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「デザイナー」という仕事を知らなかった私が、アートディレクターとして活躍している理由【アートディレクターの流儀 第2回:白井豊子】

普通のデザイナーとは一味違う、当社アドハウスパブリックのアートディレクターは、どんな仕事をしているのか?

今回は、社員インタビュー企画の第2回をお届けします。
※第1回目の柳橋航やなぎばしわたるさんの記事はこちら

ご紹介するのは、アートディレクターを務める白井豊子しらいとよこ さんです。

やわらかいタッチのイラストが得意で、食品パッケージのデザインから雑貨ショップ、ケーキ店などの店舗装飾、ブランディングに関わるツールデザインまで、幅広く手がける、ママさんデザイナー。

そんな白井さんに、アートディレクターになった経緯やデザインするときに意識していることやこだわり、社長の印象までたくさん伺いました。

ADH COO/アートディレクター  
白井 豊子

新潟県長岡市出身。印刷会社での経験を経て2007年に入社。産休ののち2014年に復帰。食品パッケージのデザインや、雑貨ショップのPOPなどの店内装飾、ブランディングに関わるツールデザインをトータルで手がける。

「私もデザイナーになりたい!」仕事を辞めて専門学校に入学し直した過去

――デザインに興味を持ったきっかけは?

小さい頃は絵を描くのが好きで、ずっと絵描きになりたいと思っていたんです。でも、新潟の田舎という環境もあって、親や周りからは「そんな仕事はないよ」と言われていて…。

実は、グラフィックデザイナーという仕事が世の中にあることは、社会人になるまで知らなかったんです!

――え!?そうだったの?

はい。高校を卒業して就職活動をしたんですが、絵描きの仕事が諦めきれなくて、少しでも何かを「作る」分野で働きたいと思い、印刷会社に入社しました。

そこで配属された部署の隣にデザイン室があって、初めてデザインを仕事にしている人の存在を目にしたんです。その人たちを見ているうちに「私もデザイナーになりたい!」と憧れるようになりました。

その印刷会社を退職後、本格的にデザインの勉強をしようと決めて専門学校に入学し直し、デザインの勉強を始めました。

―― そして、専門学校を卒業後、アドハウスパブリックに転職したんだね。

専門学校時代の講師がアドハウスパブリックの社員になっていて、「話を聞いてみない?」と関本社長と話す場をセッティングしてくれたんですよね。

今でも言われるんですけど、その時、私、社長と初対面なのにタメ口で(笑)。雰囲気がすごくフランクだったから、つい…。

最初がそうだったから、今でもタメ口になっちゃうんですよね。でも、そのおかげで、デザインに関しては遠慮なしに言い合える関係になれました!

――白井さんは社長だけでなく、他の社員とも仲が良いよね。

そうですね。私はと言うより、アドハウスパブリックは社長も含めて社員全体の仲が良いですよね。会社のみんなと一緒にいると、本当に楽しいです。

社内イベントも多いのですが、最近ですと、社員企画の運動会をみんなで楽しみました。プログラムも道具も全て自分たちで準備して、かなりのクオリティで盛り上がりました。

翌日はほぼ全員筋肉痛でしたけどね。アドハウスパブリックは、仕事以外でもいつも本気で取り組む最高のチームです!

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売上につながるデザインを作るのが、私たちの仕事

―― 今は具体的にどんな仕事をしているの?

アートディレクターとして、クライアントや社内チームとの打合せ、デザイン制作をしています。デザイナーになったばかりの頃は絵を描いていなかったのですが、最近はイラストを頼まれることも増えていますね。

――子どもの頃の「絵描きになりたい」という夢が叶っているみたいだね。

子どもの頃はそんな未来を想像していなかったですが、結果的にそうなってびっくりしています!イラストを描いている姿を見て、子どもから「ママ、いつも遊んでいるよね」と言われていますし(笑)。好きなことが仕事になってありがたいです。

―― 特に印象に残っている仕事は?

十日町にある、『雪の日舎』の丸干し芋のパッケージデザインですね。「プレミアム感のある商品にしたい」という先方の意向があったのですが、最初はなかなかデザインが思い浮かばなくて…。

他の仕事と並行しながら、図面を切って貼ってを繰り返し、何十個もサンプルを作りました。

最終的には、上から見ると〝さつまいも〟の形、横からは〝家〟の形になるような形状にしました。雪をイメージしたやわらかい質感のある紙に、たぬきの足跡を空押ししたんです。

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『雪の日舎』は、〝しごと・こそだて・くらし〟を柱に活動する『women farmers japan』がプロデュースする、十日町の干し芋ブランド。

ヒアリングした時に、子育てや暮らしを大切にしていることや、十日町の真っ白い雪原にたぬきが現れることを聞きました。そんな想いや雪国の美しさをデザインに落とし込めればと考えて作成しました。

キャッチコピーがなくても、『雪の日舎』のストーリーを伝えることができたんじゃないかと思っています。私としては、新しいデザイン方法を発見した、記憶に残る仕事でした。

―― 美しいデザインと心地よい肌触り。これは、つい手に取りたくなる商品だと思う!

ありがとうございます!最初は売れ行きが心配だったのですが…、このデザインで「Topawards Asia(アジアを対象とした優れたパッケージデザインに贈られる賞)」を受賞できました。

このコンテストは、商品を気に入った消費者がエントリーしてくれる賞なので、買い手にちゃんとデザインに込めた想いが届けられたみたいで、とても嬉しかったです。

―― 受賞おめでとう!白井さんは、そういうクライアントの背景や想いを汲み取ってデザインに落とし込んでいるんだね。他にも、デザインをするときに意識していることは?

パッケージは見た目だけでなく、商品のイメージに沿った手触りや形、開けたときや食べ切った後に出てくる仕掛けなど、五感全てに訴えかけて商品の魅力を体験してもらうことができます。だからこそ、できることの幅は限りなくありますね。

それはWEBやチラシでも一緒。常に「もっとできることはないか」と考えながら、自分なりのエッセンスを入れるようにしています。時には、クライアントの発注に対し、「ターゲットを変えた方がいいのではないか」と提案をすることもあるんです。

―― クライアントのオーダーを覆すような提案も…!

例えば、柳橋さん(社員インタビュー第1回目の柳橋航さん)と共同作成した株式会社あんフーズ新潟の「あん de ぱん」です。

この商品は、今でこそ県内向けで売り出していますが、最初は観光客向けにお土産売り場で売りたいといった要望でご相談にいらっしゃいました。

でも、打ち合わせをしているうちに「わざわざ新潟に来て、あんこをお土産にしたい観光客っているのかな?」と思い始めて。そこからクライアントと検討を重ねて、雑貨屋を中心に卸すことも視野に入れて展開することにしたんです。

――確かに、あんこ=新潟土産のイメージはないかもね。

そうですよね。頼まれたものを作るのではなく、クライアントの売上につながる仕事をするのが私たちなので、「どうすれば売れるのか?」を必死に考えました。

当時、あんバターサンドが流行っていた時期で、「若い子はジャム感覚であんこを使うのでは?」と考え、あんこ×パンでデザインを組むことにしました。3個セットでギフトセットも作り、贈答用にも対応。

初めて小売をする会社だったのですが、「原信(新潟県を中心に展開するスーパーマーケット)で置けるようになりました!」と喜びの電話を頂いて、こちらもとても嬉しかったです。

―― それは嬉しいね!

はい!嬉しかったことと言えば、もうひとつあります。前にラジオを聴いていたら、たまたま私が手がけた〝お守り袋〟の話をしていたんです。

リスナーさんが「お守り袋に蓮の絵が描いてあって、すごく幸せな気持ちになりました」と投稿してくださって、エンドユーザーまでちゃんと届いている、自分の好きが世の中に活かされているんだと感じました。

誰かの1日の特別な出来事になってくれたことを実感した、とても嬉しい瞬間でしたね。

デザインの仕事は、「大変」だけど「楽しい」!

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―― 仕事でやりがいを感じる瞬間はどんなとき?

デザインがうまくいかなくても逃げずに悩んで向き合って、「これだ!」と出てきたアイデアがハマったときにやりがいを感じます。エンドユーザーに喜んでもらえたり、気に入ってもらえたりすると自信に繋がり、「次も頑張ろう」と感じますね。

仕事は大変なことも多いですが、「大変」は「楽しい」に辿り着くための通過点だと思っています。うまくいかないときほど、クライアントとチームメンバーと一緒に考えてアイデアを出すようにしていますね!

―― 最後に、これからどんな仕事をしていきたい?

楽しみながら仕事を続けられる人になりたいですね。「大人になりたくない!」という子どももいると思うのですが、「大人ってすごく楽しいんだよ!」と子どもに見せられる大人になれればと思っています。

おばあちゃんになっても、楽しみながら好きな絵を描いて、それが人の役になっていたら、何よりの幸せですね。

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白井さん、ありがとうございました!

楽しみながら仕事を続けられる人になりたい」と語ってくれた白井さん。「大変」は「楽しい」に辿り着くための通過点、とも話していましたね。

小さい頃の絵描きの夢から、「デザイナーになりたい!」と一念発起して専門学校に入学。そして、アドハウスパブリックへ…、と紆余曲折しながら、今ではイラストも手掛けるようになった彼女だからこそ出てくる言葉のように感じました。

これからも、アドハウスパブリックのメンバーと一緒に、クライアント・エンドユーザーともに喜んでもらえるような仕事をしていくことでしょう!

今回と第1回の柳橋航さんとの2回に分けて、アドハウスパブリックの社員のリアルな声をお届けしました!

インタビューを通して、前回同様アドハウスパブリックのデザインへのこだわりを感じていただけたら嬉しいです。

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