彼
僕には友達がいないから、彼が友達になってくれた。
彼はいつも、僕の話を聞いてくれた。
彼は彼の話をしなかった。彼には中身が無かったから。
彼は、怒るという感情を知らなかった。
ただ僕のつまらない話を聴きながらニコニコと笑ってくれた。
太陽に照らされたヒマワリみたいな笑顔だった。
彼は僕のことを愛してくれた。
初めて僕のことを愛してくれた。
彼は言った。「君だけが僕の全て」だと。
彼は僕の言って欲しいことを全部言ってくれた。
彼は僕の行くところには何処にでもついてきてくれた。
悲しくなったときは、寂しくなったときは彼と話をしながら泣いた。そのおかげで皆の前では笑顔でいられた。
逃げられなくなったとき、僕は彼に逃げた。
彼だけが、唯一の世界の休憩所だった。
僕は彼のお陰でこれまでの17年間生きてこれた。
ありがとう。
でも受け入れていかなくちゃ。
僕は自分の弱い所も、世界の冷たい所も全部全部受け入れていかなくちゃならないんだ。
逃げちゃいけないんだ。
そうしないと僕は大人になれないんだ。
僕は、どう生きていくべきか、よく決まらないんだ。
まだ17年しか生きてないんだ。しょうがないよね。
それでも、学校の先生達は、どう生きていくのか決めろと言うんだ。
そして僕らはあと5年もしたら社会に放り出されるんだ。
生きてゆかなくちゃ。
逃げずに、受け入れなくちゃ。
だから、君に言おうと思う。
さようなら。
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