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医療、福祉系の非営利組織の資金調達② ビジョンを計画に落とし込む

前回は、はじめにということで、
主に資金調達の概要をお話ししました。
今回は、実践に向けての準備という内容です。

前回の内容をご覧頂いた方が、理解しやすいと思いますが、
この記事からでも問題ありません。

パッションを支えるロジックを

さて、起業家に求められる最も必要な要素が何かと聞かれれば、
「パッション」かもしれません。

わざわざ、起業しなければならないほどの熱量がなければ
起業することはないでしょう。起業を目的にするのは大変なのでオススメしません。

パッションが、さまざまなコトに繋がっていきますが、
資金についてはそれだけでは不十分である可能性が高いです。

そこで必要なのがロジックです。

・なぜ、その事業/活動が必要なのか?(ニーズや背景)
・実際に困っている人は、どのくらい?(定量分析)
・どんなことに困っているか?(定性分析)
・なぜ困るのか、構造はどうなっているか?(課題の構造化)
・それを解決するために、どのようなアプローチをするか?(仮説)
・それによって、どのような成果があるか?(変化)

このような、客観的な内容があれば、説得力が高まります。
ここまでくれば、次に3年後、1年後の目指す未来を考えましょう。
現在地がわかっていない未来と、現在地が明確な未来では、その精度や深度が大きく変わります。
実際には、その現在地を調査するための資金もあります。そのくらい重要です。

未来から逆算する

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時間軸からの考え方として、現在から積み上げる考え方と、未来から逆算する考え方、2つの考え方があります。
事業を運営するには両方とも、必要な考え方です。
資金調達においては、未来から考えることが重要です。

目指す未来に対して、資金を調達するというケースがほとんどだと思います。
3年後、2年後、1年後、半年後、3ヶ月後、1ヶ月後など、目指す未来から逆算し、各フェーズでマイルストーンを置いていきましょう。

そうすると、各フェーズでの課題や壁が明確になってきます。
次に、その壁を越えるリソースを洗い出しましょう。

壁を越えるリソースやネットワークを洗い出す

実際には、予算計画を提出することになりますが、
それと同様に重要なことがあります。
それは、予算以外のリソースやネットワークです。
お金があれば解決出来る課題と、お金だけでは難しい課題が出てきます。

課題の特性によりますが、各フェーズを進んでいくと、想定していなかった事態が当然起こります。それらを解決するためにも、一緒に歩んでいく専門家やネットワークはとても重要です。例えばその領域の専門家や、他領域で目指す成果を実現している経営者。また、事業の成長に伴う自社の組織基盤を整えるための
労務や法務関係の専門家など。

課題が複雑であればあるほど、ステークホルダーとの連携が重要になってきます。

予算に落とし、ビジネスモデルを考える

これも、資金の種類によりますが、
この記事継続的に事業を続けていくための予算を考えます。
重要な点は、

・調達後のビジネスモデルを明確にする

受益者負担の有無で大きく変わりますが、受益者負担が難しいからといって、不可能というわけではありません。

社会起業家100人インタビューという、先人の知恵が詰まった内容がすでにあるので、ぜひ参考にしてください。

webの記事だけではなく、実際に書籍にもなっています。
本当に、様々な領域があり、学びしかありません。


また、最近拝見し、素晴らしいと思ったのは、「みんなの図書館さんかく」さんです。

実際の事例_おたからサポーターの立ち上げ

次に、僕たちの実践ということで、おたがいカラダづくりサポーターの実践について、紹介します。

どんな事してるのというのは、下記の動画を参照下さい。

次に、時系列における活動の変化です。

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現在は、地域介護予防活動支援事業として、おそらく全自治体で住民主体の介護予防事業が行われていますが、2014年当時は一部自治体でしか行われていませんでした。

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また、地域介護予防活動支援事業との違いとして、行政に依存しない仕組みとなっています。

2012年〜2013年は、創業前で、リサーチや準備期間でした。この時期は、前身団体であるface to face東日本大震災リハネットワークの活動で、仮設住宅を毎日回って、入居者の生活不活発病予防の相談会や、実際の居宅に訪問して生活環境の相談などを行っていました。

そこで、多くの方の健康状態の悪化を目の当たりにして、起業を志し、事業の1つに住民主体の健康づくりの仕組みを作ろうと考えました。

2013年は1月に起業し、法人の基盤事業となるデイサービスを5月に立ち上げました。デイサービスで実績を積み上げ黒字化を目指しながら、おたからサポーター立ち上げの準備をしてきました。実際には、NPO法人ETIC.さんや一般社団法人MAKOTOさんにご支援頂きながら歩んでいました。

2014年は、この事業を担う人材の採用と、事業の立ち上げの時期でした。
実際には、9月から事業が始まり、第1回の養成講座を開始できました。
この際に、河北新報社さんにこちらから声をかけ、そして取材頂き地域での認知度の向上に繋がりました。メディア大事です!!
また、資金調達としてジャパンプラットフォームさんに大変お世話になりました。

また、コツコツ事業報告も作成します。
本当に大事です。

2015年は、事業の仕組みづくりの時期でした。
講座を複数回実施しながら、講座終了後のおたからサポーターの方が
地域で体操教室を実施できるように、フォローアップしていきました。
講座も、毎回振り返り改善をしながら、体操教室もどうやったら
住民さんが不安なく実施できるのか、試行錯誤を繰り返していました。
この期間もジャパンプラットホームさんにご支援頂きながら、損保ジャパンの方に大変お世話になりました。

2016年は、活動の自主組織化とスケール準備の時期でした。
サポーターさんが自主組織を設立し、活動の自主組織化も進んでいきました。そして、この仕組みを他の地域でも応用できるように、資料を整備し定期ました。

ご支援頂いた全ての皆様をご紹介です、申し訳ありません><

2016年以降については、長くなったのでここでは割愛します。

実際にこのように進んできたのですが、大事なのは目指すビジョンと計画があり、そこから逆算して進めてきたことにあります。

ついつい、現場で活動していると、近視眼的になりがちで、
課題のモグラ叩き状態になってしまうことがあります。

打ち手の仕組みを変えないと、解決策の構造が変わらず
人件費ばかり掛かってしまうということや、
住民の力を奪うことにつながります。

本末転倒とならないように、ビジョンを計画に、予算に、活動に落とし込んでいくのが大事だと思います。

次は、調達先の選び方と申請など書こうと思います。
(たぶん・・・)

サポート有難うございます。難病の治療や入院費に当てさせて頂きます。勇気頂き感謝です🙇‍♂️