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私の短歌:「痛い」を詠んでみた

どこかしらまいにち痛いNさんに等身大のバンドエイドを

2021年11月14日、NHK短歌のお題は「痛い」。今回は4首投稿してみました。Nさんという人がいて毎日と言っていいほどどこかが痛くなり、遅刻、早引け、病欠を繰り返します。長期病欠もしばしばで、年間の稼働率は30~40%といったところでしょうか。Nさん本人には言えませんが、いっそ体中にバンドエイドを貼ったら?とふと思いつきました。

殴られて痛いと思うより前に畳の上に鮮血が散る

子供の頃の実体験です。母が再婚した相手に、ある日、顔を殴られました。痛みより前に、畳の上に血がどばっと出て、ああ、口の中が歯で切れるから血が出るのか、と「あしたのジョー」の仕組みがその時初めて分かったという次第です。本当に命の危機を感じる時、人は泣いたりできないものです。

生理痛をせせら笑う君も等しく女の血より生まれた

昭和の昔、男性陣が笑いものにしたのが女性の生理休暇です。私も「生理休暇」自体は不要だと思っていました。病欠を使って休めばいいのですから。でも「生理痛ごときで休むのか」と男性が笑うのには違和感があります。年齢や体質にもよりますが、生理痛は時に倒れてしまうほどひどい場合もあるのです。私も大学生の時は歩けなくなり、駅で1時間ほど横になっていた日がありました。多様性というのは自分と立場が違う人への理解から、とわかっていても、自分が経験できないことには想像力が及ばないというのが実情でしょう。

挟まれて急につまづき落ちてゆくピクトグラムが一番痛い

東京五輪の開会式でパフォーマンスが話題になった「ピクトグラム」。普段は「扉に注意」など、怪我の危険がある場所にひんぱんに登場します。「転落注意」とか、とにかくピクトグラムの演じる状態は危険なものばかり。これが本当のことだったら、ピクトグラムはケガだらけでしょう。めっちゃ痛い人生を歩んでいることになります。お疲れ様です。(終わり)

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