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【やっと週休2日制】これが現実の地方町工場の働き方改革。

皆さんこんにちは。
静岡のソファ専門ブランドMANUALgraphの鈴木大悟です。

日頃「ブランドだ!」「D2Cだ!」などと言っていますのが、現実はどこにでもある社員二十数名の地方の町工場です。

常日頃、そんな町工場の現場をなるべく嘘偽りなくリアルに発信しようと心がけてきましたが、今回はさらに赤裸々に当社の「働き方」についてお伝えしようと思います。

なぜそう思ったかと言えば、この度当社はやっと「週休2日制」の導入に至ったからです。

コレを読んでくださってる方は「え?今更!!??」と驚く方も多いかもしれませんがコレが現実です。

地方町工場の働き方改革のリアル

今でも大活躍の入社40年以上の木工職人Sさん

僕がこの会社に入社した10年前、当社は社員12名のうち僕ともう一人を除いて全員が65歳以上の会社でした。皆さん、僕が子供の頃から当社で働いていらっしゃる職人さんです。

当時の年間休日日数は確か100日以下だったと思います。
休日は日曜日と祝日、お盆と正月、昭和の勤務体系そのままでした。
それでもほとんどの方が勤続40年近いベテランの方ばかり。
その代わり残業はほとんどなし。
朝8時に出勤して定時の5時には全員が帰ります。

それから10年経って、現在はほとんどの社員が入れ替わり20代から40代が中心の会社になりました。

ちなみに今でも75歳を超えて活躍いただいている方もお二人、残ってくださっています。

この10年、休日日数は少しずつ増やしてきて、ここ数年は隔週土曜休みにはしてきたものの、完全な週休2日にすることはなかなか出来ませんでした。
製造業において稼働日を減らす、というのはなかなか難しい選択です。

それでもこの10年、若い社員のみんなは本当に一生懸命働いてくれています。正直十分な給与でもないかもしれませんが、離職率も低く(たまに辞める人もそりゃあいますが)10年前に入社してくれた20代〜30代のスタッフも今は30〜40代になり中心的に活躍してくれています。

良き社内文化の継承

そんな環境の中でも若いスタッフが頑張ってくれているのには様々な要因があると思っていますが、そのひとつに先代から引き継いできたこの会社の良い文化だと思っています。

この10年のうち最初の5〜6年は先代からのベテランの方と若い世代が一緒に働いている時期でした。もちろん先代の父と僕も一緒に働いていました。
ある意味昭和的な働き方でしたが、昭和的な良い文化もたくさんありました

皆家族の様に仲がよく、和気あいあいとした雰囲気で、ベテランの皆様もたびたび入社する若いスタッフを快く新しい家族の様に迎え入れてくださいました。

もうひとつ引き継いだ良い文化として、地域の皆さんが働いてくださる、と言うことでした。

会社から徒歩圏内に住む人もたくさんいらっしゃいます。

特にその中で活躍するママさんたちもたくさんいらっしゃいました
。そんなママさんたちに昔から当社では出勤を30分遅らせてお子さんを学校や保育園に送り出してから出社できる様になっていたのも良い文化の一つでした。

また、皆家族の様なので子供の行事や参観日、子供が熱を出した風邪をひいたなどとあれば、何の抵抗もなく有給を使える文化も昔からありました。

時代に合わせる必要に迫られた引き継いだ文化

技術を継承し活躍する若手職人

そんな先代から続く、良い文化を引き継いだ僕は、ある意味その環境に甘んじながらも働く世代が変わると共に変化をさせなければならないと思いながら、なかなか抜本的な働き方改革ができずにいたのが事実です。

とは言えこの10年、就労規則を整えたり、クラウドの勤怠管理システムを導入したりと無難な当たり前にできることはやってきたつもりです。

ちなみに副業はOKとしているので、ちょっとした副業をしている社員も数名います。
また現在では自社ブランドMANUALgraphの実店舗も構えているので、土日出勤の社員もいます。
さらに、こんな小さな町工場でも都会で在宅ワークしてる正社員も実はいます。会社が成長する中で多様な働き方に対応する就労規則は作ってきました。

でもどうしても導入できなかったのが「週休2日制」でした。

そんなある日、遂にとある20代の若手社員が僕に言ってきました。
社長、何でうちの会社は週休2日じゃないんですか?僕もっと家族との時間を大切にしたいです。」と。

小さな会社とは言え、一応社長の僕に新入社員がそう言ってくるのはかなりの勇気がいたんだと思います。

そう言われていい加減僕も決心をしました。

結果的に総勤務時間をあまり減らさない週休2日制に。

先述した様に、製造業にとって稼働日を減らすのは致命的に厳しい選択です。
社労士さんや社員とも相談し、結果的に1日の就業時間を30分増やし、また月に1回は土曜出勤をする日を設け、完全な週休2日にはできなかったものの、この7月から当社は週休2日制にすることになりました。

しかし、そこである弊害が出ます。
これまで17:00退勤だったのを17:30にしたことで、副業で子供たちのサッカーコーチをしている職人のH君が、週に2回のレッスンに間に合わないと言う事象が発生しました。
副業をOKとしているので、彼がサッカーコーチをしているのは皆知っています。

これまでもなるべく各々の事情にはなるべく対応する様にしてきたつもりです。
でも社員数が増えることで個別対応することに不公平感が出てしまうことも事実でした。

そこで幹部社員たちとどう対応したらいいか相談しました。
彼らからは、
「個別の対応が出来てきたことも我が社の良き文化だ。」と言う意見と
「特別扱いはどうか、不公平ではないか」
と言う意見が出ました。

そこでさらに皆で話し合った結果、
会社都合で就業時間が30分延びてしまう救済処置として、事前に届け出をすれば30分出退勤を早めることができる制度を導入しました。
フレックス制ではありませんが、労基法上も問題ないことが確認ができました。

MANUALgraphも週休2日になります。

工場の働き方改革に合わせて、ブランド店舗スタッフも休日日数が増えたことでこれまで毎週水曜、第2第4火曜日が定休日だった店舗もこの7月からは毎週火曜水曜が定休日となります。

お客様にはご不便をおかけしますがご理解いただけると幸いです。

いかがでしたでしょうか?
10年かけてやっと週休2日に、しかもそれでも完全に週休2日にできない、これが地方の町工場のリアルな働き方です。

でも60年近く続く会社の、ある意味昭和的な家族経営の良き文化は引き継ぎながら、これでも少しずつ変革をしてきたつもりです。

大手の企業や都会で働く人にとっては色んな意味でちょっと驚きの働き方かもしれません。でも皆で話し合ってなるべく個々の意見も取り入れながら、我が社らしい働き方ができていると思っています。

これを読んでいる方で、中には中小企業や起業仕立ての経営者の方もいらっしゃるかもしれません。
皆さん、社員の働き方には悩みますよね。
僕もずっと悩んでいます。

会社が成長することで、働く人も働き方も多様化していきます。

その中で大事にしていることは以下の2つです。

・我が社らしさを大事にすること
・なるべく社員皆の意見と同意を取り入れること

です。
何かの参考になれば幸いです。

尚、我が社の正式な制度ではありませんが「社長キャンプ」と言うものが年に1回くらい開催されます。
最近では2〜3名の社員しか付き合ってくれませんし、決して強制はしないのですが(昔一度だけ半強制的に皆でキャンプをしたことがありますが、猛烈に反対されもうしていません笑)これも我が社らしい制度だと勝手に思っています。

真冬に開催された社長キャンプ。参加者2名と差し入れを持ってきてくれた優しい女子社員。


最後まで読んでくださりありがとうございました。



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