよりありがたかった(私含め学芸員さんに尋ねるお客さんが多かった)。
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お次は第二会場へ。
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こちらは絵本の線画が数ページずつ飾られていた。
イラストがシンプルながら発想が深いなぁと考えさせられるなぁと思いながら一枚一枚見ていく。
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第一会場の椅子にも置かれていたが
第二会場の椅子にも今回の展覧会の図録の見本が置かれている。
赤い高級感のある図録はまるで図鑑のようでズッシリしている。
今回の展覧会のボツ絵や裏話も載っているとのことだから、ファンには堪らない一冊だろう。
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その先には立体的な作品がある。
ヨシタケさんの半生を表している。
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第一会場では図で描かれていたが
ヨシタケさんは決して最初から恵まれていた訳ではない。
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出来のよい家族がいてコンプレックスを抱えていたり
会社員として務めていた時期もあり
絵本作家として働き出したのは30歳だった。
今では売れっ子な絵本作家だが、最初から絵で成功していたわけではない。
それまでは壁という壁にメモやらアイディアやら線画やらがビッシリされていたが
最後は白い布に包まれた廊下にぽつん…ぽつん…とメッセージとイラストが置かれ、ウルッとしてしまう。
ところで
看板が笑いを誘ってくる。
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最後は未来を描いたかもしれないカードをツボから引く。
私はそれを引いてまたウルッとしてしまった。
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いつか絵本を作りたいというのは私の密かな夢の一つだったからだ。
もしかしていつかそんな未来が来たら、面白いかもしれない。
ヨシタケシンスケ展かもしれないを見終わった後
私はコレクション展を見に行った。
時間があまりなかったため、ササッと見た。
マグリット等の作品が飾ってあった。
こちらは人が五人もいなく、閑古鳥だった。
チケットでどちらも見られるとはいっても、ヨシタケシンスケ展かもしれないを目当ての方はほとんどがそのまま出口に向かってしまったようだ。
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最後に売店に立ち寄った。
様々なグッズがあり、迷いに迷っていくつか購入した。かわいい。
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気持ちがホクホクしたところで私は病院に移動し、バタバタしたけれど
今日時間を作れて無事行けてよかったと思った。
やはりヨシタケシンスケさんの作品は素晴らしい。
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