4700兆円と1000ミリグラム

「4700兆円が迫る経営転換」7/20日経新聞の一面記事だ。非常にインパクトのある4700兆円、いったい何の金額かというと、
・カーボンプライシングが本格導入されたと仮定して
・CO2排出量が多い主要1,000社が
・2050年までに負担する金額
とのことだ。

この4700兆円(ちなみに全角だと大きな金額に思える)を分解してみたい。2021年を1年目とすると、2050年は30年目。30年で1000社が4700兆円なので、1社1年あたり1567億円。1日あたりに直すと4億円ちょっとになる。

4700兆円と4億円。同じ事象でも、金額の印象はずいぶん異なる。先日読んだ営業の本では、こうやって金額を分解していくことを「チャンクダウン」と呼んでいた。チャンク=塊を分解することで、例えば2年で240万円の能力開発プログラムも1日あたりだと3万円ですよと伝えることで、それなら払えるかなと相手に思わせる。日割りが合計かの違いで支払額は一緒(分割手数料など考えない場合)なのだが、240万円と言われたときのインパクトと比較すると、3万円は小さく見える。

4700兆円という記載を見かけたとき、最初は単に「すごい金額だなぁ」と思ったが、そのあと「主要1000社」「2050年まで」という記述を見て、「これは先日読んだチャンクダウンの逆verでは!?」と感じ、こうして記録している次第。

相手の警戒心や抵抗感を緩めたいときは、金額を小さく見せる方法が有効。反対に、危機感をあおりたいなら“チャンクアップ”が有効なのだろう。期間累計、複数社の合計で見せるやり方だ。

最後に話は変わるが、効果の高さを訴えるときも、数字を大きく見せたい。昔、とある栄養ドリンクが「タウリン1000ミリグラム配合!」とCMで謳っていた。1000ミリグラムということは「1グラム」だが・・・1グラムといわれるとずいぶん印象が違う。「単位を操る」ことでも数の印象を操作できるようだ。


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