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消滅可能性地域では、介護事業だけ行ってたらダメ

その地域の持続可能性によって、取るべき戦略は変わる。

人口減少社会においても都市部のように持続する可能性の高い地域と、逆に消滅する可能性の高い地域では、どのように事業を営んでいくのか当然変わってくる。

現在の先進事例や華々しい活躍をしている事業所が、もし都市部である場合、過疎地域においては全く参考にならない可能性が高い。
自分の立地地域の将来性を見据え、どのような戦略を取っていくのか、しっかり考えていこう。
また同じような地域でも、劣化コピーにならないようにしていかなければならない。

今回は、福祉的な要素で、どんな機能や役割が必要か考える。

消滅可能性地域で介護事業だけではダメな理由

介護事業の持続可能性は、その地域の持続可能性における下位の要素だと認思っています。そもそも、人が住み続けられない地域には未来がありません。当然、働く人もいなくなり、介護事業所が成り立ちません。

そのため、人口減少社会においてどのように人口を維持、もしくは人口を増やし、また循環していくのかを戦略的に考えていく必要がある。
言うまでもなく、自社の事業だけでは、不十分である。
いくら雇用を埋めても、そのサービスを受ける人がいなくなるのでは、売り上げは減少し、やがて破綻していく。

過疎地域で事業を行う上では、いかにしてその地域の持続可能性を高めていくのかが、最優先事項とある。
では、そのような地域における持続可能性には、どのような要素が関係するのだろうか?

魅力ある地域は魅力ある人がいる

衰退するには、当然理由がある。

地域の資源(経済資本、社会関係資本、自然資本)について、資源を持つ人が掌握し循環しない。
過去の栄光や他地域の成功事例しか進まない。など

逆に、人が集まり、移住する人がいる地域にも理由がある。

その地域が好きで、暮らしやすさを目指し、具体的な取り組みをしている人がいる地域は、とても魅力的だ。

たった一人でも、そのような人がいれば、そうでない地域に比べ格段に魅力的であり、未来を感じさせる。

地域を愛し、この地域の魅力を誰よりも実感している人を大切にし、具体的に応援しよう。

子供や女性、子育て世帯、マイノリティーを大切にしよう

離脱する地域の大きな特徴の一つが、過剰な同調圧力である。
その地域特有の文化や縛りによって、マイノリティーの暮らしは抑圧され、制限されていく。
その結果、地域から女性が出ていき、高校を出たあとUターンが無くなっていく。

人を大切にしない地域には、当然未来がない。

人が増えるには、子供が増えるか移住者が増えるしかない。
現代社会において、子どもは減少し、子育て世帯はマイノリティー化していく。すると結果的に、子育てしやすい地域に、その世帯は引っ越していく。

女性や子供、マイノリティーに優しい地域は、人を集め魅力を高めていく。
その格差がすでに進んできている。

子育てに力を入れている地域は公園、図書館が良い!!

子育て世帯の暮らしやすさに貢献しているかどうか、いろいろな指標があるが、公園と図書館はとても有効な指標だ。

公園の立地や整備状況、そして人がちゃんと利用しているのか。まさに行けば分かる。図書館も同様で、子供に配慮した高さや環境か。これも、行けば分かる。

良い公園と良い図書館を運営するには、議会で子供のための予算を確保し、しっかり実装しなければならない。

当然、議員のジェンダーバランスや年齢なども重要で、見るべきポイントの一つである。

地域での関わりシロを作る

地方と都市部では、あらゆる資源の違いがあり、当然都市部の方が選択肢が多い。

地方では、仕事も育児も、遊ぶ場も限られている。
例えば、一旦就職してが、なんらかの事情で退職し、早期の復職が難しいような、社会的所属を失った方が関われる場所というのはとても少ない。

また、僕の子供時代であれば空き地で自由に子供たちは遊んで、秘密基地を作ったり、ボール遊びをしていたが、今ではそのような場所はほとんどなくなった。
公園ですら、ボール遊びが禁止という所もあるくらいに、子供たちにとってリアルに遊べる場所がとても少なくなっている。
このような背景がある状況で、Covid-19が始まり、さらに子供は追いやられている。
子供たちがゲームや、サイバー空間に居場所を求めるのは、当然であり大人の責任だ。

地方には、1件あたりの建物の広さや、敷地など、都市部よりも余白が多い。
その余白を、地域に住む方に必要とされるような形で解放し、一緒に進化させていけるような取り組みはとても可能性がある。

管理や制度でがんじがらめの世の中だからこそ、余白が必要とされ、多様な方がそれぞれ関われる関わり方のデザインが求められている。

定員10名規模のデイサービスで始めること

このように地方で事業を営む上で、自社事業だけの限界を感じ、新しい取り組みを進めている。
ちなみに、定員10名のデイサービスというのは、デイサービスにおける最小規模である。
なお、この取り組みを行う立地エリアは石巻市河北地区(旧河北町)という、人口9,823人、世帯数3,910数(2022年7月)の地域である。

共有資本の循環

いわゆるシェアリングエコノミーの、とても小さな実践。
まずは、本と子供服を集める。

本は、図書室として活用し、子供服は次の世代の方に使って頂く。
いったん役目を終えたこれらも、見方を変えると次の役割を迎えていく。
いつか役目を終えるが、もしかしたら、また次の世代に向けての循環の連鎖が生まれるかもしれない。

それは、もしかしたら具体的なモノではなく、地域での見守りや声かけのようなカタチに現れるかもしれない。

学習スペースの開放

コロナ禍で3回目の夏休み。
子供たちにとっての居場所や、役に立つ場の一つとなるように。
今回は夏休み用として告知してあるが、夏休みの終了後も放課後の居場所として開放していく。

この場に限らず、子供たちが安心していることができる場所が、地域にたくさん出来ると良いなと思う。
外から子供がいるのが見える地域は、そうでない地域に比べ、大人たちも子供のことが気になって、外に出てくる。
そうやって、地域の賑わいの一つに子供は大きく貢献している。(正確にはしていた)
これからだって始められる。場を開こう。

女性のコンディショニング

男女平等が進められ、女性に求められることが非常に高まっている。
女性が不当に評価されてきたことは是正されなければならない。一方で、世帯人数が減少していき、家族の支え手として物理的な家事・育児時間が高まっている。働き手として労働も担っており、男女共働きが当たり前になってきている。ところが、世帯収入は減少してきており、女性は家にいる時間を稼ぐ時間に費やしてきているが、経済状況はさらに厳しくなってきているのが、現代の日本である。

そんな中で、心身の健康状態を保つのはとても重要である。
臨床心理士と公認心理士の方が、地域の女性のヒアリングを通して、健康面の課題やニーズを捉え、このような機会を始めていく。

まとめ

介護サービスは、高齢者などの暮らしのインフラの一つであり、人口が減少し続ければどこかのタイミングで、間違いなく倒産または撤退する。

これからは、人口減少が加速していくので、消滅可能性及び、地域特性に基づいた事業戦略の必要性がより高まってくる。
個々の取り組みだけで、その地域の持続可能性が高まることは考えにくい。

だからこそ、さまざまな団体や個人と連携しながら、自社で貢献できる要素を模索しながら、試行錯誤していくことが求められている。

私たちの取り組みも、当然上手くいくか分からない。この地域で何が求められ、貢献できるのか一つひとつ検証しながら、歩みを止めないことが大事だと思う。

今回は、福祉的な要素で地域の持続可能性についてどのような要素が考えられるのかを考えました。

当然、産業や経済的な面での持続可能性の要素もあるので、総合的に考えていく必要があるが、関係者が増えれば増えるほど動きが遅くなりがちで、「船頭多くして船山に登る」に陥りやすいので、まずは自分達で行なっていくのが重要である。

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