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D2Cブランドの無駄なポップアップはもうやめよう。

皆さんこんにちは。
静岡のソファD2CブランドMANUALgraphの鈴木と申します。

小さな町工場によるものづくりD2Cブランドとして、日々あの手この手で四苦八苦しながら自分たちでつくったソファを自分たちの手でお届けしています。

なぜ無理してでもD2Cブランドを名乗り運営しているかは、よろしければこちらをお読みください。

さて先日、当社では2日間に渡り東京は銀座の TheCraftedと言う場所でポップアップイベントを開催しました。

「ポップアップインベント」と分かりやすく表しましたが、実際は「ソファ試座会」と称した「ただひたすらにMANUALgraphのソファに座っていただく体験会」と位置付けて開催しました。

今回のソファ試座会を通じて、感じたこと得られたことを経て今回は
「無駄なポップアップはもうやめよう」と言うタイトルでnoteを書いてみたいと思います。
ちょっとセンシティブなタイトルにしましたが、あくまで当社にとっての「無駄なポップアップ」であって、今回の経験を通じて「無駄なポップアップ」とは何かを定義してその定義に当てはまるのであれば「やめた方がいい」と考察したことをお伝えしたいと思います。

なぜD2Cブランドはポップアップをやりたがるのか。

「無駄なポップアップ」を定義づける前に、なぜそもそもD2Cブランドはポップアップをやるのかを当社の事情を中心にまとめてみました。

当社の場合、その理由は大きく以下の3つです。おそらく多くのD2Cブランドさんもあまり変わらないのではないでしょうか?

①多くの人が通りかかる場所を選びブランド認知を獲得するため
②お客様とのコミュニケーションが普段はオンラインが中心なので実際に商品を体験していただける場を設けたいため
③流通を通さない(卸をしない)ので業界の展示会に出展ができないため

補足すると当社の場合②は、実際にソファを体験していただける実店舗はここ静岡県裾野市に存在しますが、静岡になかなかこれないお客様に実際にソファ体験していただきたいと言うことになります。
実店舗を持たないD2Cブランドさんも多いと思いますので②の理由でポップアップをされる方も多いと思います。

そしてD2Cブランドにとって最大の要因は③。
当社が所属するインテリア業界においてもビッグサイトなどで開催される主要な展示会はいくつかあり、家具メーカーも一般的には新ブランドを立ち上げたり新商品の認知を得るために「展示会に出展する」と言うのが王道の営業施策ですが、展示会の来場者は主に百貨店さんなど小売業のバイヤーさんなので、D2Cブランドがお届けしたいエンドユーザーにはリーチできないのです。

一方で当社程度の認知度であっても昨今はポップアップ出店へのお誘いが後を断ちません。非常にありがたいことですが、これにはおそらくコロナ以降の百貨店さんやモールさんなどへの人々の流入の変化やテナント減により空いたスペースをポップアップで埋めようと言う思惑が正直感じられます。
「売らない店舗」なども出てきていますよね。
この様な取り組みを決して否定するわけではなく、むしろ体験機会の提供が少ない当社の様な弱小D2Cブランドにはとてもありがたいお誘いなのですが、おいそれとそのお誘いにはのれない弱小D2Cブランドの事情と経緯があります。

認知獲得を目的としたポップアップで大失敗した経験

実は今回銀座で開催した「試座会」は「FUN SOFA EXPERIENCE Vol.2」となっていてポップアップ的なことを県外で開催したのは実に5年ぶり2回目です。
5年前、なんとこんな地方の無名な小さなブランドが超無理をしてあの代官山T-SITEのギャラリーを5日間貸し切ってポップアップを開催しました。

5年前、代官山T-SITEで開催した[FUN SOFA EXPERIENCE Vo.1]

その結果は約300万円の大赤字。

もちろん「認知の獲得」を目的としてはいましたが、そもそも「どのくらい認知を獲得したのか」「その認知は購買に繋がったのか」の費用対効果の測定が測る仕組みが無かったことと、確かに多くの「通りがかりの人」に知ってもらうことはできましたが、明らかにその人たちは僕らが「知ってもらうべき人」ではありませんでした。

この時の経験で僕は「人は通りがかりでソファは買わない」と言う教訓を得て、表向きは「確かにお金は使ったが、いい挑戦になって多くの人に知っていただける機会になった」と言っていましたが実際は心の中で5年間泣き続けていました(涙)。

今考えると300万円と言うお金を普通にターゲティングしたWEB広告にかけた方がよっぽど認知獲得の効果があることは容易に想像ができます。

今回の試座会当日、銀座に向かうトラックの中で世界へボカンの徳田さんがTwitterのスペースを開催してくださり5年前の失敗談など語っておりますのでよろしければお聴きください。

ポップアップ恐怖症から抜け出す「無駄じゃないポップアップ」。

5年前の大失敗以来、ポップアップ恐怖症にかかった僕は、コロナ以降多くのポップアップのお誘いを断り続けていました。
しかしその一方で、オンラインでのお客様とのコミュニケーションを重ねれば重ねるほど、カスタマージャーニー上「リアルな体験」の重要性をさらに強く感じる様にもなりました。

D2Cブランドにおける無駄なポップアップの怖さは、僕が5年前に失敗した様に「本当にお届けしたい人は誰か」が不明確な認知獲得を言い訳に、費用対効果をちゃんと測定しない、できないと言うことです。

もちろん商材や商品の価格によっては「通りががりの人」がたくさん購入してくれるケースもあると思いますので、あくまで当社の場合ですが、ある一定の価格帯より上の場合は同じことが言えると思います。

「無駄なポップアップ」の定義

そこで僕らは「無駄なポップアップの定義」を決めました。
超当たり前のことですが、魅力的なお誘いをいただくとついついおいそれと出店してみたくなってしまうので、自戒の念を込めて

・費用対効果をきちんと測定する仕組みを作った上で、費用対効果が悪いと判断したもの
・本当にお届けしたい人ではない「不必要な認知」しか取れないもの
・本当にお届けしたい人のための「購買前の重要な体験機会」をお届けできないもの

としました。

では今回の視座会は5年前とどう違い、なぜ「無駄なポップアップ」では無かったかと言えるかを書きたいと思います。

まず費用対効果がきちんとできる仕組みとして「どこの誰がなぜ来て下さったか」をわかる様にして「購買に繋がったかどうか」をはっきりさせました。
そして「誰のためのポップアップか」を明確にしたことです。

重要なのは「顧客リスト」「事前のオンラインでのコミュニケーション」でした。
直近半年でオンラインストアやLPを通じてお問い合わせをいただいた方やサンプル請求をして下さった方、またSNSを通じて僕やブランドとコミュニケーションをとって下さった方、この人たちのために、ためだけに今回はポップアップを開催してみました。

あと種明かしをすると、今回は出展料がそんなに掛からなかったことと、繁忙期で自社便が毎日の様に都内を走っていたので、そのついでに展示するソファを運べたので物流コストを抑えることができたので、仮説を検証するのにはいい機会だったことを追記しておきます。

購入を検討して下さっている方にとっての本当に必要な購入体験としてのポップアップ

結果、どんな人たちが来てくれたかと言うと
まずは事前にSNSでやり取りをして下さった皆様。
特に僕がTwitterで知り合って、お会いしたことがある人もない人もいらっしゃいますが、僕にとってブランドにとってかけがえのない大切な人たちです。この人たちは直接ソファの購買はないかもしれませんが(中にはグッズを購入いただいた方も。)この人たちと会ってお話をして直接のコミュニケーショをとることで、もうただただお友達になれます。そんな濃いリアルなコミュニケーションをとることできっとこの先もブランドを応援してくださいます。
この人とたちは決して「通りがかりの人」でもなく「不必要な認知」でもありません。
来て下さった皆様、本当にありがとうございました!

twitterで知り合って来て下さった 森さん

次に、事前にお問い合わせやサンプル請求をしてくださり、オンラインを通じて事前のコミュニケーションがあった皆様。今回はこの人たちにメルマガを通じて試座会のご案内をピンポイントでさせていただきました。
この人たちは真剣に当社のソファの購入を検討して下さっています。
結果、実際にその場でソファの購入を決めて下さった方もいらっしゃいました。

リアルとオンラインの融合などの重要性が叫ばれる中、購入を検討いただいているお客様にとって実際に商品に触れる、体験すると言う機会はとても大切です。

「ソファを購入する」と言う行為はお客様にとって決して簡単なことではありません。ブランドとしてその購入前の「不安」や「不備」を取り除く体験をご提供するのは必須です。
当社の価格帯のソファは「クリックひとつ」で簡単に買っていただけるものではありません。

お客様にとってもブランドにとっても「無駄なポップアップ」は避け、「本当に必要としてくださる人だけに向けたポップアップ」を開催することでお互い幸せになれるのではないかと思います。

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
今回得たことを大切にし、これからも「本当に必要として下さる方」のための試座会を今後も定期的に開催して、皆様の街へソファをかついで会いに行きたいと思います!


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