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チームの魅力と才能を引き出す『問いかけの作法』

大学では、所属する部署以外に学内に存在する委員会へ所属しています。これは、会社でいうところのプロジェクトチーム的な立ち位置かと思います。

昨今の大学改革によって、どんどん委員会が増えていって様々な委員会を兼務する機会も増えてきました。

その一方で、個人的な意見としては、十分に知識やスキルがない人達を寄せ集めることも多く、議論もないままに「異議なし→決定」といったこともしばしばです。

それでは、リーダーや調整役だけに業務が集中し、チームとしての機能はほぼ果たしてないのでは…?と思っていたところ、以下の書籍に出会いました。

今回はこちらの本についてご紹介したいと思います。

一人作業という『孤軍奮闘の悪循環』

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本書では会議などの場で、誰も発言しないミーティングを「お通夜ミーティング」と呼んでいます。

例えば、こんな感じ

リーダー:「では、会議を始めます。」
リーダー:「この企画について何か意見はありませんか?」
メンバー:「…」
リーダー:「んっ?(誰も発言しない…)」

どこか集中力のないメンバーは、あなたから目を逸らし、互いに発言権をゆずりあい、無難な発言が繰り広げられ、期待した「提案」はおろか誰も「自分の意見」さえ述べなかったのであった…。

といった事が続くと、仕方なくリーダーは、

期待を口にしたり、メンバーに指示を出したり、直にお願いしたりすることによって、メンバーへ直接的な「要求」を続けていく結果…

「変わらないんかいっ!」

という現状を受入れ、「これ周囲に頼るよりも自分でやった方が早いな…」という結論に達し、当初チームに抱いた『期待』は『失望』へと変わり、ミーティングはリーダーが指示するだけの会へと変貌するようです。

これは、『孤軍奮闘の悪循環』と呼ばれる最悪の展開です。

でも、リーダーだけでなくチームの本心としては全員のポテンシャルを活かした仕事をしたいと考えているはずです…。

でも実際に、このような会議は、私も何度も経験しました。というより、何なら継続中かもです💧

ただ、この状態が続いてしまっては、冒頭で述べた

・チームへの期待が段々薄くなる。
・メンバーが積極的に発言しない。
・組織に積極的なチャレンジが浸透しない。

といった負のスパイラルに陥ることになります。では、何を目指すのか?

それについて筆者は、

周囲の魅力を引き出し、チームのポテンシャルが発揮される状態を生み出すことで、チームへの期待が高っていく状態が続き、

結果として「信頼感」へと繋げる下図のような『チームワークの好循環』が必要だとしています。

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つまり、初期段階でいかに『良い問いかけ』をするかどうかによって、業務結果が左右されるそうです。また、この結果にはプロセスも含まれています。

続けて、この好循環を生み出す組織体として「ワークショップ型」への転換が必要であると述べています。

ファクトリー型からワークショップ型への転換

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著者は、現代のチームポテンシャルを下げている大きな原因の一つに、商品をアップデートさえすれば物が売れた高度成長期から続く『ファクトリー型組織』が要因であると指摘し、

続けて、先行きが見えない不確実性の高い社会(VUCA)に合わせた『ワークショップ型組織』への転換が求められていると述べています。

ちなみに、ファクトリー型とは、良くも悪くも人間の環境適応力の高さゆえに引き起っているようです。

例えば、トップダウン的に設計図に従って作業効率的に業務分担し、ミスなく効率よく作業を進めることが求められる業務形態のことを指します。

ちなみに以下の4つは、ファクトリー型組織から抜け出せない組織の現代病として挙げています。

【4つの現代病】

1、判断の自動化による認識の固定化
→「とりあえず昨年と同じやり方でいいでしょ?」

2、部分的な業務による関係性の固定化
→「僕はここまでの業務でOK、後はよく分かんないけど…あの人がやるでしょ」

3、逸脱の抑止による衝動の枯渇
→「意見を言っても意味ないから、黙っとこ」

4、手段への没頭による目的の形骸化
→「このアンケートは何に活かすために採ってるんだっけ?」
「」内はつぶまんによる解釈です

これらが組み合わさると、新しい発想が生まれずらい状態となります。

(全部見たことある光景だなぁ😅)

それとは逆の発想で、ワークショップ型は、上述した現代病を乗り越え、チームのポテンシャルを引き出すことを目的としています。

これにはチームにおける「個々のこだわりを見つけて、その意見を育てること」や「固定概念といった”捉われた意識”を疑い問い直す」といった作業を循環させながら、実現していくイメージのようです。

では、それらを引き出すための『良い問いかけ』とは何なのでしょうか?

『問いかけの質』を変える

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著者は、一人では生み出せないパフォーマンスを生み出す『良い問いかけ』を上手く使い、他者の能力を高めることは、

チーム個々の魅力を引き出すだけでなく、結果として自身の評価も高めることになると述べています。

『良い問いかけ』の基本セオリーとして、以下の4つを挙げています。

【4つの基本セオリー】

1、相手の個性を引き出し、こだわりを尊重する
相手の意見を受け止め、建設的にフィードバックすることで相手のこだわりを引き出すテクニック。例えば、部下から提出された企画内容が指示した内容と少し違う要素が入っていた時には、
✕:悪い例
「何でこのような企画にしたのですか?前に言いましたよね?」
〇:良い例
「少し違う要素が入っているようですが、ちなみにこの企画で特に大事にしたかったことってありますか?」
2、適度に制約をかけ、考えるきっかけを作る
人間の思考には、自由度が高すぎるとかえって発想が出来ない特性があるため、あえて思考範囲を限定することで意見を出やすくするテクニック。例えば、会議の冒頭でチームから提案が欲しい時には
✕:悪い例
「何かアイディアはありますか?なんでもよいので、遠慮なく提案してください」
〇:良い例
どんなユーザーをターゲットにしたいか、思い浮かぶ特徴はありますか?」
3、遊び心をくすぐり、答えたくなる仕掛けを施す
プレッシャーを与えてしまうと意見を出しずらくなってしまうため、思考を刺激し、良い意味でハードルを下げることで「その人らしい発言」をしてもらうためのテクニック。例えば、新規開発のプロジェクト会議の時には、
✕:悪い例
「良いアイディアはないですか?」
〇:良い例
「まずは悪いアイディアから考えましょう。良いボツネタありませんか?
4、凝り固まった発想をほぐし、意外な発見を生み出す
相手が無意識に繰り返す言葉から個人の「こだわり」を見つけ、それとは逆の言葉を使うことで意外な発想を促進するためのテクニック。例えば、ユーザーへの意識が高まり過ぎて『利便性』を連呼している会議の時には、
✕:悪い例
「このプロダクトの利便性をもっと高めるにはどうすればいいでしょう?」
〇:良い例
不便だけど、つい使いたくなるプロダクトとはどんなものでしょう?」

このように、相手に興味を持った上で個性を引き出すための工夫をし、個人のこだわりを尊重することで、予定調和された会議からの脱却も期待できるようです。

ただ、先行きが予測できるミーティングは、進行する側にとって安心感がある一方で、

新たな発想が生まれずらいファクトリー型の沼にハマっていくことになるため、その会議やプロジェクトによって使い分ける必要があります。

そういった意味では、もちろん上述してきたテクニックも重要ですが、その大前提として、相手への興味関心から個性を引き出すことが重要で、合理的な話し合いが全てではないなのだなと感じました。

最後に

私が転職してすぐの頃の話ですが、当時の上司との1on1時に「何か提案ありますか?」「どんどん提案だして」といきなり言われたことを思い出しました。

正直、その人のことも良く分からないし、何に対しての提案だろう…?と思い、適当にその場は乗り切りました。

また、後に意見を言ったとしても「ふ~ん、なるほどね。」というだけで、その上司の思考や思惑にクリティカルヒットしないネタ以外は、反応も薄く、

ず~と打ちごたえのないサンドバッグをひたすら叩かされているような感覚でした。。。

本書を読んで、もしかして当時の上司と同じ事をしている時あるのでは…?とそんな気になってしまいました。

一方で、全てのテクニックを実際の会議や面談中に思い出しながら進行するのは、僕には多分無理だと思います。

ですが、相手への興味関心を持つことや、提案してもらうにしても範囲を限定し回答しやすくなる配慮は普段から出来ることですし、

また合理的な話し合いが全てではなく、例えば雑談程度の話合いの中でも個人を尊重することは誰でも出来ます。

これを考えながら、プロジェクトを始めるか始めないかで、例え結果が同じだったとしても、その後の影響(周囲だけでなく個人に対して)も大きく変化があるのではないかと感じました。

チームの好循環を早々に出すのは難しいかもしれませんが、そのアプローチの入門書として最適な書籍だと感じました。

最後に、参考書籍のご紹介をして終えたい思います。

最後までお付き合いいただき
ありがとうございました。
Twitterもやっています。@tsubuman8

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