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ラジオドラマ「食わざるもの、Ⅾon'tWork」1話2話の感想をピストジャムさんから頂きました。

ポッドキャストで配信中の
ラジオドラマ「食わざるもの、Ⅾon'tWork」の感想を
ピストジャムさんから頂きました。

ピストジャムさんは、
上半期に開催されていた吉本作家プロジェクト的な企画にて、
(各出版社の編集の方に、文章のみが評価される。ガチンコの企画)

各出版社の方が、我を忘れ大興奮するほどの文章を披露した人。
(と言っても過言ではないくらいの感じ)

文章が素敵なので、是非読んでみてね

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第1話、第2話を聴いて


これはおもしろい。最初の30秒で確信した。
小気味よい音楽に、テンポのいい男女の掛け合いのセリフ、そして伊藤修子さんの、間の抜けたようで、優しくて力強い、独特な声色でタイトルコール。これから始まる物語が、おもしろくない訳がない。
冒頭の男女の会話は、ウマイ家の兄ソウタと妹カオリの言い合いだった。伊藤修子さんは母親役のようだが、この天の声のような参加の仕方はどういうことなんだろう?
まさか。そういうことか。
ウマイ家の母は亡くなっているのだ。そして、天から愛する家族を見守っているという設定なんだ。文字通り、天の声。
いや、それだけじゃない。母親は、タイトルコールも、ストーリーテラーもさせられている。なかなかの仕事量だ。亡くなった人をこんなにこき使うなんて、この作品の脚本家は悪い奴だ。
作中で繰り広げられる会話は、とにかく心地がいい。テンポはもちろん。おせっかいで心配性なソウタと、反抗期特有のとげとげしさ全開のカオリとの言い合いに、母の相槌やリアクションが細かく入り、まるでトリオ漫才を聴いているようだ。加えて、この作品には、ふりかけのように随所にユーモアが散りばめられている。
聴いてすぐにクスッと笑えるものもあれば、『ウマイカオリ』のように、脳内でフルネームを完成させることで笑えるものもあるし、もしかしてウマイ家の父ヒロシの名前は、某食品会社の有名ふりかけから取っているんじゃないか、とか。『ことみ』って、もしかしたら女流棋士の名前から取ってるんじゃないか、とか。想像をふくらませて、楽しむこともできる。
そして、ところどころにカオリが入れ込んでくる『無理攻め』や『アヒル囲い』、『16枚落ち』といった、聞き慣れない将棋用語も、聴きどころのポイントの一つだ。こういった言葉が、いい感じに会話のリズムにアクセントをつけ、ひっかかりを産み、会話のリアリティを増し、作品のバランスを整えている。
ちなみに僕は、最初これらの言葉を聴いた時、意味がわからなかったのですべて調べた。調べて、やっとそれが将棋用語なんだと理解した。
他にもカオリのセリフで、「P嫁」「オランウータンかなんかの人形」「しゅうじありがとう」という言葉があるのだが、その3つに関しては、未だに意味がわからないままだ。
ただ、僕はそれでいいんだと受け止めている。だって実際、中学2年の女子が言うことなんて、僕にはわからない言葉だらけのはずなんだから。
それに、僕のこんな姿勢も、きっとウマイ家の父ヒロシは、あの酔っ払っているような口調で、「無理だけはするなよお。恥ずかしいことじゃねぇからな」と、ぶっきらぼうに、優しく言ってくれるだろう。
そう。このウマイ家の人々は、みんな優しさにあふれているのだ。
しかも、第2話では、第1話では描かれていなかった妹カオリの心の機微が描かれている。兄妹それぞれの視点で、一つの情景が描かれることで、この作品は一気に立体感を増した。
早く第3話、第4話を聴きたい。あと、ヒロシの声優さんが誰なのか気になる…。

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ねぇ。素敵だったでしょ?

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#エッセイ #ラジオ #ドラマ #文章 #ピストジャム  

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