#9 桜についての愛を語る
ハラハラと散りゆくピンク色の花びらをそっと拾って「風流だねぇ」と嬉しそうに呟く彼女の姿が、頭から離れない。麗かで優しさに包まれた季節を脳裏に刻みながら、そっと目を瞑る。平穏な日常が、そっと寄り添っている。一斉に花びらが舞う景色は、たとえ必然性を伴って造られた世界だとしても、関係ないと思った。
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春の季節は気温も程々の暖かさなので、四季の中でも好きな時期なのだが、唯一のわたしの天敵と言っても過言ではない花粉が悪さをする。その訪れを歓迎して良いかどうか、これまた微妙な感