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自立支援に最も大事な4つの視点はこれだ!と思う。

介護や医療の現場において、自立を支援する事を考えていない人はいないと思う。
そもそも、自立支援とはなんだろう。

僕の解釈では、その人がその人らしく生きることができるよう支援する事だと思う。では、それを実現するにはどうすれば良いのだろうか?

今は、全ての職種でイメージ出来るほどシンプルで、全体最適で本質的な、概念が必要とされていると思っている。

しかし、制度や加算の複雑化、専門職種による専門用語の乱発などにより、自立支援を実践するのに何をどのようにすれば良いのか。
もし、全ての人が理解できる概念がそあれば、特別な機械や方法に偏らず、全体として、その施設の特徴を生かしたケアの質が上がり、ボトムアップに繋がる。

世の中には、たくさんのエビデンスや論文がある。
それ自体にとても意味がある。
しかし、日本の高齢化に間に合うのか、現場で使えるものはないのか、という危機感も強い。
事実、この業界はまだまだ課題が山積している。自立支援も採用も、教育も、効率化も。

何で、効果的なエビデンスがあるのに、課題は山積しているのか?
答えは、「うちの施設では出来ない」に大抵集約できるのではないかと思う。
言い訳もあるかもしれないが、実際、大学や研究機関と同様のコトができる現場はほとんどないのではないだろうか?

そんな条件、方法、環境出来ないよ!と思うことも多々ある。
また、エビデンスの多くは、個別の課題に対して答えるものが多い。
つまり、個別最適の考えだ。
しかし、現場で様々ある複数の課題に、現場のスタッフでどう答えるかと言う全体最適の視点が大事で、それに答えているものはあまりない。

つまり、現場に最適化されたプログラムがないことと、現場が様々な研究や事実を現場に最適化できる人がいないのだ。

では、現場で良くなるためには、どんな視点が良いのか、さらに抽象化した視点が必要とされて来ていると思う。

日々、そのようなことを考えながら僕の中に4つの視点が生まれた。
特段珍しい言葉ではないが、専門性や経験年数に関係なく、多くの人に伝わる言葉だと思う。

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1)潜在能力

潜在能力は、大きく2つに分かれていて、廃用症候群(生活不活発病)に起因する要素と予備的能力である。
介護保険を使う多くの人に、廃用症候群の要因がある。また、若い人でも何かをすればその能力が上がるように、高齢な人でも同様であり、それが予備的能力である。

2)残存能力

残存能力は、今の残された能力で〇〇すれば出来ること。
例えば脳卒中になって、片麻痺になると様式の生活に移行するコトが多い。
しかし、練習すればを学べば和室での生活も、出来るようになる。
すると、畳が不安だからお葬式に行けない、和食を食べに行けないコトが
解消されることもある。
つまり、脳卒中によって様式の生活に移行した人でも、残された能力である。

3)既存の能力

既存能力は、そのままで今の能力である。
あまり言葉としては使わないが、考え方はとても大事。
既存の能力以下のことを行えば、既存の能力はどんどん低下していく。
いわば、その人の基本的能力と言い換えるコトができるかもしれない。
その人の既存能力を1%でも上回るような活動をするか、それ以下の活動をするか。
その積み重ねの結果は、とても大きい。
最近よくある考えだが
1.01の365乗=37.78
0.99の365乗=0.02
1回あたりの大変さはほとんど同じだが、1年後の結果は大きく異なる。
既存能力は、人によって大きく異なるので、現場でのプログラムの難易度や不可の設定がとても重要であり、その人の能力に合わせて行うコトがとても重要である。

例えば、利用する人の既存能力を活かすには、お茶はスタッフが注いだ方がいいのか、利用者についでもらった方がいいのか。
靴は自分でしまってもらった方がいいのか、スタッフがしまった方がいいのか。
この考え方に基づけば、自ずとどちらが良いか分かる。
大事なのは、この視点。

結果的に良くなる、自立支援になっている所の共通点は、この3つの視点。

これらを考え実践していれば、方法はなんでも良いと思う。

例えば、「椅子」。
良く使う言葉に、「その人に合わせた」環境でがある。車椅子の人は合わせているが、では車椅子を使っていない人の椅子はあっているだろうか?これだけ当たり前に使う道具にも関わらず、その人に合っていないことも多い。座位姿勢、立ち上がり、座り込み、食事、水分摂取、好き嫌いなど、色々な要素がある。
椅子も活用次第で、潜在能力を引き出したり、残存能力を活かしたり、既存能力を高めることにつながる。

一つ一つの行為、ケア、環境、の意味を考えていくと、本当にこのままでいいのだろうかという、無限に思える「?」が浮かんでくる。
この仮説検証を回し、その人らしく暮らすことができるためには、どのようなコトやモノの組み合わせがいいのか試行錯誤を続けていくことになる。昨日と今日は、同じように見えてもどこか違うこともあるし、半年前とは変わっていることもある。それらを考え実践する、介護の仕事はとてもクリエイティブで可能性に溢れている。

4)援助希求能力

援助希求能力は、文字通り助けを求める能力である。「自立」は、全て自分で行うことを指すわけではない。必要に応じ、様々なものや人に助けてもらいながら、その人らしく暮らすことである。
そのためにも、助けてと言える関係性がとても大事。
改善が難しい障害に対して機能訓練に固執することがないよう、必要な環境、資源を活用しその人らしく暮らす事が出来る方法を考えよう。
間違っても、誤ったリハビリ依存を作り出してはならない。

特別難しい視点でも用語でもないが、考え方としてとても大事だと思う。

日々の私たちの行為には、全てのことに意味がある。
その意味を考えるときに、これら4つの視点はとても重要であり、分かりやすいので、日々のケアや関わり方を考える際にぜひ使ってみてください。



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