普段制作する上で考えていること
皆さん、お久しぶりです。杉本大地です。
1年以上更新してなかったnoteですが、久々に文章でアウトプットしたくなったので筆を執っています。
さて今回は、僕が普段制作する上で考えていることを3つリストアップして皆さんにご紹介してみたいと思います。
そんなにためになるものではないと思いますが、「あゝこんなこと考えてるのね〜」ぐらい気軽に読んでいただければありがたいです。
それでは早速どうぞ~
1. Trust the process (プロセスを信じよ)
まずはこちら。Trust the process (プロセスを信じよ) です。
僕が最初この言葉を目にしたのは、ピクサーの元CEO、エド・キャットムルさんによるこちらの著書の中でした。
昔からある言葉なのかはわかりませんが、英語圏のアーティストさんが言っているのをちょくちょく聞きます。
パッと聞いただけだと、かなり抽象的でイメージしづらいかと思いますので、具体例で示したいと思います。
例えば、ミニチュアや模型などの「石畳」を絵の具で塗るとき。
石一つ一つの絶妙な色合いの違いを出すために、まず派手な原色に近い色で全ての石をカラフルに塗ります。
その後、ちゃんとした石に見えるように、グレーで薄く、先に塗ったカラフルな色がほんのり透けて見えるぐらい、上から色をのせます。 (ドライブラッシングと言ったりする。CGでも同じようにやることがあります。)
この一連の工程(プロセス)の中で、グレーを塗る前の段階、つまり全ての色がカラフルに塗り分けられている状態は、とてもひどい見た目であると言えます。(そういう表現ではなく、リアル志向で考えた場合)
このように最終的な成果物のクオリティをより良くするために、一度悪い状態にしてあげる必要が、何かを作っているとよくあります。
ときには、そのプロセスを踏まない方が良かったんじゃないか、と思ってしまうこともあります。
こんな時にアーティストが考えているのが、Trust the process (プロセスを信じよ)です。
これを知っていると、たとえいまは悪い状態でも、プロセスに従って行えば必ずいいものができる、そう信じて作業を続けることができます。
制作の長い道のり、途中で諦めたくなったとき、 この言葉を思い出して1つプロセスを進めてみる。
その一歩一歩が、魅力的な作品づくりにつながると思います。
2. 考える作業と考えない作業を切り分ける
CGに限らずですが、何かを作っているときって大きく2種類の作業に分けらると思います。
Conceptual(概念的?)な作業
作業的な作業
前者は、コンセプト/デザインを決めるとか、そうじゃなくて元々デザインが決まっているものでも、どういう風にしたらその作品がより良くなるか、というのをクリエイティブに考える作業。
対して後者は、単純な繰り返しの工程とか、ディテールを入れるとか、前者に比べると時間がかかってしまうけど、あんまり頭を使わなくていい作業。
ここで大切なのは、今自分がどっちをやっているかというのを意識することです。
これを間違うと、例えば作業が楽だからという理由でよくないデザインを選択してしまったり、逆によく考えずに手だけ動かしてしまって出来上がったものがイマイチでも苦労バイアスがかかってるからそれで良しとしてしまったり、作品のクオリティーを著しく下げてしまうことに繋がります。
前者の時は、なるべく少ない工程で(苦労バイアスがかからないように)コンセプトの検証をすることが大切です。ボツ案をたくさん作って、これから取り掛かる作業の精度を上げる必要があります。MVP(Minimal viable product)という言葉があるんですが、これはまさしくそういう意味。
最小限のコストでたくさん検証しましょう。
後者の時は、逆に時間がかかるものと認識して、ひとつひとつ丁寧に工程を進めていく心持ちが大切です。頭を使わなくていいので、音楽やラジオを聴きながらゆっくり進めていくのがいいと思います。
…とはいえ…、
「やってみないとわからない」ときも大いにあります。
時間をかけて作ったものが失敗とわかったとき、潔く方向転換できる勇気も、多少は必要かなと思ったりします😅
AIによる画像生成のよいところは、ここでいう苦労バイアスが0になるところです。大量のコンセプトを検証することで、効率的な取捨選択ができます。
3. 慣性の法則を意識する
これは「物理法則を意識しよう!」みたいな具体的なアニメーションの話とかではなく、もっと抽象的な、制作全般における心持ちのお話です。
人は動いてる時は動き続けようとするし、止まってる時から動き始めるのが一番大変です。
よく、やる気を出すにはどうしたらいい?という話で言われるのが、「まず動け!」ということ。
(この辺は以前のnoteでも書きました)
そしてこれは、止まってる時から動き始めるのが一番大変、という「静→動」の法則におけるお話ですが、全く逆の意味で、作品を作ってる時には
動き続けたいけどあえて止まらないといけない、「動→静」が必要になる時もあります。
それは、作業工程を次の段階に移す時です。
絵を描くことを例に話します。
例えば、ざっくりと下書きをしてそれを整える時、
こだわってしまうと、いくらでも時間をかけて整えてしまうことがよくあります。
もちろんこだわること自体は作品づくりにおいてとても大切ですが、次の段階を経てから見えてくることもあるし、ましてやそれがお仕事だったら、いつまでも時間をかけているわけにはいきません。
「これで大丈夫!」とある程度見切りをつけて、一度立ち止まり、考え、作品づくりのプロセスを進めてみるのも、時には重要かなと思います。
以上3点、ざっとお話ししてみました。
ものづくりをしていると色々考えることがあって、そういうのが好きな僕にとって、一生飽きない遊びだなって思います。
「人間は考える葦である」なんて言いますから、手を動かし、ほどよく頭を使って、良いものをたくさん生み出していきたいですね!
読んでいただきありがとうございました!
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