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コロナでお店を休業して改めて「店舗」の在り方について考えてみた。

皆さんこんにちは。
静岡のソファD2CブランドMANUALgraphの鈴木と申します。

この度MANUALgraphららぽーと沼津店はスタッフの新型コロナウィルス陽性判定により、8月18日よりしばらくの間お休みをさせていただきました。

詳しい経緯とご案内はこちらです。

今回、断腸の思いで店舗を一時的に休業し、僕やスタッフの皆が感じた事をnoteにしたいと思います。

コロナで奪われたリアルなコミュニケーション

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僕たちMANUALgraphは「自分たちで作ったものを自分たちの手で売りたい」と言う思いで2013年、自社工場の一画を改装して店舗にしたところからスタートしました。
そして2019年、ご縁をチャンスをいただき隣町に新しくできたららぽーとに2店舗目を出店しました。

ECサイトでも販売は行っていますが、D2Cブランドと自称はしてもあくまで販売のメインは実店舗です。
小さな町工場でありながら本物のものづくりD2Cブランドを目指し、工場を運営しながら実店舗2店舗を運営し、日々自分たちでつくったものを自分たちでお届けしてきました。

当初本店をオープンした頃は「こんな辺鄙な場所にお金掛けてこんな立派なお店作って誰が来るの?」とよく言われました。正直自分でもちょっとだけそう思っていました。しかしオープンしてから少しずつ地域の方に知ってもいただく事ができ、また噂を聞きつけて県外からのお客様も毎週末の様にいらっしゃってくれる様になりました。

ららぽーと店をオープンしてからは、より地元のお客様に知ってもらうことができ正直売り上げもかなり増えました。
ところがオープンして半年も経たずコロナがやってきました。

昨年3月、ららぽーとには全く人が来なくなりました。そして翌月の1ヶ月間は館全体が閉館となりました。
そして本店では、それまで毎週の様にお越しいただいていた県外からのお客様の来客がピタッと止まってしまいました。

スタッフの陽性判明

昨年から感染者数の増減に合わせる様に、来客数も売り上げも増減し乱高下を繰り返していました。そしてこの8月、静岡県内の感染者数が急増し出したタイミングで遂に店舗スタッフにも陽性判定が出てしまいました。

「遂に来たか」と僕自身大きなショックを受けましたが、正直この1年間、スタッフも感染する恐れがある中で店頭に立たせるのはどうなのかと疑問を抱きながらも騙し騙しお店を開け続けてきました。

その一報を聞き、緊急会議。ららぽーと側とも話し合い8月18日からしばらくの間休業する事を決めました。
ららぽーと沼津の中では初めての休業だと言われました。

休業を決めた理由は2つあります。ひとつは残りのスタッフの容態の確認です。ららぽーと店に勤務していた残り2名と本社と行ききしていた2名(内一人は僕)全員PCR検査を受ける為次の日から休みました。幸い残りの全員は陰性の確認が取れました。
もう一つの理由は2名陽性が出てしまい、そもそもシフトが組めなかったからです。大手企業さんとは違い、元々ギリギリで運営してきた僕らにスタッフを急遽補填することはできません。

閉店を決めたその日の内にホームページとSNSでリリースを打ちました。すると瞬く間にサイトへのアクセスはうなぎ上り。ほとんどのアクセスが地域の方からでした。

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17日の夕方にリリースを出すと瞬く間にアクセスが増えました。同時に問い合わせ窓口を本店に設置すると少しずつ「○○日に来店したんだけど大丈夫でしょうか」と言うお問い合わせをいただく様になりました。

ちょうど感染者が急激に増え出した時期なので、良くも悪くも注目されてしまいました。ららぽーとに出店しているのはほとんどが県外の大手企業さんです。うちの様な地元の中小企業は、地域の皆さんの関心もちょっと違います。ずーっとこの地域で商売をしてきて、これからもしていくつもりです。ここは慎重に、正直に情報をオープンにしようと日々リリースを更新しました。

すると「頑張ってください。」「再開したらまた行きます!」と言う嬉しいお声を少しずついただく様になり、僕のツイートにもたくさんのいいねを頂き、勝手に「応援していただけてる!」と勘違いしたまま今日を迎えております。

「店舗」の役割とは

「自分たちで作ったものを自分たちで売りたい」と言う思いで始めた直営店ですが、僕たちにとって「店舗」とは、自分たちの商品を本当に必要としてくれるお客様との出会いの場、そしてそんなお客様とのコミュニケーションの場だと思っています。しかもインターネットでは味わえないリアルな体験ができる場所。コロナによってその場と機会を奪われた今、改めて強くそう思います。

僕もスタッフの皆も接客が大好きです。お客様とお話をしてどんなライフスタイルなのか、どんなソファがおすすめなのか、はたまたソファ関係ないお話もとても楽しい。そして工場で働く職人の皆には「今日こんな方が買ってくれたよ」「ソファお届けした〇〇さん、めちゃくちゃ喜んでくれたよ!」などと、つくり手と売り手がその喜びを日々共有してきました。

お客様が来店される理由は様々です。たまたま通りかかるのももちろんですが、理想のソファを求めて「この店なら」と期待しつつ、でも不安や今の暮らしに対する不満を持って来店される方も多くいらっしゃいます。

そんなお客様の期待にお応えしつつ、どんな「不安」や「不満」をお持ちか、お話ししながらひとつづつ取り除いてなるべく理想に近いソファををお届けし、そして理想の暮らしを手に入れるお手伝いを、リアルなコミュニケーションを重ねてお届けしてきたつもりです。

そんなお客様とのリアルなコミュニケーションの場を奪われて本当に悔しい

でも今は、自分たちにとってもお客様にとっても直接お会いする事がリスクになってしまう。

恐らくこの状況を去年の段階で見据えた優秀な経営者の方はデジタルにシフトし危機を逃れたのでしょう。でも僕はそれができなかった。ソファという商材は実際に見て座って確かめてから購入を決めていただきたい。オープンからずっとそう思って店舗を運営してきました。

リアル店舗はもうオワコンなのか

リアルなコミュニケーションはこれからも絶対に必要です。
今でもそう強く思っています。ただこの状況はいつ収束するかは誰にもわかりません。経営者として長期化する事も見据えていかなければ、もしかしたら来年の今頃も同じ状況かもしれません。もしそうなればこのままでは会社は持ちません。

悔しいしムカつくけど、正常に戻るまでの間、お客様とのコミュニケーションの取り方はしばらく変えていかなければならないでしょう

DXやらデジマやら当たり前の様にされている企業さんにとっては「今更何を言ってるんだ。」と思われるかもしれません。でも全国にはきっと僕らの様にお客様とのリアルなコミュニケーションを大事にしてきたお店さんや企業さんもいっぱいいらっしゃると思います。

もう希望的観測ですが、リアルなコミュニケーションは必ず戻ってきます。その方が自分たちにとってもお客様にとっても絶対に幸せなはずだと信じています。

でも今は、違う手法を考える事にします。

お客様の「不安」や「不満」を取り除くコミュニケーションは、リアルにお会いしなくても実現できる方法は他にもあるはずです。

その上で収束したあかつきには、リアルの場を取り戻しつつ更に進化したお客様にもっとお役に立てるコミュニケーションを確立していきたいと思います。

絶対に負けない。
数年後「あの時コロナのお陰で強くなれたね、変われたね」と言える様に、そして早く皆さんに沢山リアルに会って、またソファのお話や暮らしやライフスタイルのお話、その他よもやま話まで、楽しくコミュニケーションが取れるその日まで頑張ります!

最後まで読んでくださりありがとうございました。

MANUALgraph代表 鈴木大悟



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